休みの日に

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休みの日に

 飲み会の次の夜、予想通りに里穂から電話が来た。  プルルー、プルルー、 「はい。」私が電話に出ると、 「美穂ー、ちょっと昨日のメールどうゆう事?なんで、戸葉君が美穂の事名前で呼んで、メルアド交換してるのよ。」少々、興奮して、私に詰め寄る。  「ちょっと、里穂落ちついてよ、ちゃんと順おって説明するから。」電話の向こうで深呼吸するのが聞こえた。 「落ちついたわよ、で、どうゆう事美穂?」 さっきより冷静になって聞く。 「うん、昨日の飲み会、河村さん先に酔いつぶれちゃって、それで、戸葉君がタクシーで河村さんを送る事になって、それで、私を駅まで送れないから、心配だから、メールしてって事でメルアド交換したんだけど、私も戸葉君が、どういう心境で、私を名前で呼んだまでは、分からないけど、正直、涙が出るほど、嬉しかったけど。」 「それは、そうでしょう、噂では、女性が苦手になってる戸葉君が美穂を名前で呼ぶなんて、異例な事だと思うよ、これは、彼女昇格早いかな。」 「やめてよ、里穂、それはあり得ないよ、戸葉君、友達多いから、私もその中一人だよ、大体、スカイハイの戸葉君の彼女なんて、私には、不釣り合いだよ。」 「そうかな?それにしても戸葉君のメルアド良いなぁー、私も教えて欲しい。」 「駄目です。戸葉君の許可なしに教えられません。」 「だよね、そういえば、美穂知ってる?来月の大型連休に、特別企画で、「どうぶつ学園」生放送するの。」 「ううん、初めて知った。」 「えー、戸葉君に聞いて無いの?」 「うん、だって飲み会の時以来メールしてないし。」 「美穂、何、宝の持ち腐れしてるのよ。勿体ないなぁー、」 「だって、何メールして良いか、分からないし。」 「もう、しょうがないなぁー、美穂は。それでね、その生放送の時に、前から要望があった、お客様を名指しして、動物のアシスタントをして、進行するコーナーやるみたいだよ。」  「えー、戸葉君大丈夫なのかな?あの例の事件の後、まったくやらなかったのに。ってなんで、里穂そんなに詳しいの?」 「来月のテレビ番組雑誌に載ってたの、その来月の雑誌スカイハイが表紙を飾ってたから、買ったの、そしたら、特別番組欄に、「どうぶつ学園」初回コーナー復活みたいに載ってたのよ。」 「そうなんだ。」 「美穂気になるなら、直接戸葉君に聞けばいいじゃん。」 「ダメだよ、河村さんに、戸葉君の前では、あの事件の事は、言わないで言われてるから。」 「えっ、何美穂、あの事件の事、河村さんに聞いたの?」 「うん、ダイ君の事気になってたし。」 「そっかー、じゃあ、さりげなく聞いて見たら、大型連休、生放送やるんですね、みたいな感じで、せっかくメルアド交換してるんだから、話さないなんて、勿体ないよ。」  「そうだね、あっ、里穂は、大型連休どうするの?」 「予定としては、あの例の狙ってる新人君誘って、男女数人で旅行行こうかなって思って。で、美穂は、大型連休いつ休みになったの?」 「最後の日が休みだよ。」 「ちょうど良かった、では、2泊3日の旅行行ってからの、美穂の休みに食事行こうか?ほら、収録行けなかったお詫びに、私がご馳走してあげるよ。」  「ほんと?やったー。」 「うん、実はね、行きたかったバイキングのお店があって、そこ夜お酒も飲めるから、美穂飲んで良いよ。私ノンアルコールにするから。」 「うん、楽しみだな。バイキング何のお店?」 「イタリア料理のお店だから、ワインが美味しいかもよ。私ね、今度旅行の時、新人君に告白しようかなっと思っててね、もし、玉砕したら、美穂にいっぱい愚痴聞いてもらうから、よろしくね。」 「げっ、それは嫌かも。」 「じゃあ、食事行く時間とか決めといて、私今から旅行のプラン決めで忙しいから。」 「分かったよ、後でメールするね。」 「それと、せっかくなんだから、戸葉君にメールしなよ、又色々聞かせてもらうからね。それでは、またね。」 「はい、はい、またね。里穂。」 ガチャっと電話を切る。  生放送でお客様を名指しして、アシスタントをしてもらうコーナーやるのか、戸葉君大丈夫なのかな?   「どうぶつ学園」生放送会議室  「おはようございます。」っと俺が挨拶する。  「おはよう、戸葉君。」っと村瀬さんが返す。  「おはよう、戸葉ちゃん、月曜日の飲み会ごめんな、俺先に酔いつぶれちゃって。」っと河村さんが謝る。  「いーえ、いつもの事ですから、はい、タクシー代のお釣です。」っと俺は、お釣を河村さんに渡す。  「いつも、律儀だね、戸葉ちゃんは、で、俺がつぶれた後、美穂ちゃんと楽しくお話し出来た?」っと河村さんが聞く。  「ええ、まったく俺は、慣れてるから良いけど、美穂ちゃんが主催者が先に酔いつぶれて、って呆れてましたよ。」っと俺が言うと、  「ん?戸葉ちゃん、今誰が呆れてたって言った?」っと河村さんが聞き返した。  