姉の発表会

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演奏中、俺は出入り口に近い席に座っていた。 俺に芸術は分からない。 すべてを聞き流している。 知っている曲は反応するが知らない曲はつまらない。 上手いとか上手くないとかも分からない。 …別に弾ければよくね? 素人耳には分かんねーしよ! とか言ったら楽器やってる人は皆怒るんだろう。 とりあえず謝っておこう。 すみませんでした! ホールに響いていたピアノの音がやむ。 今弾いていた人がお辞儀をする。 ホールに拍手の音が響いた。 合わせるように俺も拍手をする。 すると姉がやってきた。 「行くよ。」 俺の耳元で小さく囁いた。 「あぁ。」
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