赤いカーネーション

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それから2時間位経った時、1本の電話が掛かってきた。その電話の内容は妻が居眠り運転の車に引かれ、病院に運ばれたという知らせだった。僕と娘は急いで病院へ行った。だが、妻は最後に僕達の顔を見ると涙を流し、柔らかい笑顔を浮かべ「愛してる、ごめんね」と言ってそのまま亡くなった。娘はどこか驚いた様な悲しそうな何とも言えない顔をしていたが、涙を流すことはなかった。 妻が亡くなってから2週間が経った。僕は妻の部屋を掃除していると、机の引き出しから何冊ものノートが出てきた。ノートには娘が産まれてからの成長が写真と共に書かれていてた。その写真は寝ているものが多かったが母から撮ってもらったのだろうというものまであった。 僕はその日の夜、娘に掃除の時に出てきたと話し、ノートを全て渡した。娘はノートの中身を見ながら、葬式の時でさえ流さなかった涙を流した。そして最後の1冊を見ている時1つの押し花が出てきた。よく見るとそれは赤いカーネーションだった。
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