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……。
うまく声が出ない。身体もすごく重いし。
瞼開けるのもしんどいな…。
私昨日そんなに泣いたっけ…?
ぼーっと霞みがかった頭で考えながら、ゆっくりと目を開くと、スヤスヤ気持ち良さそうに眠る蒼希が瞳に映った。
上体を起こそうと身体に力を入れるがうまく動けず、
筋肉痛になったように身体がミシミシと音を立てている。
畳まれた派手な着物が目に入り、あっ!と寝ぼけていた頭が覚醒する。
そうだ、昨日祝言を挙げて…その後、家で蒼希に
めちゃくちゃにされたんだった。
紋付袴を畳んでいないのを思い出し、視線をさ迷わせると、キレイに置かれているのを発見する。
多分、蒼希が畳んだんだろうな。
激しすぎる昨夜のことを思い出して、ボッと顔を赤らめていると頬にそっと手が伸びてきてスルリと撫でた。
「蒼希…おはよう。」
「…ん、はよ。」
舌ったらずの蒼希、か、可愛いすぎる。
まだ寝てようと腕を引っ張られ、ポスッと蒼希の胸に抱き止められた。
むにゃむにゃしてる珍しい姿に、私はつい笑みが零れてしまう。
蒼希のサラサラの髪が気持ちよくて、優しく頭を撫でていると。
「…昨夜は無茶をした。すまない。」
ポツリと謝られた。
「…う、うん。」
「おそらく…酔っていた。」
「あ。」
そういえば、蒼希は村の人達に勧められるままに結構飲んでいたような気がする。
顔色そのままだったから、全然気が付かなかった…。
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