1 こんな奴が上司とは…

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1 こんな奴が上司とは…

その日、私は焦っていた。 大学3年生からの就職活動を始め、忙しいさなかにインターンも通い、やっと入れた憧れのホテル業界。 1カ月の座学研修を経て、今日から配属された現地でのお仕事。ぺーぺーだけど、それでもホテルマンとしての一歩を踏み出した日。 あろうことか道に迷い、遅刻スレスレだったのだ。 やばいやばいやばい。駅前2分って書いてあったのに、どうしてたどり着くのに、15分もかかったんだろう。 あったはずの時間的余裕も精神的余裕も全くなく、やっと見つけたホテルの裏口から中に入った。ただいま8時50分。 9時に着替えて、事務所に来いと言われてるのに。 更衣室は通用口から入って、左手の三つめのドアだから。更衣室って、札もあるから、大丈夫だよ。 一昨日、研修の中で支配人に連絡した時の言葉を思い出しながら、左の方に向かおうとした時だった。 「ふざけないでよ!」 女性の怒声が響いて、つい足を止めてしまう。 ――な、ナニゴト?
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