序章

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序章

 カチカチ……カチ。  夜も深まって来た静寂に包まれた深夜の住宅街。街灯の小さな明かりが外を怪しげに照らす、そんな住宅街で明かりを灯す一軒の家の二階。 「……んーっ。そろそろ寝ないとなぁ」  その一軒家で明かりを灯す少女、速水光はパソコンに向かい合いながらグーっと伸びをして、再び目を液晶へと移した。  光が見つめるサイトは様々な物が売買されている通販サイト。 「でも、これ見てからっと」  時計を確認するようにパソコンからチラッと視線を外す光だったが興味深い、好奇心が擽られる商品を見つけて手を動かした。  カチ、カチと「夢色ドリンク」と名付けられた奇妙なデザインの飲料水の写真が貼られているサイトにクリックする。そうすれば画面は普通の通販のようなシンプルなデザインのサイトに飛ばされる訳では無く、まるで遊園地のような遊具、ふうせんなどがある見ているだけでも楽しい場所へと飛ばされた。 「なんだか珍しいデザインね? 何かのアニメとかのグッズ的な扱いの物なのかな……」  光は夢色ドリンクの写真を見つめて呟いた。  そして、気が付いた。通販でよくあるコレとご一緒に購入された商品と言う言葉が書かれた文字を見つける。その商品は「夢色スケッチ」や「夢空間部屋」など全て「夢」と言う漢字が付けられた商品である。値段はドリンクのように安くはなく、高価であり、興味を無くしてしまう光であったが。 「ゆめ、夢かぁ……」  やっぱりなにかのアニメなのかな? と首を傾げた。  光は「夢色ドリンク」を見つめていたが気が付いた。それには個数制限があり、段々と数が少なって来ている事に――。 「あ、ど、どうしよう。興味はあるけれど説明欄にも何味かも書かれていない。でも、まぁ価格も安いし、お試しで一回」  光は「カゴにいれる」と書かれた場所をクリックして「購入」画面へと飛んで、購入方法、住所、名前を入れて画面を閉じた。 「……そういえば知らない土地名だった。気になるけど、また明日でいっか」  光は閉じられたパソコンをチラッと見つめて電気を消してベットへと倒れ込んで、目を閉じた。ドッと睡魔に襲われて光は夢の中へと旅立った。
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