番外編 2 スタートライン

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離れてしまったら、別れてしまったら、家族は家族じゃなくて、他人よりも遠い存在なのかな。 「そんなのなんだっていいじゃないですか。今、駿さんがハマってるゲームの話とか、結婚して、若いお嫁さんもらった話とか…っ」 必死に言うと、駿さんはぷっと吹き出した。そのまま笑いを堪えきれなくて、歯を見せて声を立てて笑う。――失礼な。ウケを狙ったセリフじゃなかったのに。 「笑わなくたっていいじゃないですか」 「悪い悪い。――お前のセリフがおかしかったんじゃなくて、いろいろ考えすぎな自分があほらしく思えたんだよ。俺は変に物事を捻くれて捉えるからさ、お前がいると世界がすごく単純化される」 むくれた私の機嫌を取っているのか、駿さんは立ち上がって私の体を上からふわりと抱きしめた。 「そうだな、自慢しないとだな。――若くて可愛い嫁さんもらった、って」 あ、『かわいい』が追加された。リップサービスかもしれないけど、ちょっと浮かれてしまう。 「じゃあ…会ってくれますよね」 ついでに私のことも、紹介してくださいね。しつこいくらいの念押しをしようとしたのに、駿さんはポケットからスマホを取り出して、どこかに電話をしようとしてる。 「どうしたんですか?」 「――俺よりもっと複雑な気持ちの人がいるからさ。一応、親父が見つかった、って連絡してみる」 駿さんのお母さんに掛けるつもりみたい。私は駿さんからひっついたまま、二人の会話の内容に耳をすませた。 「――久しぶり」 ちょっと固めの声で始まる通話。 「あら、珍しい。どう? 新婚生活」 電話口からくだけた感じの女性の声がした。早口なの、駿さんと似てる。
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