「はぁ?だから、美穂ちゃんが」ハッと気づいて俺は、口を抑えて赤くなった。  「ほぉー、俺が眠りこけてる間、ずいぶん美穂ちゃんと仲良くなったんだね、戸葉ちゃん。」ニヤニヤしながら河村さんが言う。  「私も嬉しいなぁー、戸葉君の口から女性の名前が出る日が来るなんて。」っと村瀬さんまでが言ってくる。  「なに、大げさな事言ってるですか、村瀬さんまで、だいたい河村さんが美穂ちゃんに俺と友達になって欲しいって頼んだじゃないですか。」っと俺は、抗議をするように言う。  「なあに、戸葉ちゃん、盗み聞きは、良くないよ。」っと河村さんが言う。  「たまたま聞こえたんです。」っと俺は否定するように言う。  河村さんは、村瀬さんに小声で  「戸葉ちゃんと美穂ちゃん進展早くなりそうだね。」  「うん、うん、」河村さんと村瀬さんは、戸葉君の方を見てニャッとした。  「また2人何か企んでません。」っと俺が聞くと、  「何も。」っと河村さんと村瀬さんが言う。  そこへ、ディレクターが来て。  「これから、生放送番組の打ち合わせを始めます。監督お願いします。」っと言い、  「今回、皆さんも知ってる通り、視聴者の再開を望む声が多かった、初回の放送で反響の多かった、お客様が動物のアシスタントをしながら、動物の生態を間近で知ってもらうコーナーを中心に今回番組を進める事になった。」っと監督が全員を見回して言う。  「ですが、前に色々ありましたので、今回は、事前に指名する相手を決め、その人にアシスタントをしてもらう事にした、それで良いな、戸葉。」っと俺の方を見てディレクターが言う。  「はい。大丈夫です。」っと俺は、返事をした。  「それでは、今から段取りを決めていく。」っとディレクターが全員に言う。  大型連休初日 (ああー、今日から連休か、憂鬱だな。) 美穂は、通勤途中の車の中そんな事を思う。 (さて、戸葉君になんてメールしようかな?) 意を決して、メールする事を決めたが、何て入れるか決められずにいた。 (やっぱり、お客様名指しコーナーは、触れないで、生放送頑張って下さいが、良いかな、よし、決めた、お昼休みメールしよう)  そして、お昼休み、お弁当を食べながら、朝、あれこれ考えたメールを入れる 「お疲れ様です。戸葉君、美穂です。大型連休始まりましたね、忙しいですか?先週の土曜日の「どうぶつ学園」観ました。ダイ君 、腕に私のハンカチして、ご機嫌でしたね、私のハンカチ大事にしてくれて、嬉しかったです。そういえば、連休中、特別企画で「どうぶつ学園」生放送やるんですよね、楽しみにしてますので、頑張って下さいね。」っとこんな感じで良いかな、では、送信。  私は、ドキドキしながら、メールを送った。  (戸葉君返事くれるかな?)   「どうぶつ学園」生放送当日  「おはようございますって、あれ?河村さんは?」っと俺は、村瀬さんに聞く。  「おはよう戸葉君、河村さん、スタジオで、ディレクターと最終チェックしてるよ。」っと村瀬さんが答える。  「そうですか。」俺は、ふとスマホを見ると (あれ?美穂ちゃんからメール入ってた、気がつかなかった、美穂ちゃん生放送知ってたんだって言う事は、今回の企画も知ってるよね、なんか、この間の河村さんとの飲み会の会話から、美穂ちゃん例の事件知ってる感じだったのに、俺に気遣って触れずにいたのかな、本当に優しいなぁー、あっ、返信しないと)  「返信遅れて、すみません、戸葉です。これから生放送入ります、美穂ちゃんは、仕事だから、観れないかな?でも、俺頑張ってきます。仕事終わったら又メールします。」っと送信。嬉しそうな顔でメールする俺に  「ねぇ、戸葉君、もしかして、美穂ちゃんとメールのやりとりしてるの?」っと村瀬さんが聞いて来た。  「なんですか、急に。」っと俺が言うと、  「だって、嬉しそうな顔でメールしてるから、いやー、いつの間にそんな仲良くなっちゃたのかな、戸葉君。」っと村瀬さんが  「ちょっと、村瀬さんまで、河村さんみたいな事言わないで下さい。」っと俺が言うと、  「呼んだか?」河村さんが楽屋に戻って来て言う。  「ちょっと聞いてよ。河村さん、戸葉君、美穂ちゃんとメールのやりとりしてるんだって。」っと村瀬さんが河村さんに言う。  「おー、そうか、美穂ちゃんとそこまで進展したか、俺は嬉しいよ。」っと嬉しそうに河村さんが言う。  「うん、うん、」2人は、目をうるわせ俺を見る。  「もう。2人とも俺をからかうのやめて下さいよ。」っと俺が言うと、  「ウキキー」っとダイ君の声が  「おはようございます、皆さん、今日生放送ダイ君宜しくお願いしますね。」っとトレーナーが挨拶をする。  「お、ダイ君登場でメンバー揃ったところで、それでは、生放送頑張りましょう。」っと河村さんが言うと 全員で「はい。」っと返事をした。 「お疲れ様でした。」 「お疲れさん、佐川さん、又明日ね。」本多さんが声をかける。 (本多さんには、絶対言えないよね、戸葉君とメールしてるなんて)私は、本多さんの後ろ姿を見て思う。 (あー、今日も疲れたなぁー、)そう思いながら、携帯を見ると、 (あれ?戸葉君からメール入ってる、そっか今日生放送だもんね、朝からお母さん、ウキウキしてたから、って仕事終わったらメールするって今何時?早く帰らないと)慌てて、駐車場へと向かう。 「ただいま」 「お帰り。美穂、お疲れ様。」 「お帰り、美穂。」リビングで晩酌中だったお父さんが声かける。 「ただいま。お父さん。」 2階に上がり、着替えて、手を洗い、ダイニングテーブルに座る。 「ねぇ、美穂今日の「どうぶつ学園」の生放送良かったわよ。」 「あれ?お母さん観たの?」 「うん、観たわよ、お父さんは、面白くない顔してたけど、やっぱり、お客さんが一緒に動物に触れあえるコーナーって良いわよね、「どうぶつ学園」らしくて、なんで、あの企画無くなったのかしらね。」 (お母さんは、知らないよね、女性観客乱闘流血事件が起きたからって) 「さあね、ほら、やっぱり新しい企画も新鮮だし、同じのをずっとやるよりも良いと思ったんじゃない。あっ、お母さん録画してるよね?」夕食を食べながら、適当に言う。 「録画ちゃんとしてるわよ。それもそうかもね、それにしても今日も戸葉君格好良かったなぁー、」 (母よ、また乙女になってる。) 「ごちそうさま。」 食器を洗い、2階の自分の部屋に戻る。 携帯を見ると、戸葉君からメールが入っていた。 「美穂ちゃん、連休中のお仕事お疲れ様です。戸葉です。俺もさっき生放送終わり、反省会をして、自宅に帰って来ました。何とか生放送を無事に終わり、ほっ、としてます。美穂ちゃんは、今日は、仕事だったから、録画してくれたのかな?是非、俺頑張ったから、美穂ちゃんにも観てもらいたいです。」 (戸葉君、無事に生放送乗りきったんだね、良かった。) 「戸葉君、生放送お疲れ様です。美穂です。今日も色んなお客さんが来て疲れました。 「どうぶつ学園」の生放送は、録画したので、今度の休みにゆっくり観ます。お母さんが先に観て、初回を思い出して、とても楽しく観れたと言ってました。戸葉君も生放送だったから疲れたでしょう?連休中は、休み無いんですか?」っと送信。 「美穂、入るわよ、郵便物忘れてたわよ。」 携帯見ながら 「ありがとう、お母さん」っと受けとる。 (美穂、誰とメールしてるのかな?里穂ちゃん?でもなんか嬉しそうだったから男かしら?まさかね)そんな事を思いながら、お母さんは、ドアを閉めたっと同時にメールが来た。 「美穂ちゃん、お母さん観てくれたんだね、視聴者の感想受けとりました。「ありがとう。」っと伝えて下さい。俺は、連休中は仕事です。連休終わったら休めたらいいと思うけど、美穂ちゃんは、連休休みあるのかな?」 (お母さんに、又戸葉君から「ありがとう」って伝えたら、舞い上がるだろうな) 「私は、連休最後の日に休めますので、その日に「どうぶつ学園」の生放送観て、親友の里穂と夕方に、先月観覧当日ドタキャンしたお詫びの食事を奢ってもらう予定です。」っと送信。 (あっ、里穂に食事の時間メールしないと) 「あっ、先月の生放送の観覧、その娘と行く予定だったんですね、では、美味しい食事して来て下さい。ちなみに行く場所とか、もう決まってるんですか?」 「うん、行きたかったイタリア料理のバイキングのお店があったみたいで、そこ夜は、お酒も飲めるみたいで、思う存分、飲み食いしてきます(笑)」 「そうですか、でもバイキングは、食べ過ぎに注意して下さいね。機会があったら、俺とも食事付き合って下さい。俺1人暮らしだから、たまに友達とか食事行く時もあるけど、大抵1人が多いので。」 そんな楽しいメールのやりとりをしてると下からお母さんの声が 「美穂、お風呂空いたから、入りなさい。」 (もう、良いところで邪魔が入った。) 「はーい。」 「私で良ければ、休みが合う時でも食事お付き合いしますよ、そろそろ、戸葉君もお疲れでしょうから、このへんで、今日は、本当にお疲れ様でした。ゆっくり休んで下さい。」っと送信。 「ありがとう。こんな時間まで、メールして、ごめんね、美穂ちゃんもお疲れだと思うので、ゆっくり休んでね、それと、メール返信遅くなってごめんね、なるべく返信できるようにするので、又メール下さいって言うか、俺もメールするので、又お話ししましょう。」 「戸葉君忙しいから返信遅れても気にしなくて良いよ。こうやって、戸葉君とお話し出来るだけでも、本当に嬉しいです。では、又メールします。おやすみなさい。戸葉君。」っと送信。 (さて、お風呂の準備しないと。) 「はい、おやすみなさい。美穂ちゃん。」 戸葉君の最後のメールに、にやつきながら、下に降りるとお母さんがキッチンに居た。 「ねぇ、美穂。さっきから誰とメールしてたの?」 「戸葉君だよ。」 「ふーん、戸葉君ね、えっ、えーー、戸葉君ってスカイハイの戸葉君の事?」夜に関わらず大きな声を出すお母さん。 「そうだよ。」 