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妻が亡くなってから10年が経ち、僕はもう43になった。毎年命日の11月25日なると有給を取ってお墓に行くことにしている。今日は丁度その日だった。
娘は高校を卒業後大学へ行き、今は東京で美容師をしている。前からの夢だったと言っていた。そして娘はもうすぐ結婚するとも言っていた。妻のいなかった日々を思い出しながらお墓までの階段を登った。
妻のお墓を見て、花を置こうとすると既に1輪の花が置いてあることに気づいて驚いた。よく見るとお墓も綺麗になっていて僕より前に誰かが来たことが分かった。置いてある1輪の花は赤いカーネーションだった。僕はその花の花言葉を思い出し、笑みがこぼれた。
赤いカーネーションの花言葉は、
「母への愛」。
ふと10年前の押し花を思い出した。あれは娘が3歳の時に初めて自分のお小遣いで母の日に妻に贈ったプレゼントだった。
今も咲き誇っているカーネーションを見て嬉しい気持ちになりながら、僕は花を置き、一言言って帰った。
「君と出会えて幸せだったよ、僕も···娘もね。」
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