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「いや……ああいう問われ方をすると、俺の審美眼が試されている気がして。
壱花札に50点はない」
いつ、壱花札なんて名前に……。
「では、0点ということで」
「なんでですかっ、冨樫さんっ。
生き物の絵があったら、なにか点つくでしょうよっ」
「じゃあ、5点で」
「この審判、横暴ですよーっ」
と壱花は叫ぶ。
このハイパーインフレ状態で、5点とか完全なカス札だ。
「冨樫さんの訊き方が悪いからじゃないですかっ」
「お前、審判に文句つけるな。
レッドカード出すぞ」
と言い出す冨樫に、なんの競技だ、これは……と思いながら、壱花は倫太郎に訴える。
「やばいですっ。
このままでは押し負けますっ」
「……花札って、そういう遊びだったか?」
「社長っ、吸い込まれて札になってくださいっ」
「なんでだっ」
「だって、なんか強そうじゃないですかーっ」
と壱花は叫ぶ。
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