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可愛い、我が子
その日。
ペットショップから、大きな箱が持ち帰られた。
ガサガサ、箱の中で動き回る。
パカッと開くと愛らしい赤い頭を
ピョコピョコ動かししている。
抱き上げると、生えかけの黄色い翼が見えた。
雛だ。
必死に私の胸にしがみつく。
私は支える様に抱き直した。
「だっこ、されるのが好きなのかな?」と主人が笑う。
「そうみたい」
自然に笑顔が出た。
##
世の中は不条理な事が多い。
全てを抱えると、潰されるだろう。
先日、大切なものを亡くした。
まだ、若い。
やりたい事もあっただろう。
近しい人の死に嘆くより、前を向こう。
「この子は新しい家族よ。」
早くも、ワンちゃんズが来た。
長女と次女の『アン』と『アリス』は、興味しんしん。
アリスはとにかく動き回る。
「不思議の国のアリスだもんね」
アリスはとにかく、不思議ちゃんだ。
そこにいると思えば。もうあっち。
捕らえ所が無いというか、おかしくて笑いを誘うと言うか。
「名前は決めてるの?」と主人。
大変なことがあった。
だから愛ある子になってほしい。
みんなから愛され、愛を振りまく子になってほしい。
「じゃあ、アモルだ。ラテン語で愛の意味だよ」と主人。
私はアモちゃんの、頭を撫でた。
「アモル・・・今日から、あなたはアモちゃんよ」
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