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「なーんてね!」
…へ?
なーんてね⁇
頭の後ろに当てていた手がずるりと落ちる。
ぷっ
目の前の姉がふきだした。
「…⁇」
「すごい間抜け顔!」
楽しそうに言う。
「はぁ?」
姉はまた笑う。
その前で頭を抱える。
「はぁ?は?え?な?ん?なにが、なーんてね?」
「推理じゃないわよ。そこ歩いてたらきょろきょろしてるあんたが見えたの。」
姉が横にある建物を指差す。
ガラス張りのそこは、中でカーテンが閉まっていてこちらからはよく見えなかった。
それが、向こうから見えていたとは…!
「……………………う、ぅ…。」
俺は背中を丸めてうめく。
あははは
姉は豪快に笑った。
「なんだよ!ちょっと感動してたのによ!」
背中を丸めたまま姉を見上げる。
「あぁ…。まぁ、あれは、…噓じゃないし…?」
姉は言いながらそっぽを向く。
頬がほんのり赤く染まっている。
驚いた。
こいつはそんなに素直なやつだったかと。
「……………………。」
突然姉が歩き出した。
「何ボケっとしてんのよ!行くよ!」
その言葉に俺は慌てて背筋を伸ばす。
「あ、あぁ…。」
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