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届いたメッセージ
西日の差し込む美術室。
油絵の具の独特の匂いが、
窓から入ってきた秋の風にかき混ぜられた。
外から運動部の声が聞こえる。
どれくらい集中していただろう。
沙羅は、完成間近の静物画を眺め
「うん、いい感じ」
作品の出来に満足気にうなずいた。
時計を見ればもう17時すぎ。
最後の仕上げに自身のサインを書き加えるべく、筆をとった。
そのとき。
ピロン♪
スマホがメッセージの着信を告げる。
慌てて沙羅は筆をおき、スマホに飛びつく。
最近気になっている同じクラスの賢治と
メッセージのやり取りをしていた。
少し前までは、お互い昼夜問わず頻繁に
メッセージを送り合っていたのだが、
最近返信の間隔が開いた。気がする。
だからなおさら、この通知音を待ち望んでいた。
ドキドキしながらアプリを開く。
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