「美穂いつから、メールするほど仲良くなったの?」 「この間の飲み会の時、駅まで送って行けないから、心配だからメールしてって、言われてメルアド交換したの。」そう言うとお母さんは、私の肩をガシッと掴み。 「美穂、頑張って、彼女になりなさい。」 「はぁ、何言っての?」 「だって、美穂が戸葉君の彼女になったら、もしかしたら、私の義理の息子になったりして、キャーどうしよう。」呆れ顔で私は、 「お母さんは、それは、絶対にあり得ないから、変な期待しないで。」 「美穂、大丈夫、美穂は、可愛い自慢の娘だから。」 (なんか、里穂がもう1人いるみたいだな) 「やれやれ、まったく、勝手に妄想してて下さい、それと、その戸葉君が、「どうぶつ学園」観てくれて、ありがとう。って言ってたよ。」 「キャー、本当に嬉しい。」 (やっぱり舞い上がったわ。) お風呂入ろう。 「まったく、お母さんったら、私が戸葉君の彼女でお母さんの義理の息子ってあり得ないわ絶対に。」お風呂の中で一人事のように呟いた。   連休最終日 「ほら、美穂いつまで寝てるの?いい加減起きない。」私の部屋のカーテンを開けてお母さんが言う。 「もう、少し寝かせてよ。」 「何言ってるの、もう、10時よ。早く顔洗ってきなさい。」 「もう、連休の仕事で疲れてるのに。」あくびをしながら、下に降りる。 「あれ?お父さんは?」 「出掛けたわよ。」 「やった、朝食食べたら「どうぶつ学園」の生放送観よう。」 「私も一緒に観ようかな?」 「お母さん、もう、観たでしょ?」 「いいのよ、何回観ても戸葉君格好いいし。」(そこか、まったくお母さんは。)  「あっ、そうだ、今晩私、夕食、里穂と食べに行くから、いらないから。」 「ちょっと、美穂、それを早く言いなさいよ。」 「忙しくて、忘れてたの。」 私は、朝食を食べ、リビングのテレビの前に座る。 「ねぇ、美穂、今度戸葉君といつ会うの?」 「はあー?」飲んでたコーヒーを吹き出しそうになった。 「なんで、私が戸葉君と会う約束するのよ。」 「だって、お友達でしょ、会ってもおかしくないでしょ。」 「あのね、戸葉君は、忙しいの私に会ってる暇なんて無いの。」 「何言ってるのよ、そこは、美穂が合わせるんでしょ、今は、女性からガンガン攻める時代なんだから。」 (はぁー、やっぱりお母さんも里穂2号だな) 私は、半分呆れながら、始まった「どうぶつ学園」を観始めた。  そして、夕方18時位に里穂が迎えに来た。 ピンポーン 「はーい。あら、里穂ちゃん、こんばんは。」 「こんばんは、おばさん、これ旅行のお土産みんなで食べてね。」 「あら、里穂ちゃん、旅行何処行ったの?わざわざお土産ありがとうね。」 「いーえ、九州の方まで行って来たんだ。」 「いいなぁー、里穂、私のお土産は?」 「後で渡すよ、じゃあ、おばさん、美穂借りるね。」 「はーい。行ってらっしゃい、美穂、里穂ちゃん。」  里穂の車に乗り、バイキングのお店へ行く。 「ねぇ、里穂、旅行楽しかった?いいなぁー、私も連休取って何処か行きたいなぁー、。」 「行けば、仕事連休取れるんでしょ?」 「うん、でも今は、従業員が少ないから連休無理なんだよね。」 「そっか、残念だね。」 「あっ、そういえば、里穂、例の新人君に告白したの?どうだったの?」とたんに、里穂の顔が暗くなった。 「ありゃ、もしかして玉砕したの?」 「そうじゃなくてね、実は彼、大学時代に付き合ってた彼女が居たみたいなの、でも、社会人になって別々になったら、気持ちまで離れちゃって、別れちゃたんだって。だから今は、誰とも付き合う気が無いみたい。」 「じゃあ、里穂は、まだチャンスあるんだ。」 「うん、でも彼女居た話し聞いたら、テンション下がちゃってね。」  そんな話しをしながらお店に到着。 「わー、車いっぱいだね、里穂、大丈夫?」 「大丈夫よ、そんな事だろうと思って、予約取っておいたもん。」 「さすが。里穂だわ。」 「いらっしゃいませ。」 「予約した、田村です。」 「はい、田村様2名様ですね、こちらへどうぞ。」席に案内され、座る。 「わぁー、凄いね、里穂、チョコレートのタワーもあって、スイーツも美味しそう。」 「でしょう、ここ、注文してから作るから出来たてで美味しいって聞いたから、美穂と来たかったんだ。」 「ありがとう、里穂、何食べようかな?パスタにピザに、うーん、グラタンもあるし悩む。」 「美穂、グラスワインあるけど、赤と白どっち?」 「私は、赤ワインが良い。」 「じゃあ、私がノンアルコールワインを頼んで。」しばらくして、ワインと注文した料理が来た。 「では、美穂、お疲れ様。」里穂とグラスワインを合わせる。 「うーん、美味しい、やっぱり出来たては、良いね、里穂。」 「うん。それで、美穂、戸葉君にメールしたの?」 「うん、したよ。」 「本当?何話したの」 「連休中の話を少ししただけ。」 「えー、それだけなの?」 「だって、夜遅いし、戸葉君疲れてるだろうから、さすがに長話は、控えたよ。」 