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その18
約束された血の匂い/その18
麻衣
目を覚ますと、優輔さんはすでに起きていて、髭剃り中だったわ
「おお、麻衣…、目が覚めたか」
「優輔さん、おはよう。もう出かけるの?」
「ああ、お前はゆっくりしてろ。疲れてるだろうから」
「ええ。ありがとう」
「そうだ、剣崎さんには今日、連絡するんだったな」
私は「うん」とだけ言った
既に昨日の件は、彼からも剣崎さんへ報告済だけど、それとは別に、私からは剣崎さんへ定期連絡をすることになっている
”以前”のように
...
「昨日言い忘れたんだが、兄貴はしばらく静岡に入ってるから、今後の連絡方法は変わるかもしれないな。まあ、今日のところは折返し待ちでいいが」
そうか…、剣崎さんは当分、明石田親分の元でいろいろ動くことになったって聞いてたんだわ
”然るべき時期”に備えて、関西系広域組織の各組と、今後を踏まえた関係を今から地ならししておく目的らしい
優輔さんは、明石田さんの地盤を引き継ぐ布石に着手しているんだと言ってた
それで、剣崎さんが経営してたヒールズを、優輔さんに譲ったって訳でね
最も剣崎さんの方は、「お前たちの婚約祝いだ。ヒマを持て余すと麻衣がまた暴れ回るだろうから、店番は麻衣に任せるといい」ってことだ(笑)
...
「それと、兄貴からも話は出るだろうが、建田さんとこだった、ああマッドハウスにいた間宮が、ムショから出てくるんだ」
「そうなんだ…、あの人が戻るのか」
「例のクスリの件じゃ、こっちの指示通り動いたから、何かと接触が予想されるな」
「そうね。どうするの、相和会は。消しちゃうの?口を割られる前に…」
優輔さんはクスクスと笑ってるよ
「麻衣、そういうオプションは、どうしてもやむを得ない場合に限ってだ。俺たちはリスクを最大限避ける。何も、好き好んで殺しはやらないよ」
撲殺男が言っても説得力ないんだけど…(苦笑)
「まあ、今回は泳がす方針になりそうだ。しっかり目を光らせた上でな。お前なら、だいたいの展開はもう目に浮かぶだろう?」
ハハハ…、そう言うことね
「ばっちりよ、もう。あなたとのタッグはまだまだ続くわね。いいわ…。さらに面白いことになりそうだし」
「そんで、そっちの方も”次の手”は考えてるんだろう?」
「ふふ、抜かりはないわ。昨日の結末は、あなたからのシグナルでだいたいは想像ついてたから。数日中に動き出るでしょ」
「頼もしいな…(笑)」
...
私はダーリンの”出勤”を見送ってから、またベッドに戻ったわ
今日はもう少しゆっくりするつもりだ
で、午後からは早速、次の動きに入る…
ー完ー
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