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「笑、生きる希望を、糧をどうか私に与えて欲しい。お願いだ」
そんな悲しそうな眼差しを向けられたらどうしていいか分からない。
「若様・・・」
いつも若様はお優しくしてくれる。
僕に出来るか、正直怖いけれど・・・初めてだから尚更。
でも、誰よりも若様をお慕い申し上げている。その若様が、こんな下働きの僕を好いて下さるなんて勿体ないこと・・・
俯いて小さく頷くのが精一杯だった。
「笑、おいで」
襖を開けると、布団がすでに敷かれてあった。
「勘違いしないで。少し横になろうと思っていただけだから」
「若様、あ、あの、まず、お風呂頂いても・・・。そ、その・・・」
「あとで、一緒に入ろう」
「汗一杯かいたし、匂いだって」
「汗はどうせかくし、笑の匂い、好きだよ」
若様の腕が伸びてきて、そのまま抱き締められた。
「雅也、出掛けてくる」
襖の向こうから和也様の声が聞こえてきた。
「あぁ。笑、少しでいい。口を開けられるか?」
言われた通りにすると、若様の口唇が近付いてきて、僕の唇を塞いだ。僅かに空いた隙間からぬるっとした若様の舌が口腔内に入ってきた。
「う、うっ・・・ん」
若様の舌が僕の舌に絡みつき、撫でるように優しく愛撫してくれた。最初は息継ぎが上手く出来なくて、苦しかったけど、若様はそんな僕を気遣ってくれた。
「ふぅ・・・ん」
ようやく若様の唇が離れ、飲みきれなかった若様の唾液と、自分の唾液が、端から溢れる。それを、若様はそっと、指で拭ってくれた。
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