「もう、美穂ったら、会う約束とかしなかったの?」 「うん、あっ、でも今日里穂と食事する話しをしたら、今度は、俺とも一緒に食事付き合って下さいねっとは、言われたけど。」 「そこ、そこで、じゃあ、いつにしましょうか?って位聞きなさいよ。」 「えー、だって私から、誘うの?」 「そうよ、今は、女子もガンガン攻める時代なのよ。」(あれ?このセリフ何処か聞いたような?、あー、お母さんか、やっぱり里穂と似た人種なのね。) 「でも、戸葉君忙しいし、連休中は、ずっと仕事みたいだったし。」 「そう、そう、確かに、テレビで連休中スカイハイを見ない日は、無い位、絶対何処に出てたよね、特に、スカイハイの冠番組のスカイハイバトルは、ゲストが豪華で面白かったよ。」 「スカイハイバトルね、確か、毎週色々なゲストさんと、多彩なゲームで競いあう番組よね?」 「美穂、まさか観てないの?」 「観てる時と観て無い時があるかな。」 「ちょっと、美穂、仮にも戸葉君と友達なんだから、スカイハイの番組ぐらい観なさいよ。」 「ちょっと、里穂声が大きい。誰かに聞かれたら大変だよ。」 「大丈夫よ、お店、人いっぱいで騒がしいから聞かれてないよ。」 「だといいけど。」 「とにかく、スカイハイの番組も観て、話題を作って、もっとメールしないと、もし、何処かへ行こうと誘われた時に、共通の話題で盛り上がれないでしょ。」 「誘われた時ねぇー、そんな日が来るのかな?」 「だったら美穂が誘うもありだけど。」 「私には、無理そう。」まさかこの時は、この話しが現実の事に、なると思わず、美味しいワインと食事を食べながら、里穂と楽しい夜を過ごし、完全に飲み過ぎ食べ過ぎで帰宅した、私は、帰ってからお父さんに 「年頃の女がこんな酔っぱらって帰って来て」と怒られ、次の日は、午前中まで二日酔いのままお仕事をしました。  やっと、連休休みも終わり、元の静かな日常を取り戻し、いつものように、朝仕事行って夜帰って来てを繰り返しての毎日。  ある日、いつものように、夕食を食べて、2階の部屋に戻った時は、それは、突然起きました。 (あれ?戸葉君からメール来てる。) 「美穂ちゃん、お仕事お疲れ様です。戸葉です。今度の第3火曜日って、お仕事定休日?」 (戸葉君飲み会で話した事覚えてたんだ、お酒飲んでたのに) 「はい、定休日ですよ、よく覚えてましたね?」 「うん、俺、記憶力だけは良いから。その日俺も休みなんだけど、もし、美穂ちゃん予定が無いなら、付き合って欲しい所があるんだけど。」 (いやー、記憶力良すぎでしょ、戸葉君) 「その日は、特に予定は無いけど、何処に東京?」 「うん、東京上野の御徒町なんだけど、分かるかな?あっ、変な怪しい場所とかじゃないよ。」 (あの辺に、怪しい場所は、あるような無いような) 「ええ、分かりますよ、アメ横の方ですよね、何処に行くんですか?」 「うん、当日までのお楽しみ、俺も美穂ちゃんも好きな所だよ、じゃあ、来週の火曜日、12時半位で大丈夫かな?御徒町駅で待ち合わせで。」 (私も戸葉君も好きな所って??) 「うん。大丈夫だよ。」 「じゃあ、来週楽しみにしてるよ、疲れてるところメールして、ごめんね、俺明日早いから、今日は、これで、又メールするね。」 「こちらこそ、メールありがとう、来週何処へ行くか楽しみにしてるね、では、又私もメールするね、おやすみなさい。戸葉君。」 「うん。おやすみなさい。美穂ちゃん。」  そう、まさかのお誘いが来たーーんです、里穂の予言が当たるなんて。あっ、里穂にメールしとかないと。 「お疲れ様。里穂、里穂の予言?当たったみたい。今、戸葉君からメール来て、来週の火曜日東京で会う事になったの(*^^*)場所は当日まで分からないけど、ねぇー、里穂、何着て行けば良いと思う?」っと送信。  まだ起きてたのか、里穂からはすぐにメールが帰って来た。 「お疲れ。美穂、やったね(^_^)v、戸葉君から初お誘い、何処に行くんだろうね、意外に戸葉君サプライズ好きなんだね、こんな時は、パンツスタイルが良いよ、それも女性らしいフワッとした感じの、それなら何処へ行っても大丈夫だから、無かったら、貸すよ。来週楽しみだね、何処へ行ったか報告宜しくね。それでは、明日も早いので寝ます。おやすみー♪」 「里穂、アドバイスありがとう♪それらしい服は、あるから大丈夫だよ。来週何処へ行ったか帰ったら報告するね、ではでは、おやすみなさい。」っと送信。 (本当に夢みたいだな、戸葉君とお出かけ出来るなんて、来週の火曜日まで、ワクワクして、仕事も手につかなそうだな。)   約束の火曜日 「お母さん、じゃあ行って来るね。」 私は、お昼を軽く食べ家を出る。 「行ってらっしゃい、美穂、戸葉君に会ったら、ガンガンアピールするのよ、戸葉君に宜しくね。」 (一体私は、何をアピールするんだろう?) 「はーい。行ってきます。」  車で最寄り駅へ行き、そこから電車で東京の御徒町に行った。  (思ったより早く着いたなぁー、どうしようかな?