ステイ・ホームカミング

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世界について学びなおせばいい。ついでに金の事も。そう言い残して富豪は頭を撃ちぬいた。 暮らしの全てを支配する南印度会社の中枢が麻痺するまであと22時間。真相究明せねば百億が死ぬ。 「もっと要件を絞って。あたしは神様じゃない」 「娘を探し出してほしい。必ず生きている。連れ戻せ。手段と費用は厭わん」 「了解」 珠緒は濡れた裸体にバスローブでなく装具を纏った。 「未曽有の感染症が地球全体を恐慌させて半世紀が過ぎた。人類の9割が余剰の貧民として宇宙へ放逐された。量子転送航法の発明により光年単位の距離を日帰りする需要が生まれた。ていのいい炭鉱夫である。人々は最果ての修羅場へ通勤し、危険手当を稼ぐ。額は悪くない。ただし生きて帰ればの話だが」 明彦は惨めな境遇を述懐した。 「泣き言はいいから。お金が必要なの」 身重の妻は腹をこれ見よがしにさすった。 「わかってる。堕ろすと苦労が台無しだ」 男は口を真一文字に結んで、夜風に散った。
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