旦那様と一夜、その後

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 ―――――――――――――――  ―――――――――― (悠真) 「顔が緩んでますよ」  朝、出会い頭に運転手から指摘されて、思わず顔を引き締めた。 「幸せそうでなによりです」  俺の反応に老齢に差し掛かった運転手は、微笑ましそうに生暖かい目を向ける。若干はぐらかしながら、後部座席に乗り込む。  なんせこちらとら、長年の片想いが成就したのだ。彼女が俺を誘惑してきて、我慢出来るわけがない。そして、彼女も俺の事がずっと好きだと知って舞い上がらない訳がない。  昨夜は、――最高の一夜だった。 「――理性飛ばしたら、ごめんね?」  いつも寝ているベッドに美咲の薄茶色のサラサラの髪が散らばる。耳を甘噛みしながらそう言った後、ようやく自分が既に理性を半分飛ばし掛けていた事に気付く。  でも、ここで引き下がるのはかなり辛かった。 「俺はずっと前から美咲の事好きだよ。美咲は?」  彼女の髪を手ですきながら、感触を楽しむ。見下ろした美咲の顔は真っ赤で、お酒で酔っ払っているらしく、ふにゃふにゃだった。 「……すき。私もずっと前からすき」  頬を染めながら、俺の事を好きだと縋り付いてくる彼女は……、最高に可愛かった。思わず猫可愛がりしてしまう位には。
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