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二話 夢ならば良かった
「おはよー」
ガラッと教室を元気よく開ける。
そうすればクラスメイトの友人が口々に「今日は早かったね」や「二度寝今日はしなかったんだ。えらいね」など言って来るのを適当に返しながら自分の席について鞄へと視線を向ける。
「あ、でも光ちゃん。今日は早く来て正解かもよ?」
そんな光へと声を掛けて来るクラスメイト。
「え、なにが?」
「凪君が今から何かよく分かんないドリンク飲むらしいよ。なんかねー、朝に目が覚めたら注文した品物が届いていたんだって」
「へ、へぇ……」
光は身に覚えがある現象に顔を引き攣らせる。そして顔は良いのに少し残念なクラスメイトの影月凪君の方へと顔を向けた。
「じゃあーん」
クラスの男子数名で固まり中心で誰かの机に座りドリンクを見せながら開けようとしているのか手を蓋の位置に持って行っている凪に光は息を呑む。
「これさ飲んだら夢が実現するらしい。だから俺が今から試してみようと思いまーす!!」
凪は瓶を片手に立ち上がりテンション高く宣言する。
それに周りの男子は「うぉーッ」やら「おぉ……」などの様々なテンションで返し、凪は歓声を聴きながら口元に瓶の口を運ぶ。
光は息を呑んで凪の行動へと目を向ける。そして――。
「――う」
凪は頭を押さえて床へとしゃがみ込んだ。
突然の事に動揺するクラス。「先生を呼んで来い」とか「保健室行くか?」などの声が聴こえて来る。その光景に目を向けながら――。
「やっぱりやばい物だった」
と、光は鞄の中に入っているであろうドリンクへとバッと顔を向けた。
後悔と、どうやって処分しようと頭を悩ませている光の耳に。
「な、なにアレ……」
「ㇶッ……あ、あぁ」
戸惑う声が聴こえて来るのであった。
何だろうと顔を向けた先には――化け物、いや怪物が居た。私達の身長など簡単に抜かしている巨大な骸骨の怪物。そして、骸骨の目の辺りが赤く怪しくひかり、凪の方を向いて。
骨の腕で薙ぎ払った。凪と複数の生徒、机や椅子などが教室中に散らばる。教室はあっと言う間に生徒の流した血で真っ赤に染まる。光も、致命傷は逃れたものの、体を壁にぶつけ、頭も何か破片で、でも切ったのか流血していた。
「……う、いたい」
光は痛みと出血で意識が朦朧とする。
「げほっ……」
視界がぼやける。
そんな状態の光は薄れる意識の中でゆらりと立ち上がる人影と……。
「はぁ……誰だよ。こんな面倒な事を考えたやつは」
どこか面倒だと言っていそうな声音が聴こえ――意識は完全に落ちた。
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