約束の飲み会の後の想定外の展開

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約束の飲み会の後の想定外の展開

 それから2日後    「どうぶつ学園」収録前楽屋  「おはようございます」っとスタッフが挨拶をする。  「おはよう」っと河村さんが返す。  「河村さん、おはようございます。」っと村瀬さんが言うと、  「おはよう、ゆみちゃん、あれ?戸葉ちゃんまだ来てないの?」っと河村さんが聞くと  「まだだよ、最近戸葉君忙しいからねって噂すれば。」っと村瀬さんが答えると  「おはようございます」っと戸葉君が挨拶をすると、  「おはよう」っと河村さんと村瀬さんが返す。  「先週の反省会ありがとうございました、大丈夫でしたか?」っと戸葉君が聞く。  「全然大丈夫だったよ、注意事項ざっくり言って、けっこう早めに終わったよね、河村さん。」っと村瀬さんが  「ああ、おかげで朝まで説教は、逃れて良かったよ。」っと河村さんが言うと、  「それは、なによりでしたね。」っと戸葉君が返す。 「あっ、戸葉ちゃん、2日前に、美穂ちゃんに電話して飲み会の話しをしたんだけど。」っと河村さんが言うと、  「えっ、もうですか?早いですね。」っと戸葉君が  「だって、来月大型連休入るし、美穂ちゃんも忙しくなるでしょ。」っと河村さんが言うと、  「あー、もう、そんな時期なんですね。もう、衣替えで衣装もブラウスだけになるのかな。」っと言いながら戸葉君が着替え終わり椅子に座る。  「そうだね、それで飲み会なんだけど来週の月曜日の夕方にしたから。来れたら来いよ。」っと河村さんが言うと、  「行けたら行くよ、あっ、彼女佐川さんなんか俺の事言ってた?」っと戸葉君が聞く。  「あれー、戸葉ちゃん、気になるの?」っと河村さんが逆に聞くと、  「別に、まっ少しは。」っと戸葉君が言うと、  「美穂ちゃん、戸葉ちゃんと話しをして楽しかったって言ってたよ。」っと河村さんが言うと、  「そっか、良かった」少し優しい目をしてほっとした顔で戸葉君が言った。 河村さんは、村瀬さんと目を合わせ小声で  「なんか珍しくない戸葉ちゃんのあの顔。」っと聞くと、  「うん。」っと答える。  「何ですか?2人とも俺の顔じーっと見て。」っと戸葉君が聞くと、  「別に。(これ、もしかしたらいい線いくか、あの2人)」河村さんと村瀬さんは、ニヤニヤして、戸葉君を見た。  「なんか、2人何か企んでませんか?」っと怪訝そうに戸葉君が聞くと、  「別に何も」っと河村さんと村瀬さんが言う。  そんな話しをしてると、後ろから、 「ウキキー。」っとダイ君が  「おはようございます」っとトレーナーが挨拶をする。  「お、ダイ君今日は、ご機嫌だな。」っとダイ君に河村さんが言う。  「おはようございます」っと戸葉君と村瀬さんが言う。  「今日もダイ君宜しくお願いします。」っとトレーナーが言う。  「宜しくな、ダイ君って腕に何か巻いてるな?」っと河村さんが聞く。  「これ、先週隣に座っていた女性、えっとー、佐川さんでしたっけ?のハンカチです。ダイ君気にいっちゃって離さないから、腕に巻いてたら、もしかしたら番組観てたら、佐川さんも気づいて喜んでくれるかなっと思って。」っとトレーナーが言うと、 「ウッキー、ウキキー。」ダイ君は、嬉しそうに腕を見せる。  「うん、ダイ君、格好いいよ。」ダイ君の頭を撫でながら戸葉君が言う。  「それで、河村さん、ちょっとお願いがあるんですが、その佐川さんに、もし会う事がありましたが、ダイ君が持って行ったハンカチのお詫びに新しいのを買ったので、渡して頂けないでしょうか?」っとトレーナーがプレゼント用に包んだハンカチを河村さんに渡す。  「ちょうど良かった、来週の月曜日の夕方一緒に飲む約束してたから。その時渡すよ。」河村さんはハンカチを受け取り言った。  「ありがとうございます、女性用のハンカチなんて、なかなか買う事が無いので、喜んでくれるか分かりませが、宜しくお願いします。」