苧環が咲き誇れば

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幼い私は俯いた。そんな私の頭上に宗助は言ったのだ。しかも衝撃的な内容だ。 「俺、見た目がただ美しい女は興味ないよ。」 嘘だ。いつもいつも美しい人に囲まれているのに、あなたは! 「・・・よくそんなこと言えますね。」 「いつも一緒にいる奴らのことを言っているのか?非常に興味深いではないか?美しい見た目を親から与えてもらったのに、成長過程を間違えたんだろうね。我が我が・・・ってさ。人を蹴落として見下して俺に近寄るんだ。俺の気持ちを知らずにね?なかなか滑稽ではないか?」 くすくすと宗助は笑っていた。私の中で何かが消えていく気配を感じる。私に声を掛けないでいたときのほうがずっとまだ好きだった。他の人に何と言われようと私はひっそりと想いを寄せるだけでいいって思っていた。けど、今は!話せたのに、話す度にこの人を好きと思ってた時の時間が消えていく。 「・・・あの人たちは大っ嫌い。だけど、あの人達の想いを馬鹿にするあなたは・・・もっと嫌い。」
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