旦那様と一夜、その後

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 その前に涼と二人きりで会わない事を約束させた。彼女も頷いていたし、取り敢えず一安心。美咲にとっては、本当に友人としか思ってなくても、涼は分からないし。……我が友人のことながら、涼は快楽主義な所があるから。  嫉妬の気持ちも勿論あるが、美咲が涼の所に行くならば確実に生活は安定しているだろうし、否定する理由もないので離婚していただろう。  だが、これは昨日までの話。  両想いになった今、美咲に手出しはさせない。  取り敢えず牽制でもしておくか、とスマートフォンをポケットから出して涼にメッセージを送っておく。  彼女は朝はかなり恥じらっていたみたいだったが、初心な所も愛おしいと思う自分は末期である。かなり。  だが、ようやく自分の嫁を思う存分可愛がれる。  戸籍上の嫁になる前から、伊ヶ崎の名前も、会社も、クソ喰らえだと思っていた時分から、美咲の事が好きだったんだ。  母親が死んだ。  その知らせを聞いたのは、高校の授業中の時間だった。俺だけ呼び出されてビビったのをよく覚えている。何も悪い事はした記憶はないが、授業中に急に呼び出されたら誰だって思うだろう。
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