旦那様と一夜、その後

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「あー、本当に可愛い。あんまり朝から誘惑しないでね?会社行きたくなくなっちゃうから」  つむじにキスを一つ落とし、悠真は自室に戻る。私も着替えなければそろそろいけない。慌てて紅茶を飲み終えて、食器を洗った。  メイクの途中で、準備が終わったらしい悠真が出てきた。私の髪を更に触り倒しながら、そろそろ行ってくると名残惜しそうに告げる。 「いってらっしゃい。気を付けてね」 「いってきます」  玄関まで見送りに出ると、頬に唇が触れる。通勤用の鞄を持った悠真は、少しはにかみながら出て行った。  いつもはあんまり意識した事がなかったのに。なぜだか、今日は悠真の残り香を強く感じる。  あ、あれが、いってきますのキスってやつ……?!  キスされた頬を手でおさえる。悠真が急に甘すぎて本当に色々と追いつかない。  混乱する頭でリビングに戻ると、キッチンに昨日飲んだ白ワインのボトルがリサイクルの為に洗って置かれていた。それを見て思い出す。  あ、涼に連絡しておかなきゃ。  そう思って、私はスマートフォンをタップして、涼にメッセージを送る画面に変える。  何を送るかしばらく思案した後に、簡潔に一文だけ送ることにした。
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