その18

1/1
前へ
/18ページ
次へ

その18

約束された血の匂い/その18 麻衣 目を覚ますと、優輔さんはすでに起きていて、髭剃り中だったわ 「おお、麻衣…、目が覚めたか」 「優輔さん、おはよう。もう出かけるの?」 「ああ、お前はゆっくりしてろ。疲れてるだろうから」 「ええ。ありがとう」 「そうだ、剣崎さんには今日、連絡するんだったな」 私は「うん」とだけ言った 既に昨日の件は、彼からも剣崎さんへ報告済だけど、それとは別に、私からは剣崎さんへ定期連絡をすることになっている ”以前”のように ... 「昨日言い忘れたんだが、兄貴はしばらく静岡に入ってるから、今後の連絡方法は変わるかもしれないな。まあ、今日のところは折返し待ちでいいが」 そうか…、剣崎さんは当分、明石田親分の元でいろいろ動くことになったって聞いてたんだわ ”然るべき時期”に備えて、関西系広域組織の各組と、今後を踏まえた関係を今から地ならししておく目的らしい 優輔さんは、明石田さんの地盤を引き継ぐ布石に着手しているんだと言ってた それで、剣崎さんが経営してたヒールズを、優輔さんに譲ったって訳でね 最も剣崎さんの方は、「お前たちの婚約祝いだ。ヒマを持て余すと麻衣がまた暴れ回るだろうから、店番は麻衣に任せるといい」ってことだ(笑) ... 「それと、兄貴からも話は出るだろうが、建田さんとこだった、ああマッドハウスにいた間宮が、ムショから出てくるんだ」 「そうなんだ…、あの人が戻るのか」 「例のクスリの件じゃ、こっちの指示通り動いたから、何かと接触が予想されるな」 「そうね。どうするの、相和会は。消しちゃうの?口を割られる前に…」 優輔さんはクスクスと笑ってるよ 「麻衣、そういうオプションは、どうしてもやむを得ない場合に限ってだ。俺たちはリスクを最大限避ける。何も、好き好んで殺しはやらないよ」 撲殺男が言っても説得力ないんだけど…(苦笑) 「まあ、今回は泳がす方針になりそうだ。しっかり目を光らせた上でな。お前なら、だいたいの展開はもう目に浮かぶだろう?」 ハハハ…、そう言うことね 「ばっちりよ、もう。あなたとのタッグはまだまだ続くわね。いいわ…。さらに面白いことになりそうだし」 「そんで、そっちの方も”次の手”は考えてるんだろう?」 「ふふ、抜かりはないわ。昨日の結末は、あなたからのシグナルでだいたいは想像ついてたから。数日中に動き出るでしょ」 「頼もしいな…(笑)」 ... 私はダーリンの”出勤”を見送ってから、またベッドに戻ったわ 今日はもう少しゆっくりするつもりだ で、午後からは早速、次の動きに入る… ー完ー
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加