旦那様とデート

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 結婚なんて、まだまだ高校生だった私にとっては、実感が湧かない事柄だった。もっともっと先の事のように感じていた。 「もし、嫌な相手だったらどうするの?ハゲデブのジジイみたいな生理的に無理な相手だったりするかもしれないよ?もしかしたら、ヨボヨボの老人だってあるかも」  あんまりにも悠真が真剣に言うものだったので、私は思わず声を上げて笑った。 「流石にそれはお父さんが許さないと思うなあ」 「そうなの?」 「うん。円城のお金目当ての人もお父さん的にはNGだと思うよ」  そんなものなのか……、と未だに納得のいかない顔をしている悠真に、冗談混じりに訊いてみた。 「じゃあ、もし私が嫌いな人と結婚する事になってしまった時、悠真は助けてくれる?」 「当たり前だよ。その時は必ず助けるから、ちゃんとSOS出して」  思ったよりも真剣な口調で返事が帰ってきて、私はちょっと目を見張る。でもなんだか、その言葉にちょっぴり安心した。  結婚という、人生のかかった未知の契約事に心のどこかで不安を感じていたから。 「俺は、君に幸せになって欲しいんだ」
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