っとトレーナーが言うと、 「大丈夫、美穂ちゃん優しいから、喜んで受けとってくれるって。」っと河村さんが言い  その場が良い雰囲気になったところで  「どうぶつ学園の皆さん、収録の準備お願いしますね。」っとディレクターが楽屋に来て言う。  「はーい。」っと全員で返事をする。   飲み会前日の朝(美穂の家) 「美穂、明日の夜飲み会だから、夕食いらないよね?」私は、朝食を食べながら 「うん、河村さんと飲み会だからいらないよ。」 「わかったわ、それで帰りはどうするの?」 「東京駅周辺のビジネスホテルに泊まって、朝帰って来ても良いんだけど、出勤時間早く無いし。」 「美穂、若い女性が朝帰りなんて、とんでもない、父さんが迎えに行く。」お茶を飲んでたお父さんが会話に入ってきた。 「はあー、何言ってるのもう私成人してるんだけど。」 「成人してても子供には変わらない、何かあったらどうするんだ。」 「何かって、もうー、だいたい飲み会何時に終わるか分からないから、明日晩酌出来ないよ。」 「かまわん、明日夜飲み会終わったら、父さんの携帯に電話しなさい。」 「はい、はい。」半分諦め声で返事した。 「お母さん、仕事行って来る。」 「はーい。お父さん行ってらっしゃい。」  「もう、いつまで子供扱いしてるんだか。」 「まあ、まあ、美穂、子供の時何もしてあげられなかったから、今したくてしょうがないのよ、お父さん。」 「今、してもらっても、うっとしいだけだけど。」私は、お茶を飲みながら、不満気に話す。    飲み会当日  休みだった私は、昼頃に里穂からメールが来ていた。 「美穂、いよいよ今日河村さんと飲み会だね、戸葉君来たら、ガンガンアピールしなよ、飲み会終わったら、報告よろしく。」 (まったく、里穂ったら、戸葉君来るか分からないのに、何を期待してるのか)  ため息つきながら思った。  そして、夕方。 「じゃあ、お母さん行って来るね。」 「うん、行ってらっしゃいね、河村さんに迷惑かけたりしないでね、それと、帰りちゃんとお父さんの携帯に電話掛ける事。」 「はい、はい、お母さんわかってるよ。」  私は、バスに乗り駅へと向かった。  電車に乗り、東京駅に到着、時間は18時少し前に着いた。 「えっとー、ここから、八重洲南口に行って。」事前に調べて、印刷した地図を頼りに歩くが、居酒屋が並ぶ通りに歩くと、すぐに「のんべぇー」の看板が目立ってあった。 (これ、地図いらなかったかも、ここまで目立つ看板があるとは、方向音痴の私でも迷わないわ。)  「のんべぇー」のお店に着くと、ちょうど18時を少し過ぎた頃だった。 (外で会うの、あの時以来だから緊張する)  深呼吸して中に入る。 店員「いらっしゃいませ。」 「予約した河村さんのお連れなんですけど。」 店員「河村さんですね、奥の個室にいらっしゃいます。ご案内しますね。」店員が個室の目の前に来て。 店員「どうぞ」と言う 「ありがとうございます」私は、個室を開けると、河村さんが入り口側に居た。 「こんばんは、河村さん。」と声を掛ける。 「おっ、美穂ちゃん、こんばんは、店分かったかな?」 「ええ、すぐに分かりました。少し遅れて、すみません。」 「いーの、いーの、部屋、座敷で大丈夫だったかな?」 「大丈夫ですよ、ミニスカートは履いてきてませんから。」 「惜しい」 (おい、おい、何期待してるんだか) 「失礼します」って言って、河村さんの斜め反対側に座る。 (美穂ちゃん、座り方上品だな、やっぱり育ちの良いお嬢様なのかな。)河村さんは、私の方をじっーと見てた。 「どうしました?河村さん?」 「いや、いや、何でもない。最初ビールで良い?美穂ちゃん。」河村さんは、もう飲んでたみたいで、河村さんの前には、ビールジョッキと複数のお料理が並べてあった。 「はい。大丈夫です。」店員がお通しを持ってきた時に、河村さんが注文する。 「あと、食べたい物があったら、何でも頼んで、今日は、俺のおごりだし、じゃんじゃん食べて、飲んで、ここ料理も美味しいから、美穂ちゃん好き嫌いはあるの?」