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人生で○○回目の病にかかっている。
金欠病…
俺はこれのせいで、幾度となく住まいや家族を失ってきた。
だが、今回は本当に運のツキだ。
最後の悪あがきでタチの悪いやつらに金を借りてしまった。
殺風景な部屋に連日軟禁され、 目の前の書類にサインを求められている。
違法な臓器提供。
麻酔を嗅がされ連れてこられた俺と患者との適合性はすでにチェック済のようだ。
もう金のない人生にも疲れた。
「わかった。サインはする。そのかわり俺の臓器を提供する患者の名前を教えてくれ。」
「お前には関係ない。」
「関係ないさ。どうせ俺は死ぬんだ。だから最後に好奇心だけでも満たしてくれてもいいだろう?」
男はため息をつき、その名を呟いた。
「・・・・・・。」
俺は耳を疑った。
そして平静を装い、ゆっくりと書類にサインを書いた。
俺の名付けたその名前をもう一度聞けた奇跡をかみしめながら…
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