待ち合わせしてるから、下手に動くより、ここで少し待つか。)  駅前のベンチに座り携帯のゲームをしてると、何か視線を感じた、顔を上げて見ると、若い男の人がこっちを見てた。 (まさか。)と嫌な予感が的中したように、男の人が、こっちに歩いて来た。 男「ねぇー、彼女、もしかして暇?」 (やっぱり、ナンパ男だー。) 「いや、私、友達と待ち合わせしてるので。」立ち上がって駅へ歩く。 男「友達って女?なんかさっきから待ってるみたいだけど、良かったら、俺友達連れて来るから、一緒に遊ぼうよ。」 「ちょっと私が早くに来ただけなんで、それに友達って男ですから。」 男「また、また、そんなバレる嘘つかなくても良いよ。」 (どういう意味だ、この男むかつくんだけど。)  (やばい、少し遅くなった、美穂ちゃん待ってるかな?何処に居るんだろうって、あっ、ナンパ男に絡まれてる、美穂ちゃん可愛いいからなぁー、あー、あー、腕掴んで、しつこいな、あの男、早く行かなくちゃ)っと思い、俺は、急いで美穂ちゃんの元に行く。 「本当にいい加減にしてくれません?」 男「そう、怒らないで、ちょっとだけ付き合ってよ。」 (もう、めちゃ、しつこいこなこの男。) 「離して下さい」っと大声を上げたところに 「ごめん、美穂ちゃん待たせて。」っと言い戸葉君が来た。 男(なんだ、この男めちゃくちゃかっこよくないか)男が呆然と戸葉君を見てる隙に、腕を払う。 「なあに、美穂ちゃん、この人知り合い? 」私は、首を横に振り、 「知らない人。」きっぱり言う。 「じゃあ、お兄さん、ごめんね、この娘、俺の連れだから、連れて行くね。」戸葉君が私の顔を見た。私は、頷いて戸葉君と歩く。 男「ちっ、なんであんな女に、あんな良い男が居るんだよ。」聞こえるような声で去っていた。 (最後まで、むかつく男だな) ふと、戸葉君を見ると、今日は、カジュアルな格好で、ジーンズ姿に、キャップを被り、眼鏡まで、かけていて、まるで芸能人みたいなスタイルだった。 (あっ、戸葉君って芸能人だよね。そういえば)そんな事を思ってると、戸葉君が、 「ごめんね、美穂ちゃん遅くなって、いつも停めてる駐車場に車停められなくて、探してたら、遅くなって。」 「大丈夫ですよ、東京は、車停めるの大変ですよね、戸葉君、この辺良く来るの?」 「たまにかな?でも本当久しぶりだよ、ここに来るの。」 「そうなんだ。で何処に向かってるの?」 「ここ」って指座す方向には、 「漫画喫茶?」 「そう、美穂ちゃん。この間の飲み会でマンガ読むって言って、男の人が読むマンガも面白けば読むって言ったから、俺のオススメの本読んで貰おうかなっと思って。」 「戸葉君、よくお酒飲んでて覚えてたね。」 (記憶力良すぎじゃない?) 「うん、だってさぁー、そんな楽しい話に盛り上がってた時に河村さんが。」  「イビキをかいてた。」っと2人同時に顔を合わせ言い、クスックスッと笑った。 「確かにあれでは、忘れ無いよね。」 「だろう、じゃあ、中入ろう美穂ちゃん。」 私達は、揃って中に入る。  「いらっしゃいませ。」っと店員が言い、 「戸葉君、もしかしてここの会員なの?」 「うん、何回か来てるからね、美穂ちゃん身分証持ってる?」 「うん、免許証あるから大丈夫。」 戸葉君が会員カードを出し、私が新規ですと言うと  「じゃあ、こちらに必要事項と身分証をお願いします。」と店員が紙を出す。 私が免許証を出し、紙に書いてると、戸葉君が隣から顔出す。  「戸葉君、免許証見ちゃだめ。」  「えー、見たかったなぁー、美穂ちゃんの免許証」がっかりした顔で後ろに下がる。  「お部屋は、ご一緒でよろしいですか?」っと店員さんが聞く。  「戸葉君、いつも個室かな?広い?」  「うん、大人が大の字で寝れる位の広さはあるけど。」  「カップルだったら充分な広さですよ。」っと店員さんが言う。 (いや、私達カップルじゃないし。) 「戸葉君が大丈夫なら、私は平気だけど。」 「まあ、美穂ちゃんが平気なら俺も良いけど」 「大丈夫よ。戸葉君、私襲ったりしないから。」拳握りしめ言うと、 「いや、それ、普通俺のセリフだろう。」  「では、ご一緒の部屋で。」っと店員が言い、 「あっ、料金は、別々会員カードごとでお願いします。」言うと、後ろで 「えっ。」っと小さな声が  「かしこまりた。では、戸葉様、佐川様、一階奥の3番の部屋になります。」っと店員が言い、  「ありがとうございます。」っとそれぞれの会員カードを受けとる。 「ねぇ、美穂ちゃん、漫喫慣れてる?」 「うん、私家まだ、ネット環境が整ってないから、インターネットで調べ物ある時は、良く行くし、そのついでに本読んだり、漫喫って新刊早いから、早く読みたい時には、行くよ。」 「ふーん、1人で行くの?」 「そうだね、大抵1人かな、今は、漫喫によっては、女性専用の部屋もあるから、1人で行く女性も多いみたいだよ。」 「確かに、ここも女性専用あるからね。」  そんな話をしながら部屋に到着。 「失礼します。