メニューを渡し聞く。 「いーえ、何でも食べますよ。」河村さんは、嬉しそうに、 「そう、そう、若い者は何でも食べないとなぁ。」 (なんか、河村さんってじいじみたいだな。あっ、あの事聞いてみようかな?)私は、遠慮がちに河村さんに。 「あのー、河村さん、友達に聞いたんですが、「どうぶつ学園」の収録中に、女性客同士の乱闘事件があったって本当ですか?」河村さんは、驚いたように私の顔を見て、 「あちゃー、美穂ちゃんの耳にも入っちゃたのか、いやー、正直俺も色々なテレビ番組に出てるが、あんな騒動は、初めてで、新ためて、女の嫉妬って怖いと思ったよ。」 「そうだったんですね、もしかして、ダイ君その時に、精神的不安定に?」 「そっ、2,3ヵ月は、良くなったり、悪くなったりを繰り返して、なかなか出演も出来なくて、あの事件から、何年も経つが、なかなか元通りに未だに出来なくて、なるべく口にする事も避けていたんだ。」 「そうだったんですね。」 「美穂ちゃんも、知ってしまったのは、仕方ないが、出来ればその話はしないで欲しい、特に戸葉ちゃんの前では、一番責任感じてるから。」 「分かりました。誰にも話さないから大丈夫です。」 河村さんは、「ありがとう」と 「さて、せっかくビールもきたし、乾杯しますか。」 「あっ、ちょっと待って。」じいじの写真を隣に置き。いつの間にかきてたビールを手に取り、 「かんぱーい。」っと河村さんとグラスを合わせた。 「うん。美味しい。」冷えたビールは格別だった。 「あっ、そういえば美穂ちゃん、ダイ君の話しで思いだした、トレーナーが美穂ちゃんにって。」それは、プレゼント用に包装した四角い箱だった。 「これって、もしかして。」 「そう、ダイ君が美穂ちゃんのハンカチ気に入って持っていっちゃったから、その代わりに新しいハンカチ買ったみたい。」 「わざわざ良かったのに、ダイ君の血ついちゃたし、記念にってあげただけなのに。」 「まあ、まあ、そう言わないで、もらってあげて、美穂ちゃんの為に選んだみたいだし。」私は、ハンカチを受けとり 「ありがとうございますってトレーナーさんに伝えておいて下さい。」 「うん。それと、今週の「どうぶつ学園」の番組、ダイ君の腕見てみ、美穂ちゃんのハンカチ、バンダナみたいに巻いてるから。」 「わぁー、本当ですか、楽しみに観ます。」 (あっ、その日は仕事だから録画して観ないと) 「話しは、変わるけど、美穂ちゃんって平日休みなの?」 「はい、大手のホームセンターに勤めていて、不定休の平日休みなんです。」 「そう、じゃあ、来月は、大型連休来るから忙しくなるんだね。」 「そうなんですよ、大型連休になると、遠方から来る客も多くて、クセのあるお客さんとか来て大変なんですよ。」 「そうだよなぁー、サービス業は、大変だよなぁー。」 「河村さんも連休中色々な番組出て忙しいじゃないんですか?だってお笑い界の帝王なんですから。」 「いやー、昔は、そんな風に呼ばれてた事があったが、これから若い人の出番だ、俺も、人材の育成にまわった方が良いのかなって、最近思ってるんだよ。」 「駄目ですよ、河村さんは、まだまだお茶の間の皆さんを笑わせないと、私も河村さんのコント番組好きなんですから。」 「はっはっ、美穂ちゃんに言われたら、頑張るしかないな」私は、河村さんと笑いながら、私の趣味の話しをしたり、河村さんと共演した芸人さんの話しをしたりと、美味しいお料理に、お酒も進み、気がつくと、1時間があっと言う間に過ぎた。 「もう、河村さん、笑わせ過ぎですよ。」 最初の緊張もすっかり解けて、河村さんも良い感じの酔い具合になり、私もほろ酔い気味になっていた。 「うーん、戸葉ちゃん遅いなぁ。」 (それにしても河村さん、噂には、聞いてたがお酒強い、もう何杯目?えっ、日本酒にまで着手しようとしてる、私なんかまだビール1杯とチューハイ1杯なのに) 私が河村さんの飲んでるお酒をじっーと見てると、 「どうしたの?美穂ちゃん?」 「いえ、なんか河村さんって、じいじよりお酒強いかもしれないですね。あっ、戸葉君今日来るって?」 