旦那様と一夜、その後

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『家の方針だ……。家の方針で俺は君と結婚するだけであって、君は君の自由にすればいい。  ――この結婚は条件が揃えば、解消出来るからね』  彼女の為に自分自身の価値を高めようと思った。  頭が良いだけじゃいけない。社交性があるだけじゃいけない。  自分の人脈すらも、自分の価値だ。  だから、優秀な人達が集まるアメリカの大学を目指した。政略結婚なんてものがなくても、俺自身が社長への基盤を築くために。円城家に美咲に自由に生きられるようにと、口出し出来るだけの価値を。 「長かったけど、終わりよければ全て良し、だよね」  全部、もう過去の話だ。流石にもう上流階級には馴染んだ。両親に対しての苦い思いも、とっくの昔に全て飲み込んでいる。美咲に指摘されて、時間をかけて向き合った。この歳になってまで未だに引きずってなんていない。  さて、これからどう恋人として、夫として、彼女を喜ばせようかな。  考えるだけで心が踊った。
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