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次の日、朝食の後、簡単に支度をして私は部屋を出た。
ヒールのない靴なので、背が低くなったようだ。元々、そんなに高いヒールを履いていないのに、少しの違いが大きいのだと分かる。
バスに乗って、カフェの近くの停留所で降りる。のんびり歩くと、気分が晴れ晴れとしてきた。天気も晴れ。真っ青な空に雲がぽかりと浮いていて、のどかだ。
待ち合わせのカフェは有名チェーン。自動ドアを開くとカフェの薫りがした。
カウンターで、カフェインレスのカフェ・ラ・テを頼む。コーヒーでも大丈夫だけど、ミルクが入っているから砂糖なしで飲める。
待っていると彼が入ってきた。その行動に不審が湧いた。カウンターを無視して、真っ直ぐに私のところへ向かってくる。
このカフェは、先にカウンターでドリンクを受け取る。だから、何も注文しないでテーブルに向かうことはない。
どうして、何も頼まないの?
不審感を隠せない私を見ながら、彼はテーブル向かいの椅子に軽く座った。すぐに立てるような姿勢が余計に疑惑を深める。
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