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想定外。その2
アクセルを吹かし、車が立ち去る音がした。
私達は、取り残された。
いいえいいえ。
この子が何をしたというの!
こんなにいい子なのに。
アモが泣きじゃくる私を見て、首を振る。
泣かないで。
そう言われてる気がした。
くりくりした眼を向ける。
私を心配する様に、首を動かす。
泣かないでママ。
…ママ泣かないで、僕は平気。
ママ、ママ。泣かないで。
健気に私を慰ようと、羽をパタパタさせる。
なんて強い子だろう…
本当は痛くて苦しいのに。
本当は辛くて、たまらないのに。
私は受け入れられない。
心が拒絶反応して、頭がまっ白になる。涙が止まらない。
子供の様に泣きじゃくった。
「…朝一番に主治医の所に行こう」
私はウンウンと子供の様に、うなずいて泣きじゃくる。
返事も、出来ない。
アモを胸に抱き、泣くだけ。
アモは、くりくりした眼を向ける。
主人が何も言わず、ふわリとアモごと背後から私を引き寄せた。
「…たしが…あの時…私…」
「お前じゃない!……俺…が…」
私は首を左右に振った。
あなたのせいじゃない…。
♯♯
心が凍りつきそうだった。
かろうじて、主人の体温が私を暖めてくれる。
そして、胸に抱くアモの体温が。
♯♯
この子は生きてる。
明日1番で、主治医の所に行こう。
まだ、間に合う。
きっと治る。
きっと…きっと…。
藁に、すがる気持ちで祈ってる。
「俺も、一緒に行くから…」
「………ウン…」
泣きじゃくる私にワンコの、アンとアリスが起きて来た。
『クゥーン』
「ごめんな、起こしちゃったな」
そう言い、アンを抱き上げる。
私は、動けない。
『クゥン…クゥン…』
心配して、私の周りをぐるぐると
回るアリスに、何も言ってやれない。
♯♯
病院に行けば。
あの時『大丈夫』と言った先生が
また、『大丈夫』と言ってくれる。
だが、次の日。
私は思いもしない、言葉を浴びる事になるのだ。
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