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2 ホテル勤務1日目
午前中は全室のチェックアウトが終わってから、ホテル内の見学に行った。これは私だけじゃなくて、同じ新入社員のレストラン部の梶村基くんと、広報の溝口花さんと一緒に。
ホテルは8階建てで、客室は4階から7階までで全80室。1階にはロビーとフロント。2階は和食と洋食のレストラン。3階には結婚式や会議などが行われるコンベンションホールと控室や打ち合わせ室がある。最上階にはみなとみらいの夜景が見下ろせるバーと、展望大浴場が備わってる。
お客様がいる施設などは見せてもらえなかったけれど、一通り見て回るだけで、1時間以上かかってしまった。やっぱり広い。そして豪華。
案内してくれたのは、副支配人の矢野さんだ。私のお父さんと同じくらいの年齢だろうか。
「君が町田さん? 今朝いきなり、遅刻してきたんだって?」
梶村くんと溝口さんがいないところで、矢野さんは私に言う。
悪行がいきなりバレてるーー!!
「す、すみませんっ。初日から遅刻とか本当に申し訳…」
「道に迷ったって言ってたけど」
「はい。私、方向音痴で…」
正直に言うと、矢野さんはくすくす笑う。
「駅から見えるけど、ちよっとわかりにくいところにあるからね。最初は仕方ない。でも、次は注意してね」
頭ごなしに怒鳴りつけるのではなく、やんわりと、だけどぴしっと釘をさす。理想の上司って、こんな感じ?
洗練された身のこなしと柔らかな笑顔。ダンディって言葉がしっくりくるいかにも、ホテルマンと言った感じの人だ。何処かの誰かさんとは天地ほど差がある。
10年とかしたら、私もこんなデキるイメージ、醸し出すこと出来るかな。勝手に未来までイメージしてしまう。
お昼は新入社員三人で、ゆっくり取りな、と促され、私達は地下にある社員食堂に向う。
厨房に賄いが用意してあった。
ホテルの賄いごはんー!
テンション上がるーーーー!
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