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「点数も、うちのおばあちゃんちの方とか、かなり高いですよ」
と壱花が言うと、斑目は、
「高い方がいいな。
盛り上がるじゃないか」
と笑って言った。
「えーと、確か、猪鹿蝶で300点です」
「ほう。
景気のいい点数だな」
と斑目が言い、
「待て。
そもそも、この花札、猪も鹿も蝶もいないぞ」
と札を見ながら、倫太郎が言う。
「じゃあ、それっぽいので300点ってことで」
そう壱花が言うと、それっぽいのってなんだ、という顔を冨樫がした。
「あ、あと、俺が描いた虎は300点な。
上手いから」
と斑目が自分が描いた札を指に挟んでヒラヒラとさせる。
確かに上手い。
今にも竹林から飛び出してきそうな表情の――
いや、ほんとうに飛び出してきそうで怖いんだが……、水墨画のような感じに描かれた虎だ。
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