旦那様と一夜

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 ―――――――――――――――  ――――――――――  ふと意識が浮上する。布団を被っているのに何故かスースーと肌寒くはないが、落ち着かない。いつも部屋着をキッチリ着ているのに、それがないような違和感があった。  身体はとても重い。激しく運動した後のような疲労感と筋肉痛がある。  なんか運動したっけ……?それに自室のシーツの匂いと少し違うような気がする……。  微睡みの心地良さにまだ浸っていたい誘惑と戦いながら、私は目を開いた。  カーテン越しからの明るい日差しに照らされて、無防備で穏やかな寝顔の戸籍上の夫――伊ヶ崎悠真が隣で寝ていた。  ど、どういう状況?!?!  衝撃で頭が真っ白になる。  ちょっと待って……、待って……。昨日何があったかゆっくり思い出さなきゃ。  確か遅めの夕御飯と共に、涼からもらった白ワインを二人で飲んだ。  ワインがとても美味しくて、二杯目までは覚えている。一緒に食べていたクリームシチューも、減りが早かったような気がする。  そこから全く思い出せない。  一体何が起きたのか全く分からない。  いえ……、状況を見る限り、何となく推測は出来るんだけど……。  どういう経緯でそうなったのかが、さっぱりだ。  どうやら私、知らないうちに涼のアドバイスを実行してたってこと……?
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