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「…蒼希さん…」
「小春…」
甘いキスの合間にお互い名前を呼び合う。
それだけで、全身震えるほどの幸福感で満たされる。
うっとり身を任せていると、シュルッと帯がほどかれて肌が露(あらわ)になり、浴衣はもう敷物と化していて、着衣としての意味をなしていなかった。
蒼希さんの舌が首筋を這い、鎖骨(さこつ)を通り、胸の頂きに辿り着く。
ジュルッ。
舌を巻き付けて吸い上げられると、ビクンと身体が悦び反応する。
「……んっ…あっ、あ…蒼希さ……」
「蒼希。」
「?」
「呼び方。蒼希でいい。」
「………蒼希…んんっ!はっ…」
名前を呼ぶと、良く出来ましたと褒めるように
胸への愛撫が一層激しくなった。
快感から逃げるように身を捩るけれど背中に回された腕が逃してくれない。
ざらつく長い舌の感触に、あっという間に息を乱され思考が蕩けていく。
「…あっ……蒼希さっ……」
いつものクセで『さん』付けで呼ぶと、カリッと歯を立てて苛められ喉がヒクっと声にならない声を上げる。
優しく太股(ふともも)を撫でていた手は、徐々に足の付け根へ近付いてくるが、焦らすように期待で濡れた部分には一切触れず、周りばかりを揉み解してきて、じわじわと身体に熱が溜まっていく。
「…はぁ、ん…も、…っ…」
「ん?」
胸から顔を離し、舌はお腹を舐めながら下へ進んでいく。
右足をぐっと持ちあげられ、何も着けていない恥ずかしい箇所が好きな人の目に晒される。
恥ずかしいのに、視線を感じると、身体の奥からじわりと悦びの密が溢れ出てきて、そんな自分の反応に驚いた。
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