私たち、なにか忘れてやしませんか……?

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「こうしていると、高尾さんの記憶が流れ込んでくる気がします」 と札を手に、微笑みながら言った壱花だったが。  いろいろ思い出したあとで言う。 「……何故ですかね。  チャラい言動しか蘇ってこないんですが」 「いや、恐らく、それがすべての記憶では」 と記憶をなくしていない冨樫が言う。  チャラい言動が彼のすべてだったようだ。  そんな壱花の横で、ふうん、と言いながら、斑目が他の札を手に眺めていた。 「見たことない札がいっぱいあるな。  大百足(おおむかで)みたいなのとか、あずき洗いみたいなのとか」  ん? と思った壱花は斑目の手にあるその札を覗き込む。
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