「さっき、メール来て仕事終わったから今行くって」私は、ドキドキして、鼓動が早くなった(うん?多分飲んでるせいだなぁ、動悸が早いのは、そういう事にしとこう。) 「そういえば、おじいちゃんもけっこう飲たむ人だって言ってたよね。どの位飲んでた?」じいじの写真を見て聞いた。 「どの位って言われても、一番インパクトあったのが、一升瓶抱えて飲んでた時がびっくりしたけど。」 「大丈夫、俺なんか一升瓶2本抱えて飲んだ事あるから。」 「それは、ヤバイですよ、河村さん。早死にしますよ。」  大笑いしながら話しが盛り上がってると、そこに。 「お疲れ様ですって、2人も盛り上がってますね。」っと戸葉君が入って来た。 「戸葉ちゃん、遅いー、盛り上がってるよね、美穂ちゃん。」っと河村さんが、 「戸葉君、お疲れ様です。」私も笑顔で戸葉君に言う。  「あっ、お疲れ様です。」 (佐川さんの笑顔やっぱり可愛い、疲れが癒える、それにしても佐川さんも、顔赤いからけっこう飲んでる?っていうか飲まされたか)  戸葉君は、河村さんの隣に座り、私と向かい合わせになった。  「戸葉ちゃん、ビール頼む?あと食べ物は?」メニューを見て河村さんが聞く。  「うん、ビールで良いよ、あと食べ物はいつもの。」っと戸葉君が答える。  「美穂ちゃんは?」っと河村さんが聞くと、 「私は、まだあるから大丈夫だよ。」っと答えると、  「えー、飲もうよ、美穂ちゃん。」っと河村さんが言ってくる。 「明日仕事あるんですから、河村さんみたいに一升瓶抱えて飲むほど強くありませんから。」  「もう、しょうがないなぁー、美穂ちゃんったら。」っと河村さんが残念そうに言う。  (なんか、この2人めちゃくちゃ仲良くなってない?俺入る隙間あるのか)っと戸葉君は思う。  「お待たせしました。」っと店員さんがお料理等を持って来た、すかさず私は 「これ、持って行って下さい」空の食器を渡す。 「そういえば、戸葉君、さっき注文の時いつもの。って言ってだけど、何回か来てるの?」って私が急に話しかけたら、少しびっくりして、  「うん、東京駅から近いから、たまに河村さんや、他の人達と何回か。」っと戸葉君が答える。 「そうなんだね。」  「では、では、戸葉ちゃんも来たところで、もう、一回乾杯しますか、美穂ちゃん。」っと河村さんが言ったので、 「はーい。」っと返事をして。  「お疲れ様です。かんぱーい。」っとグラスを合わせた。  その後、私は、戸葉君と河村さんの話しを聞きながら、相づちをうったり、一緒に笑いながら、話しをしてた。ふいに、戸葉君が私の方を見て、  「そういえば、佐川さんに聞きたい事があったんだけど」っと言うと、私は、ちょっとドキッとした。 「なあに、戸葉君。」  「この間の生放送の収録の後、河村さんとの会話を後ろで聞いてたんだけど、なんで、おじいちゃんの事、じいじって呼んでるの?」っと戸葉君が聞く。  (えー、そんな事って私何期待してたんだろう)  「あっ、俺もそれ聞きたかった。」っと河村さんも言い。 はぁー、っと少しため息ついて、 「じいじは、愛称だよ、ちなみにじいじは、お母さんのお父さんで、私が生まれた時からじいじって呼んでて、おじいちゃんも自分の事じいじって言ってたから、自然と家族全員じいじって呼んるんだよね。」  「お母さんの方のお父さんだったんだね。」っと河村さんが聞く。 「うん、あっ、2人にもちゃんと言っておくけど、私、年上好きでも、おじいちゃん好きでも無いからね。」  「えっ、違うの。」っと河村さんと戸葉君が言う。 (やっぱり2人ともそう思ってたか。) 「もう、違うよ、ちゃんと去年までは、彼氏居たし。」(確かに年上だったけど、)  (やっぱり佐川さん、美穂ちゃん可愛いから彼氏居たよね、こんな良い娘を世の男性がほっておくわけ無いもんなぁー)っと河村さんと戸葉君が思う。  「だって良かったな、戸葉ちゃん」っとポンッと河村さんが肩を叩く。  「何が良かったんですか。」っと言う戸葉君に。                     