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観音様系彼女の年末大セール
毎年この時期になると、ふっと思い出すことがある。
「いい子にしてたら、サンタさんがやってくるんだよ」
昔々、その昔、幼い僕に両親はこう言った。
それを真っ向から信じていい子になろうとしていた少年時代。思えばあの頃から、僕は人の顔色ばかりを伺って生きていたような気がする。
往々にして、親の言ういい子とは子供らしからぬ子のことだ。騒がず、取り乱さず、失敗せず。特に礼節は重んじる。親を敬い、親の役に立ち、親の言う通りにし、それでいて期待以上の成果を出しては親を喜ばせ、それを気負わないどころか、生き甲斐にしている風に見せかけねばならない。かつ、これらを親の望むタイミングで引き起こすことができれば完璧だ。
存外、それをやろうと試みる事自体は簡単だった。要は、「僕はいい子だからいい子になれるんだ!」という根拠のない自信と自負を持っていさえすれば良いのだから。けれど本当に実現できるかと言えば、やはり難しい。自分の基本スペックの低さが足を引っ張ってしまうのだ。
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