夜間救急。

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夜間救急。

 予想外のことが起きた。 いや安心しちゃいけないと、いつも気を付けていた。         ##  病院から戻った次の日。 先生の言う通り、少し元気が出てきた。 もう、うずくまっていない。 でも胸の毛をむしって抜いている。 丁度、『そのう』辺りの毛だ。 「アモ・・そこが熱かったんだね、痛かったよね?」 くりくりした目を向けてくる。 甘えん坊で、少しやんちゃなアモ。  今はそのやんちゃぶりも、なりを隠し、 弱々しいアモに戻っている。 仲良しの、クーちゃんがアモの顔をのぞく。 …大丈夫?アモ。 と聞いている気がした。 クーちゃんはクーちゃんなりに、アモを気遣っている。 まるで兄弟。 人もインコも、相手を気遣う心は同じなのね。 しばらくして、アモの毛引きはなくなった。 もう羽は抜いていない。 ちびちびと、餌も食べている。 このまま、回復に向かえば…そう思っていた。         ##  おかしい! アモが羽をパタパタさせている。 羽をまた、膨らましている。 あの事故から、1週間が来ようとしていた。 回復に向かってるはずだった。 先生は言った。 〈大丈夫ですよ。〉 大丈夫、大丈夫、大丈夫。 言い聞かせるように、アモを見てきた。         ##  セキセイズの雛が(かえ)った。まず1羽。 ツィードに母鳥に抱かれる雛の動画をアップした。 次々生まれて、合計3羽。 (まさか、全部は孵らないよね?) 嬉しいことが続いた。 アモはきっと、大丈夫。 なのに。         ##  (あわてて)てて夜間救急の獣医さんに来てもらった。 時間は真夜中。 もう、朝まで待てない。 夜間診察が、高くたって構わない。 もう、あんな思いで、朝が来るのを待つのは嫌! 気になって、夜中も見ていた。 だから気づけた。 〈大丈夫ですよ。〉 その言葉を、鵜呑みにしていたわけじゃない。 でも、大丈夫と言う言葉にすがってた。 (大丈夫、アモは大丈夫よ・・・)         ##  だが、その日。 おかしな事が起きた。 だから慌てて、夜間救急に連絡したのだ。
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