そんなやりとりを見て私がポツリと話す。 「確かに、おじいちゃんっ子でしたが、それは、私の両親が小学生と中学生の時は、不仲で、その時は、共働きで、家に帰っても居なくて、帰って来ても、喧嘩してたり、時には、物を投げ合う音が聞こえてたりで、家に居るのが辛くて、じいじの家は、私の家から2駅の所で比較的に近かったので、冬休みや夏休みの長い休校日には、泊まりに行ってる事が多くて。」 河村さんと戸葉君は、黙って私の話しを聞いていた。私は、一息ついて 「正直、あの頃は、家に居場所が無くて、じいじの家だけが私の居場所だったんです、だから、すっかりじいじの家には、私の部屋がある位でした。河村さんと会った時もじいじの家に泊まりに来た時だし。」話ししてると何故か場の雰囲気がシーンとなってるの気がつき、 「あっ、ごめんなさい、お酒の席でこんな暗い話しをして。」  「いや、いや、なんか辛い事思いださせちゃって、そんな事情があったとは、知らずに、で今、両親の仲は?」っと河村さんが聞くと、  「おい、おい、河村さん、突っ込んで聞きすぎじゃない。」戸葉君もだいぶお酒が、入ってるのか、少し河村さんに、ため口になって言う。そんな事も気に止めず、  「えー、だってここまで聞いたら、その後が気になるじゃん。」っと河村さんが言うのを聞き、 私は、クスックスッっと笑って、 「大丈夫ですよ、戸葉君、その後は、私が中2の時、元々体が弱くて、風邪を引きやすくそんな家庭環境だった為、私が悪化するまで、気がつかず、重度の肺炎になって集中治療室に入るほどだった時があって、幸いに一命はとり止めたんですが、その時から、両親は仲良くなって、私も無事に受験を乗りきり、志望した高校にも入学出来たって言う話しです。」  「じゃあ、高校生の時からは、両親が、仲良くなったんだ、良かったね。」っと戸葉君が言う。 「うん、両親の仲は、良くなったんだけどね。」私は、少しうつむきかげんに話す。  「??」っと戸葉君。  「でも、さあ、大人って勝手な生き物だから、こんな可愛い娘が居ても、何が原因で不仲になったかは、聞かないけど、一度仲悪くなると、なかなか収まらなかったりして、美穂ちゃんが両親に対して嫌な思いしてたように、両親も美穂ちゃんに悪いなぁーって思ってたと思うよ。」っと河村さんが言うと、 「河村さんの言う通りだといいですけど。私、御手洗い行って来ます。」っと立ち上がる。  「はーい。行ってらっしゃい。」っと河村さんが言う。  私が御手洗いに行ってる間  「いやー、びっくりしたなぁー、俺、佐川さんが、そんな家庭環境で育ったなんて。」っと驚きながら戸葉君が言う。  「俺も美穂ちゃん、育ちの良いお嬢様だと思ってたから、見てよ、このテーブル、ほとんど空いてる食器が無く、すっきりしてて。」っと河村さんが、  「そういえば、佐川さん、俺達が飲み食いしながら話ししてる時、ちゃんと店員さんに、空いてる食器下げさてた気がする、佐川さんも飲み食いしてたのに、男同士で行くと、いつも空き食器いっぱいで、食べ物置くの困る時あったのに。」っと戸葉君が  「今日は、飲み食いしやすいもんなぁー、親のしつけじゃなく、おじいちゃんのしつけが良かったんだろうな。」っと感心しながら河村さんが  「さすが、年の功だよなぁー、厳しかったんだろうなぁー、。」っと戸葉君が、  私が御手洗いから戻ると2人が尊敬な目で見てた。 「どうしたの?2人とも私の顔に何かついてる?」  「いーえ、何も。」っと河村さんと戸葉君が言う。 「??」(どうしたんだろう?)  「俺も便所行って来る。」っと河村さんが言うと、  「河村さん、女性の前で、その言葉は、ちょっと。」戸葉君が言うと、河村さんは、いーの、いーの、って感じで手を振り、フラフラで行った。 「大丈夫かな?河村さん、ずいぶん飲んでるから、足元危なっかしいけど。」  「大丈夫ですよ、いつもの事ですから、佐川さん何か飲みます?」メニューを渡して戸葉君が聞く。 「私、ウーロン茶で、そろそろお酒ストップしないと、明日の仕事に影響しそうですから。」  