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「苧環!」
宗助が私を呼ぶ声が聞こえるけど無視するに限る。私は通った道を一度も振り返ることなくずんずんと歩くばかりだ。
「苧環、あんた宗助に冷たくないかい?」
「そうかしら?」
遊女たちに私はそう言われるけどツンとすまして返す。
「あんなうちらみたいな人間に丁寧に優しく接してくれる男なんぞいないよ?ここの客とは大違いさ。私も来世ではああいう男と一緒になりたいね。」
宗助は遊女たちの中でぶっちぎりで人気だ。他にも沢山男たちはいるが、いつも落ち着いていて優しく、話し方も丁寧で見た目も良ければ好きになってしまうのかもしれない。
「苧環、あんた変わってるねえ。」
変わってるって言われてるのは宗助を好きになれないところかしら。
「大きなお世話だわ。」
宗助のどこがいいの?!皆騙されてる。だってあの男は・・・。
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