苧環が咲き誇れば

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「ねえ、萩野宮さま・・・。」 私はそっと口づけした唇をそのまま萩野宮さまの耳元に移動させ、息をそっと吹きかけた。萩野宮さまはびくっとする。それが可笑しくて声をあげて笑いたくなった。私以外の女にこういうことされたことないのだろう。でもまさかここまでの反応をするとはね。いや、いいところのお嬢様は男心を掴む方法なんて教えては貰わないか。 「な、なんだ?苧環、甘えてきて・・・。」 萩野宮さまがへへへ・・・と下品な笑みを浮かべている。まあ、おおよそこちらが上だぞという態度を出したいだけだろう。まあ出したければ出せばいいさ。それであなたが明日もここに来て金を積んでくれれば文句はないしね。でもね、萩野宮さま。あなたは私に惚れたときからもう私の手の中にいるのよ。私より下なのよ。惚れてしまったのだから。
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