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その16
約束された血の匂い/その16
麻衣
その夜、彼の部屋での行為はとても激しかったわ
どちらかと言うと、私の方が燃えていたかな
やはり目の前で人間の血を見たせいか、いつもより興奮した
その血の匂いは鼻について離れないし…
...
既に彼は隣で寝息を立ててる
今日は”お仕事”、ご苦労様
そう心の中で呟き、彼のおでこにキスした
私はすぐには眠れないや、さすがに
どうしても今日のあの光景が、目と耳に繰り返し生々しく再生されてね
たぶん、朝まで続くよ、コレ
眠っても朝まで眠れなくても
...
私が見物に回った時点で、アツシはすでに全面自供の状況だった
組に対しては、これ以上ないほどの裏切り行為を行った
優輔さんは、組としてのケジメをつける立場で、裁いたわ
命をとるに値するほどの過ちだと告げられると、やっとアツシは気づいたみたいだ
私から殺されるという恐怖から逃れても、”助かった”訳ではないことを…
優輔さんは、具体的にヤツの犯した行為をひとつひとつ挙げ、認めさせた
...
「麻衣さん、結果的に西城はあなたに全部認めて、ラッキーでしたよ。俺らの段取りでは、ひとつひとつ認める時点で、痛い思いをさせますから。フン、あのヤロウ…、拷問を逃れたことになって、感謝しろってんだ、麻衣さんに」
勝田さんが、”作業”の合間で、私にそう小声で告げてくれたわ
なるほど…、言えてるわ
私の尋問ではケリ数発と、左足太ももを少しばかり削っただけですもの…
憎たらしい奴なのに、助けちゃったじゃないのよ、結果的に
参ったな…
...
「…西城、ということだ。この世界の相場じゃ、指5本分のケジメに相当する。どうする?5本詰めるか?それとも、指5本の長さ分一回の切断で収めるか…」
この時点のアツシは大声で命乞いを繰り返して、錯乱状態だったわ
「おい、指一本当たり8センチだ。どのあたりになるか計ってみろ!」
既にチェーンソーのスイッチを入れた勝田さんが、若い組員に指示を出してる
...
「おやじさん、肘下10センチのあたりですね」
「そうか…。西城、そう言うことだ。指5本と腕一本どっちにするんだ?」
”どっちもいやだ!やめてくれー”
まあ、誰でもそう叫ぶよな
気持ちは分かるよ
となるとどうなるんだ…、裁きは
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