「そういえば、佐川さんってお仕事何してるんですか?」っと戸葉君が聞く。 「大手ホームセンターに勤務してます、サービス業だから、毎月の第3火曜日の定休日以外は、平日の不定休なんですよ。」  「サービス業なんだじゃあ、来月の大型連休は、大変ですね。」っと戸葉君が言うと、 「ええ、でも戸葉君もサービス業みたいな物ですよね?お休みとか、ちゃんとあるんですか?」  「うーん、前は週1とかあったけど、今は、忙しいからある時と無い時があるなぁー、あっ、そういえばこれ、忘れてた。」戸葉君は言いながら、バックからスカイハイのCDを出した。 「えー、本当にプレゼントしてくれるんですか?」  「うん。っと言っても店頭には無いからネットで買ったんだけどね、これ聴いて少しでもスカイハイの事を知って下さい。」っと言い戸葉君が渡す。 「もう、どれだけスカイハイのファン増やすんですか、戸葉君。でも、ありがとう、明日から車で聴くね。」っと笑顔でお礼を言うと  「うん。」っと戸葉君が笑顔で返してくれた、そこへ河村さんが帰って来て、  「あれ、あれ、なんかいい雰囲気になってる。」っと言う。  「何言ってるんですか、河村さん、俺も御手洗い行って来ます、あっ、佐川さん、注文来たら、俺の所置いておいて。」っと言い、戸葉君が立ち上がる。  「はい。行ってらっしゃい。」  「何だかんだか言って、今日は、戸葉ちゃんいつもより、楽しそうだよ。」っと河村さんが言う。 「そうなんですか?」  「うん、美穂ちゃん、俺位の歳になると、戸葉ちゃんや美穂ちゃんは、息子や娘の感覚になるんだよね。戸葉ちゃん、あの例の事件で、女性が苦手になっちゃって、女性へ対して警戒心強くて、でも、この間収録の時、美穂ちゃんが、戸葉ちゃんと話して楽しかったって言ったら、久しぶりの優しい目で良かったって言った時、俺もゆみちゃんも嬉しかったんだ」っと河村さんが言う。 「そうだったんですね。」  戸葉君は、帰って来て近くまで来て止まる。  「この間の生放送の収録の時、美穂ちゃんを戸葉ちゃんに送らせたのも、ディレクターが悪気は無くても、ついついあの事件の事を持ちだしたら、戸葉ちゃんだけじゃなく、皆が気分悪くすると思ったから、美穂ちゃんには、本当に悪いと思ったけど」っと申し訳なさそうに河村さんは言う。  (河村さん、そこまで気を遣ってくれたんですね)っと戸葉君が思う。  「美穂ちゃんには、迷惑な話しかもしれないけど、別に、戸葉ちゃんの彼女になってとは、言わないけど、せめてお友達に、なって下さい。」河村さんが私に頭を下げた。  (なんか、とんでもない事を佐川さんにお願いしてるな)っと引き戸に手をかけた戸葉君。 「頭を上げて下さい河村さん、私も戸葉君とお話してて楽しいし、お友達位なら全然大丈夫ですよ。」  (佐川さんって本当に優しいなぁーって言うか、嬉しいかも。)っと戸葉君は思う。  「本当、美穂ちゃんありがとう」って、河村さんが、がしっと手を握った、急だったので、私は、つい 「キャッ」と悲鳴に近い声をあげた。  (やばい。河村さん暴走し始めてる)急いで引き戸を戸葉君が開けて、  「何やってるんですか、河村さん、酔った勢いで、佐川さんの手を握って。」っと戸葉君が慌て言う。  「なぁに、戸葉ちゃん羨ましいの、じゃあ、美穂ちゃんの手あげるよ。」っと河村さんが私の手を離し戸葉君に差しだそうとする。すかさず私は、 「もう、私の手は物じゃありません。」っと手を引っ込める。 (さっきの会話、戸葉君聞いてないよね、私すごい事言った気がするし。)戸葉君の方を、そっと見るが何も無かったように、河村さんと会話をしていた。それを見て (ちょっとほっとしたような、がっかりしたような感じだな)っと思って2人の会話を聞いていた。  「そういえば、さっきからずっと気になってたんだけど、戸葉ちゃん、ずいぶんお酒の席で仲良くなったと思うのに、なんで、美穂ちゃんの事まだ苗字で呼んでるの?美穂ちゃんだって戸葉君って呼んでるのに。」っと河村さんが聞く。 「あっ、ごめんなさい。