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一行は春の風に吹かれながら東に道を進んでいた。頭上からは雲雀の声がしていた。
「そうだな。しかし、笙明殿の占いが効くとわかったのでこれで行くしかあるまい」
ああと篠はうなづいた。
「では先の社に行きますか?そこで占いをしてまた見つければ良いんだもんね」
「……そう、だな。よし、私は先に参るぞ?は!」
そう言って笙明は澄ました顔で馬を走らせた。
「あ。ひどいよ」
「待ってくだされ?」
桜の蕾も硬い弥生の春の古道。妖隊は風の中を舞うように進んでいくのだった。
第一話完
第二話「悲しき水鏡」へ
<2020・4・30>
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