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さて、こんな僕は本当にいい子なのだろうか。いや、いい子に決まっている。こんなに苦労しているのだから、絶対にいい子だ。
じゃぁ、なぜ、サンタはたったの一度も僕の元へやって来ないのだろう。
僕の心に、真冬の隙間風が吹き込んでくる。
僕は、何のためにいい子を続けているのだろうか。
と、ふと思い返したのがあまりにも遅すぎた。当時、既に齢は三十五。四捨五入したらアラフォーという奴だ。何度となく同級生や友達、同僚の結婚式に出向いてはお祝儀貧乏になり、人の幸せばかりを祝福して、その度に自分の幸せが秋の落ち葉のように空高く舞い上がって消えていくような気がしていた。もはや抜け殻となり、潰えるのを待つだけになるのではないだろうか。
このままではいけない。
僕は、自覚する中では初めての反抗期を迎えた。引き止める親の手を振り払い、分譲マンションのちらしを手に握る。まずは、親から離れ、人から離れ、のびのびできる環境作りから始めるのだ。
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