歳が近いからつい。」  「いえ、俺は全然気にしてませんからって言うか、河村さん、勘弁して下さいよ、俺、女の人名前で呼ぶの苦手なんですよ。」っと戸葉君が言う。  「えー、美穂ちゃん可哀想。」っと私を見て河村さんが言う。  「いえ、いえ、私は、気にしてませんから。」っと返す。               それから、しばらく酔って、眠ってしまった河村さんを、そのままに。私は、戸葉君とプライベートの話しや、スカイハイのメンバーの話しなどを楽しく話していた。 「えー、マンガ好きなんだ戸葉君。」 「けっこう好きだよ、スポーツ系とか、佐川さんも読むの?やっぱり女子って恋愛系が好きなの?」 「恋愛系も好きだけど、男子が読むマンガも、面白ければ読むよ。」っとマンガ話しが盛り上がってきたところで、 ぐぉー、ぐぉー、っといびきが、 「やばい、河村さん、ガチで寝始まってる、そろそろ起こさないと、あっ、佐川さん、今日は、電車で帰るの?」 「うん、駅着いたら、お父さん迎えに来てくれるから私は、大丈夫。」 「そう。じゃあ、俺タクシー呼んでもらうね。」  私は、じいじの写真を見て、「じいじ今日は、河村さんと飲めて楽しかったね」っと呟き、じいじの写真をしまう。  戸葉君は、河村さんを起こし、支えながら歩く。 「もう、河村さん、ちゃんと歩いて下さい。」 「うーん、美穂ちゃん。」っと戸葉君に抱きついてくる。 「俺は、佐川さんじゃありません、引っ付かないで下さい。」 「戸葉君、会計大丈夫なの?」 「大丈夫だよ、いつも前金でざっくり払ってるから。足りない分は、次来た時請求するみたいだから。」 (さすが河村さん、懐が広い?)  「今日は、河村さん、若い女性が居たから、だいぶ呑んじゃったみたいですね。」っと苦笑しながら店員さんが言う。 「本当に、飲み過ぎですよ、河村さん。」 戸葉君は、河村さんをタクシーに乗せ言う。 「うーん、だって美穂ちゃんと一緒で楽しかっただもん。」っと河村さんが言う。 「私も楽しかったですよ、河村さん、ご馳走様でした。又機会が、あったら、ぜひ一緒に飲みましょう。」 「おう、第2弾又行きましょう。」っと酔っぱらいながら河村さんが言う。 「おやすみなさい、河村さん。戸葉君、河村さんをよろしくお願いしますね。」 「うん、佐川さん、すみませんね、駅まで送って行けなくて。」 「大丈夫ですよ、駅すぐそこですし、今日は、一緒に飲めて、色々お話し出来て楽しかったです。ありがとうございました。」私は、戸葉君に頭を下げて、駅へと向かう。  (俺、佐川さんの気持ちに応えてない。こんな俺に友達になって良いって言ってくれたのに。)俺は、拳を握り勇気をふりしぼり、 「美穂ちゃん」っと声をかけた、私は、振り返り驚いた。 (今、戸葉君私の事名前で呼んだ?) 「あの、そのやっぱり心配だから、お父さんの車に乗ったらメールして。」っとポケットからスマホを取り出す。 「あっ、戸葉君もうスマホなんだね。」 「CM出演してたから、それで、美穂ちゃん通信機能付いてるかな?」 「私、この間携帯調子悪くて、機種交換して、最新のになってるから、付いてると思うから、これかな。」 「よし、じゃあ、俺のメルアド送るね。」 「あの、戸葉君、私にプライベートのメルアド送って大丈夫なの?」戸葉君は、クスッと笑って、 「美穂ちゃん、俺と初めて言葉を交わした時の事覚えてる?」 「えっと、確か、ダイ君が私が離れなかった時だよね。」 「そう、あの時美穂ちゃんは、俺に大丈夫だからって目を見て言ったよね。」 (今考えたら、私大胆な事したよね、つい、戸葉君が焦ってるのに気づいてたから)少しうつむき頷く。 「あの時、俺は、目を見てきちんと話すこの娘は、信じられるって思ったんだ、だから、美穂ちゃんの事信じてるから。」優しい笑顔で言われて、私は鼓動が早くなるのを、感じた。(これは、お酒のせいじゃないよね) 「ありがとう、戸葉君。」 「うん、俺のメルアドちゃんと送信された?」私は、携帯を見た。 「うん。大丈夫みたい。」 「良かった、じゃあ、忘れずにメールしてね、気をつけて帰ってね。