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夕方になり、ママが晩御飯の準備を始めた。ママは料理が下手ではないけど、煮物とか、おひたしとか、何だか地味なものが多いんだよなあ、、、
そうだ、ももちゃんのパソコンで、ママをシェフにしてみよう!
パソコンに向かって言う。
「ママを世界一のシェフにして!」
「カシコマリデチュ」
すると、晩御飯を作り始めていたママが言った。
「ゆうた、フランス料理とイタリアン、中華、どれがいい?」
わあっ!そんなの食べたことないや。
迷ったけど、ちょっとかっこ良さそうなフランス料理を注文した。
「オッケー、今日はフルコースだよ♪待っててね」
ママが言った。
僕とかんたが絵本を読んでいると、ママが呼んだ。
「ゆうた、かんた、晩御飯だよー」
机には、スプーンとフォークと、使ったこともないナイフが並べてあった。
「まずはスープだよ。このスプーンで食べるの」
ママが僕とかんたに説明してくれる。
うわ!なんだこれ!
何のスープか全然わからないけど、とっても美味しい!
次はゼンサイというものだった。
「ぜんざいみたいなのかな?」
って僕とかんたは話していたけど、出てきたのは全然違っていた。野菜とお刺身に不思議なドレッシングがかけてある、サラダみたいなのだった。
フォークとナイフは難しくて、結局、箸で食べたけど、とっても美味しかった。
ママはいつもは机にドンと料理を並べるのに、こうやって順番に出てくるのも楽しい。
「メインディッシュよ」
と言ってママが出したのは、お肉だった。と言っても半分くらいは野菜で、お皿にはおしゃれにソースがかけてある。
ママシェフは優しくて、お肉を切ってくれた。
いつもは食わず嫌いで「これいやだ」って言うかんたも、残さずぺろりと食べた。さすが良い子のかんたくんだ。
ももちゃんの離乳食も、花びらとか葉っぱとかで飾り付けされていた。いつもよく食べるももちゃんは、いつも以上にパクパク食べていた。
あまりに美味しそうでちょっと食べてみたけど、赤ちゃん味で僕には薄かった。
最後にデザートまであった。買い物にいってないから、いつものバニラアイスだったけど、お皿に盛り付けてジャムをたらすと、レストランみたいだった。
「ごちそうさま!」
かんたと僕は、カーペットに寝転がる。
こんなのが毎日続くなんて、最高だ。
食べた後もしばらく夢見心地だった。
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