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ガシャーン
隣の部屋から何かが崩れる音がした。
嫌な予感がする。
その部屋には僕が作ったブロックの恐竜がいるはずなのだ。
急いで駆けつけると、弟のかんたがバラバラになったブロックの前に立ち尽くしていた。
「もう、やめろって言っただろ!」
かんたはあっかんべーをする。
「、、このやろう、、」
ママが言ってた。
「かんたは今、悪魔なの。お兄ちゃん、がまんしてやってね」
ここで手を出すと、間違いなくかんたは泣く。そうしたら、絶対、ママは僕をおこるんだ。
僕は恐竜を壊されたのに、どうして我慢しなくちゃいけないんだ!
そう思ってうつむいたら、ももちゃんが作ったパソコンがあることを思い出した。
そうだ!このパソコンに頼めばいいんだ!
音声認識ボタンを押して、
「恐竜をもとに戻して」
と言ってみる。
「カシコマリデチュ」
また変な返事だ。
すると、ブロックが自然に積み上がって、恐竜の形にもどった。
すごいぞ、ももちゃん!このパソコンは本物だ!
そうだ、もう一つためしてみよう。
「かんたを良い子にして!」
「カシコマリデチュ」
すると、さっきまでおもちゃの剣を振り回して遊んでいたかんたが、きゅうに遊ぶのをやめた。
そしてこっちにやってきて、
「お兄ちゃん恐竜こわしてごめんね」
と謝った。しかも、座って絵本まで読み始めた。
かんたはまだ字が読めないから、僕はかわりに絵本を読んでやった。そうしたら、
「お兄ちゃんありがとう」
だって!
良い子のかんたって、なんてかわいいんだろう。
気分が良くなった僕は、パソコンを使って押し入れを秘密基地にしたり、トイレをかっこよく改造したりして遊んだ。
ももちゃんは興味がないようで、相変わらずお気に入りのおもちゃをかじっていた。
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