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僕は市外から通うたった二人のバス通学組だった。
理由は簡単で、僕の暮らす街は公立高校が廃校になるほどのど田舎で、周囲は山と畑と田園くらいしかない。数少ない同級生はこぞって市内の私立高校を受験したものだから、僕はこうして山を越えた隣町の県立高校まで、ひとりぼっちで通う羽目になっていた。
通学時間は1時間。
一人で過ごすには、正直眠ることくらいでしか暇を凌げなかったけど。
2年に上がった頃から、僕には仲間が出来た。
それは退屈な1時間を、早過ぎる1時間に変えてくれたもう一人のバス通学組で、
そして──僕の初恋の人。
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