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さすがに泣き疲れた。
やっと落ち着いた沙羅は、ふと時計を見る。
18時40分。
やばい、父との約束に遅刻決定。
でも、こんな顔だし気分は最悪。
今日は心底行く気が出ない。
このまま、約束ぶっちしちゃおうかな…
落ち着いたはいいけど、特に動く気力もなくて
沙羅はぼーっと涙が乾いていくのを感じていた。
そのとき、
「ぐぅぅぅ…」
お腹の虫が鳴いた。
気が抜けて、体が空腹を思い出したらしい。
お腹、空いたなあ。
母には父と食事だって言ってあるから
家に帰ってもご飯はないし、
外食するお金もないし。
こんな日はコンビニのチキンより
美味しいご飯で癒やされたい。気がする。
…仕方ない、ご飯食べに行ってやるかあ。
本当に行く気はしないけど、
約束を破るのも心が痛む気がして
「ご飯を食べに行くためだから」
そう自分に言い訳して向かうことにした。
とりあえず、顔洗ってこよう。
沙羅は重い腰を上げた。
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