あっ、けっこう広い、これなら大丈夫かな。」 (美穂ちゃんって、けっこう積極的だよなぁー、俺が信用されてるのか、男として見られてないのか、ちょっと複雑な心境だよなぁ。) 「どうしたの?戸葉君。」先に部屋に入った美穂は、テーブルに会員カードを置いて聞いた。 「いや、何でも無いよ。」俺も会員カードをテーブルに置いた。 「では、戸葉君、オススメの本を教えて貰おうかな。」 「うん。」戸葉君と一緒に男の子向けのマンガが並ぶコーナーに行く。 「あっ、これこれ。」 「あっ、それ、知ってる。確か海賊船に乗った主人公が冒険しながら、成長していく話で、アニメ化もされたよね。」 「そう、美穂ちゃん読んだ事ある?」 「ううん、まだ、それにしても、けっこう続いてるね、まさか戸葉君、これ全巻持ってるの?」 「うん、俺これ好きで、まだまだ続いてるから、新刊出ると絶対買うんだ、で、美穂ちゃん何巻まで読む?上だから俺取るから。」 「じゃあ、とりあえず10巻まで読もうかな?」 「けっこう、重いけど、大丈夫?とりあえず5巻ごと渡すね。」 「うん、大丈夫だよ、仕事で重いの持ってるし。」手で取ろうとすると、戸葉君の手に触れそうになり、慌てて、 「カゴに入れて。」っとカゴを差しだす、それを見て戸葉君は、クスッっと笑い 「じゃあ、あと5巻入れるよ、本当に大丈夫?重くない?」私は、それを受けとり、軽々しく持った。 「意外と美穂ちゃん、力あるんだね。」 「そうかな、戸葉君は?何読むの?」 「俺、読みたい本探してくる。」 「じゃあ。先に飲み物持って部屋に戻るね。」 「うん。」  俺が本と飲み物を持って、部屋に戻ると美穂ちゃんは、部屋の端に居た。 「ねぇ、美穂ちゃん、せっかくソファーあるのに座らないの?」 「えっ、あ、うん。」 (だって、ソファー座ったら、戸葉君との距離近くなるし)と思ってると 「えー、なんか、寂しいなぁー、襲ったりしないよ。美穂ちゃんに嫌われたくないから、だから、一緒に座ろうよ。」  (そこまで言われたら、行くしかないよね) 「じゃあ、お邪魔します、」ソファーの端に座り、本を読もうと、 「うん、どうぞ。あれ?美穂ちゃん器用だね、逆さまから読めるの?」私は、本が逆さまなのに気づき慌てて、 「やだ。私ったら」って言いながら直すと、 クスックスッと戸葉君に笑われた。 「さて、俺も読もうかな?」 「うん?あれ?戸葉君、もう1巻と2巻読んだの?それ3巻だよ。」っと戸葉君の本を見て言うと 「うわぁー、やばい、間違えた」っと慌てて本を変える姿に、私は、思わず爆笑。 「美穂ちゃん、笑い過ぎ」 「ごめんね、だって私も戸葉君も似たような事してるから、可笑しくて。」顔を見合せて、声を押して笑いあった。すっかり笑いで緊張が解けた私達は、本を読み始めた。 「あれ?戸葉君その眼鏡だてじゃないの?」 「うん、俺、視力悪いから、普段は、コンタクトだけど、本を読む時は、眼鏡じゃないと、ずっと、読んでると、目乾くから、美穂ちゃんは、目良いの?」 「ううん、私もコンタクトだよ、だから、私も読む時は、集中しないように気をつけないといけないんだけど、ついついね。」 「うん、うん、分かるよ、その気持ち。」  しばらく静かに本を読んでいたが、30分位して、隣から、 「スー、スー、」っと寝息のような物が、隣を見ると、戸葉君が寝てた。 (やっぱり疲れてるよね、そっとしとこう。)  そのままにしてると、急に隣から 「うわぁ、ヤバい寝てた?」飛び起きて、私に聞く。 「うん、気持ち良さそうに寝てた。」 「何だろう、俺昨日早く寝たのに、最近なんか眠いんだよね。」 「連休疲れじゃないの。ずっと仕事だったから、1時間位寝たら?そうすれば、すっきりして、本も読めるんじゃない、時間になったら起こすし、寝たい時は、寝ないとね。」  「確かに、自分を大切にしないとね。」私の顔を見て、ニッと笑った。 「やだー、戸葉君覚えてたの、私が言った言葉。」 「それはそうだよ、なかなか初対面で説教する娘は、居ないから、覚えてるよ」 「それは、すみませんね。」私は、恥ずかしくて、顔を下に向ける。 「冗談だよ、美穂ちゃん、そんな落ち込まないでよ、俺、嬉しかったんだから、あれから、ちゃんと、休みと仕事のメリハリをつけるようになったから、最近は、あんまり寝不足も無くなったんだから。」 「本当に?良かった。」 「じゃあ、お言葉に甘えて、1時間位寝るから時間になったら、起こしてね」 「うん、じゃあ、ソファー使って、座ったまま寝ると寝違いするから。」私がソファーから離れようとすると戸葉君が、 「あのー、美穂ちゃん、お願いがあるんだけど、少しで良いから、膝枕して欲しいんだけど。」 「えー、膝枕。」 「うん、お願い、駄目?」目をうるうるさせて、私にお願いする戸葉君 (そんな目でお願いされたら、駄目って言えないでしょ) 「じゃあ、少しだけだよ。」 「わーい、ありがとう美穂ちゃん。適当な所で頭下ろして良いから、では、失礼します。」戸葉君は、私の膝に頭を下ろした。 