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謎の札を使ったあやかし花札はどんどん佳境を迎えていった。
「うっ。
どうして俺のところに、壱花が作った謎の生き物がっ」
とおのれの手札を眺めながら倫太郎が言う。
「だから、どうしてみんな手の内をしゃべるんでしょうね……」
と冨樫が呟くので、
いや、私はしゃべってないですよ。
さっきしゃべったの、高尾さんですよ、
と思いながら、壱花は、やけくそのように、
「それ、貴重な化け猫なので、50点にしましょう」
と主張した。
「なんだ、また言ったもん勝ちかっ」
と斑目が文句を言ってくるが。
いやいや、あなたなんて、おのれの絵が上手い、というだけの理由で、虎を300点にしようとしてますよ……と思いながらめくったそこには、その今にも飛び出してきそうな虎がいた。
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