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その15
約束された血の匂い/その15
麻衣
「ものの見事にハマってるでしょ、ヤツ…」
「はは、まさにだ。それにしても”あの女”、役者だなあ…。いちころだったみたいだ、そのエリカとかってホステスに、西城はさ」
その日は、いつものリッチネル最上階がとれなくて、2階の室だったわ
ちょうどさっき、着いたところ…
で、ベッドに二人して腰かけて、この人は煙草をくわえ一服してる
「フン、麻衣が”力”を行使できるのは、会長からクスリの条件を呑んだと、はっきりだったそうだ。ヤロウ、カンは鋭いところがあるからな」
「それと、身の施し方は砂垣順二以上かもしれないわ。クソよ!私、殺すわ。然るべき場で、しっかり懺悔させて、それからやってやる!」
「麻衣…、ひとつ聞かせてくれ」
「何?」
「西城は断罪する。当然な。だけどよう、あんな野郎、別に珍しくないぞ、今の世の中。なのに、なぜそんなにムキになるんだ?俺から言わせれば、お前なんかが相手にする輩じゃないと思うんだ…」
この時の彼の言葉には、あえて答えなかった
私はその場でいきなり服を脱いで、彼に抱き付いたわ
...
「麻衣…、大丈夫か?」
「うん、平気…。終わったのね…」
「ああ…。ヤツを病院に運んで、あとは他の人間がここを済ますから、俺たちは引き上げよう」
「私も後始末を手伝うわ。あなたは先に戻ってて」
「おい…、なにもお前が血のふき取りまでやることねえよ」
「ふふふ、最後まで体感したいのよ。あ…、勝田さん、そのモップいいかしら?」
私は、倉橋さんの隣にいた勝田さんが持っていたモップを指さした
「え?でも…」
「勝田、麻衣には最後までやらせてやってくれ」
「あっ、はあ…」
私はモップを受け取り、床に飛び散った血やら何やらを掃除している、みんなのところへ駈けて行ったわ
そして振り返って、彼に大きな声で言った
「今夜、部屋に行くわ。じゃあ、後でね…」
小さく頷き、右手を上げてる撲殺人のサングラス奥の目は、気のせいか少し笑っているように見えた
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