美穂ちゃん。」戸葉君は、タクシーに乗り、後部座席から手を振った。私も手を降り返し、駅へと歩いた。  私は、戸葉君に美穂ちゃんって呼ばれた声が頭から離れないでいた。嬉し過ぎて泣きそうになりそうだった。  駅へ着きホームで待つ間お父さんに電話をした。 「お父さん?今飲み会終わったから、今電車に乗って帰る。」 「そうか、分かった、駅前で待ってる。」 「うん。」  電車がホームに入って来た。  一方、戸葉君タクシーの中 (何だろう、俺、美穂ちゃんを呼んだ時、一瞬今まで抱えてた何かが吹っ飛んで心が軽くなった気がした。今日飲み会来て良かったな、おせっかい河村さんのおかげだな)戸葉君は、隣で寝ている河村さんに 「ありがとう、河村さん」と呟いた。 運転手「お客様さん、目的地に着きました。」 「はい、すみませんが少し待っていてくれませんか?この人家まで運びますから。」 運転手「はいよ。」 「ほら、河村さん着きましたよ、起きて下さい。」 「うーん、もう着いたの?」 「河村さん、家の鍵は?」戸葉君は、家の鍵を受けとり、中に入り、河村さんを家に入れる。 「河村さん、鍵渡しますよ、ちゃんと戸締まりして、布団で寝て下さいね。」 「はーい、戸葉ちゃん、タクシー代、お釣はもらって良いよ。」戸葉君に万札を渡して言う。 「お釣は、今度の収録の時渡しますよ、それでは、おやすみなさい。」そう言うと玄関を閉めた。「おやすみ、戸葉ちゃん。」家の中の河村さんの声が聞こえた。 (やれやれ、毎度毎度飲むたびに世話のやける人だよ、河村さんは。) 「すみません、運転手さんお待たせして。」 運転手「いえ、今の君の上司?大変だね。」 運転手さんは、スカイハイの戸葉君やお笑い界の河村さんだと分からなかったみたいで聞いた。 「ええ、世話のやける上司で大変です。」 次の行き先を言い、後部座席にもたれた。ふと、スマホを見るとメールが入っていた。 (美穂ちゃんだ)  「美穂です。今お父さんの車に乗りました。今日は、楽しい時間をありがとう。戸葉君も家に帰ったらゆっくり休んで下さいね。おやすみなさい。」 (ありがとう。美穂ちゃん、俺も楽しかったよ、今日は、ゆっくり休めそうだよ。) メールの返信をして、そんな事を思う戸葉君でした。  一方。美穂のお父さんの車の中 「お父さんお待たせ。」 駅から出て、お父さんの車の後部座席に乗る。 (戸葉君にメールしなきゃ、初メールドキドキだよ) 送信したら、すぐ返事が返ってきた。 (返信早いなぁー) 「戸葉です。無事お父さんの車に乗れて、ほっとしてます。今河村さんを家に送り届けて、今から、家に向かってます。美穂ちゃんも明日仕事なので、ゆっくり休んで下さい。又メールしましょう。おやすみなさい。」  戸葉君からの初メールを読んだ私は、思わず、ニヤニヤしてしまった。その様子を見てたお父さんが、 「美穂、今日は飲み会楽しかったのか?」 「うん、楽しかったよ。」っと嬉しそうに言った。 「そうか、良かったな。」  あっと言う間に家に着き 「お父さんありがとう」っと言い、 「ただいま」っと家に入る。 「美穂、おかえり、お風呂出来てるから、冷めないうちに入りなさい。」 「はーい。」 お風呂から上がり2階の自分の部屋に戻る。 ベットに座り、里穂にメールして、今日の飲み会の報告を簡単にする。 河村さんや戸葉君が飲み会に来て色々お話しした事、戸葉君にCDプレゼントされた事、飲み会の帰りに名前で呼ばれて、メルアドを交換した事。気がつけば、今日の飲み会は、戸葉君一色の報告になっていた。 (里穂、このメール見たら何て言うかなぁー) 私は、里穂にメールを送信して思う。  私は、ベットに横になり、さっき送信された、戸葉君のメールを見た。 (なんか、やっぱり嬉しいなぁー、夢みたいだよ、こうやって戸葉君とメール出来るのが、明日目覚めたら、メール消えてたりして)そんな事を思いながら、眠りについた。
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