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病院へ。
アモが餌を食べない。
羽を膨らまし、底で座っている。
羽が生え揃い少し大きなケージの
中型インコ用に替えた。
「環境の変化でしょう。それと寒さじゃないですか?」
ワンちゃんズの先生はそう言う。
一応、鳥も診ると看板にある。
「食べないなら強制給餌して下さい。後で、やり方の紙を渡します。
薬も出すので、一緒にあげて下さい」
(え?やり方を教えてくれない)
簡単な検査をして、道具を購入した。
薬と検査、道具代。
お金だけ、取られた気がした。
もっと相談したいのに。
♯♯
よし!やってみよう。
やった事が無くても、アモの為よ。
紙とにらめっこした。
「シリンジにパウダーフードの介護食を入れる時、
空気が入らない様に注意。
『そのう』の位置までの、大体の長さをインコにチューブを
当てて、確認。」
チューブの長さを『そのう』に合わせるのね。
餌は人肌で...。
一応、白黒だが、写真付きだ。
初めてだけど、これなら出来るかも?
でも先生、どんなパウダーフードを使うのか、
教えてくれなかった。
だからあらかじめ、鳥友にツィードした。
【ラウディブッシュ社のパウダーフードが良いですよ】
【ネクトンシリーズで、総合サプリとカルシウム
があって、うちも使ってます】
【グリーンフードで、パウダーがあるの。知ってる?】
通販で、注文。翌日に全部そろった。
後、ヒナフトールも入れよう。
ヒナフトールは雛の挿し餌用の、強化フード。
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鳥には、3つの胃があるという。
『そのう』は一時的に餌を収める胃。
鵜飼の鵜が、丸飲みの魚を吐き出すのは『そのう」にあるからだ。
親鳥が雛に餌をあげる時も、役立つ。
砂をついばみ、餌を砂ですり潰す『筋胃』。
いわゆる、砂肝。
そして消化器の普通の胃、『線胃』。
私は写真を見ながら、そろそろとチューブを入れた。
「チューブの先端を頬の内側に沿わせて
入れると、気管に入ることはない・・」
「チューブの先端が『そのう』まで入ったら、
シリンジを押して給餌する。」
シリンジが空になった。
途端に、はぁーとため息が出た。
息を詰めていたのだ。
「うまくいった!アモちゃん、おいしい?」
アモはくりくりした目で、私を見つめる。
「いっぱい食べて、元気になろうね!」
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正月が過ぎ、季節は冬に終わりを告げる。
梅の花が、ほころび始めていた。
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