きみのためなら

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バイトから帰って朝風呂に入ると、急に襲って来た眠気に導かれるように、髪を乾かすこともせずに、ベッドへとダイブしてしまう。  そして、目が覚めた時にはすっかりお昼を過ぎており、おぼつかない目元をこすりながら時計を見ると時刻はすでに14時を過ぎていた。 「まずい……。早く家を出なくちゃ」  急いで、寝間着姿から着替えると家の鍵や、ケータイ。あと財布を懐にしまってすぐに家を出た。  寝癖の有無も確認しないまま俺は少し駆け足気味で近くの駅まで向かう。  今日が土曜日でなければ今頃俺は大学の授業を自主休講し、惰眠を貪っていただろう。しかしながら、今日は行かなければいけないところがある。  慣れた手つきで駅の改札に財布に入っているICカードをかざす。 (これもチャージしとかないとなぁ)  ピッっという音の後に表示された残金はこれから向かう駅とこの駅の一往復代のみとなっていた。  遠くの方で駅に近づいてくる電車の音が聞こえて来て、駆け足気味だった早歩きが完全に走りへと変わる。  なんとか、駅に着いたばかりの電車に乗ると、俺は近くの席に腰掛ける。  休日であったが、時間的にもお昼を過ぎてしばらく経っているのでそこまで目立った混雑は見受けられない。  ここまで急いで来ていたので、電車の中で初めて髪などを軽く整えて、俺は車窓に視線を移す。 (もう、二年か……)  窓の外にはうっすらと雪が降っていく景色が広がり、冬の訪れを知らせていた。
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