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俺が落ち着いた後、ラフィは、この場所のことを話してくれた。ここは、幽霊船、あの世とこの世の境目だということ、そして、、、。
ラフィがここにいられるのは、そう長くないってことだった。この幽霊船の主である骸骨騎士の時間が再び動き始めるとき、ラフィはあの世に帰ってしまう、、、。
「ずっと心配だった。」ラフィが言った。
「気負ってるんじゃないかって思ったの。私が死んだのが、自分のせいだって。特別に許可をもらって、様子をみたらやっぱりそうだった。仲間も持たないで、ひとりで戦ってるんだもの。それも、死んだような目をしてだよ。だから、どうしようって。」
心配してくれていたのか。心にしみた。
ラフィが続ける。
「だから私、あの世を仕切ってる神様にお願いした。会わせてほしいって。何度も断られたけど、でも、向こうも折れてくれたみたいで、この幽霊船で会うことを許可されたの。」
ラフィが話しているときの横顔を、しっかりと俺は焼き付けた。もう、会えないって知ってるから。
「でも、それで、私を殺した因縁の相手に、天童くんを引き合わせてしまった。私のせいで、あとちょっとで天童君が死んじゃうところだった。私の勝手な判断で、天童くんを、、、。」
「そんなことない!」
気づけば、答えていた。
「おれは、うれしかったんだ。どんな形であれ、ラフィとまた出会えて、本当にうれしかった。異世界に飛ばされて、にっちもさっちもわからない俺に、手を差し伸べてくれた、そしてさっきだって、もう生きる意味とかもなくしかけてた俺のそばにいて慰めてくれた。おれは、ラフィには感謝してもしきれないって思ってる。かけがえのない仲間だって、どこにいたってずっとおもってるから。」
あふれそうになる涙をこらえて、言った。
「、、、ありがとう。うれしい。」
ラフィが笑う。ちょっと寂しそうに。
ラフィの輪郭が、ぼやけ始めていた。
カラカラカラカラ。わずかに音が聞こえる。骸骨騎士が揺れている。
「もうじかんになっちゃったか~。」
ラフィの笑い方は、悲しいのを我慢しているのがまるわかりだった。
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