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「あなた、あのね。」
君は小さくて温かい手を俺のごつごつして手荒れがひどいボロボロの手にそっと重ねた。
「私、幸せよ?あなたが私と一緒にいれるだけで幸せって言うように、私もあなたと一緒にいれるだけで幸せなの。だから、どんなに辛いことがあっても一緒にだったら乗り越えられるの。」
涙が出た。男なのに、みっともない。いつだってかっこよく生きたいのに。でも涙はちっとも止まる気配を見せない。
「・・・でも君と一緒に生活する金すらない。」
こんなに温かい言葉を俺にくれても俺は君の言葉の優しさにちゃんと返してやれない。
「大丈夫。私ね、ちゃんとあなたがあなたのためにお金を使えるように少しずつだけど貯めてきたの。ほら。」
君がそっと通帳を見せた。毎月の貯める額はバラバラだが、貯まった額は決して少なくなかった。
「これ・・・。」
「安いスーパーを探すのも、節約料理を作るのも、とっても楽しいの。」
貯めるのにすごい努力したんじゃないか?そう聞こうとする前に彼女は笑顔で答えた。
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