「戸葉君、よだれ垂らさないでね。」 「うん、美穂ちゃん、俺の頭の上に本落とさないでね。」  しばらくすると、寝息が聞こえた。 (寝付き早いなぁー、戸葉君、そろそろ下ろすか、少し髪触っても良いかな?そっと髪を優しく撫でると、女の子の髪みたいに、さらさらだった、やばい、ドキドキしてきた)  そっと、頭を下ろすと、ソファーから離れた。 (なんか、良いなぁー、この静かな雰囲気、なかなかスカイハイの戸葉君の寝顔なんてこんな間近で見れないから、得した気分だよ)  めぐりめぐる季節の途中で  何色の明日を描きますか?  深く深く支え合えたら  君のために何ができるのだろう?  (なんか、スカイハイのゆっくりした曲が流れてきそう)  夢中になって本を読んでると、いつの間にか1時間が過ぎた。隣を見ると、戸葉君は、まだ気持ちよさそうに寝てる。 (飲み物持って来てから、起こすか) 空になったグラスを持って、ドリンクバーに行く。  戻って来ても、まだ起きる気配の無い戸葉君をゆすって起こす。 「戸葉君、1時間経ったよ。」 「うーん、ふぁー、んー、良く寝た。」  その姿に、クスッと笑って。 「おはよう、戸葉君。」ちょっと寝ぼけながら、 「おはよう、美穂ちゃん、膝枕ありがとうね。」 「いーよ、それにしても、戸葉君、寝付き早いよね、」 「うん?だって今日は、美穂ちゃんが居るから、なんか安心して寝られたみたい、ねぇ、俺が寝てる時、美穂ちゃん、頭撫でた?」 「えっ。いや。頭下ろす時に頭触ったけど、撫でては、いないよ、夢でも見たんじゃない?」 (やばい、ドキッとした、ばれたらどうしようかと思った) 「そっか、なんか気持ち良かったから、夢だったのかな。俺飲み物持って来よう、美穂ちゃんは?」 「私さっき持って来たから大丈夫だよ。」 「じゃあ、行って来る。」 戸葉君は、キャップと眼鏡をかけてドリンクバーに行った。 (美穂ちゃんの膝枕良かったなぁー、癖になりそう、なんか、首回りに美穂ちゃんの香りが残っててる気がする。)ニヤニヤしながら飲み物を入れてると 女性客「ねぇ、あそこの人スカイハイの戸葉君じゃない?」 女性客「こんな所に居る訳ないでしょ。」 「すみません、ありがとうございます。」 (美穂ちゃんの声?) 男性客「いいですよ、踏み台使うより早いし、良かったら、取るけど、何巻?」 「じゃあ、11から15までを。」 男性客「はい、どうぞ。」 「美穂ちゃん、もう。本読んだの?俺取って上げたのに。」 男性客「ちっ、男と一緒か、声かけて損したな。」小さい声で言ってその場を去る。 「あっ、戸葉君、なんか親切な人に取って貰ったからって、あれ?居ない?」 (はぁー。美穂ちゃん警戒心無すぎ、心配で目離せないよ。)  ふと、美穂ちゃんが俺をじーっと、見てる。 「どうしたの?美穂ちゃん。」 「ん?戸葉君って背高いなぁー、って。」 「今頃気付いたの?」  「うん、学生の時、スポーツとかしてたの?」 女性客「ほら、やっぱり違うでしょ、スカイハイの戸葉君があんな女と一緒の訳ないし。」 女性客「そうだよね。そっくりさんだね。きっと。」  女性のひそひそ声が聞こえた私 (戸葉君ってやっぱり目立つんだね、当の本人は、気にして無いみたいだけど) 「俺、中学と高校で、バスケやってて。でも人より、背伸びるの遅かったけど。それだから、バスケのマンガとか、スポーツ系のマンガも好きなんだよね。」 「そうなんだ。」 「ちなみに美穂ちゃんは、スポーツは?」 「まったくの運動おんちです。」 「やっぱり、そんな感じした。」 「ひどーい、戸葉君。」  笑いながら、部屋に戻った私達は、しばらく静かに本を読んでいた。 「うーん。」持って来た本を読み終えた、戸葉君が背伸びをした。 「もう、こんな時間か。なんか今日は、本読んでる時間短かったな。」時計は、夕方4時を過ぎていた。 「1時間位寝てたからね、なんか、逆に私の方が眠くなって来た。」 「膝貸すよ」戸葉君は、膝を叩いて言う。 「いえ、いえ、戸葉君の膝枕なんて、勿体無くて、頭置けませよ。」 「なに、それ、それで、どう?俺オススメの漫画面白い?」 「うん、凄くハマりそう、アニメもレンタルして観たくなった。」 「それは、良かったよ。」  「さて、名残惜しいが、そろそろ出ようか?」 「うん、残りの巻は、又漫喫行って読もう。」 「俺の部屋には、全巻あるけどね。」ボソッと言う。 「なんか、言った?戸葉君。」 「いや、何も、あっ、漫喫1人で行く時は、女性専用の部屋にしてよ、美穂ちゃん危なっかしいから。」 「うん。そう?」 (美穂ちゃん、自覚無すぎ) 「じゃあ、本戻すから、美穂ちゃん、グラス下げてきて。」そういうと、私の本も持って行った。  グラスを下げ戻ると、戸葉君が、 「今日は、俺が誘ったから、俺が会計するから。」っと私の会員カードまで持って行った。 「えー、いいのに。」私の言葉も聞かず、受付と向かった。  「ありがとうございました。」っと店員さんが言うと、 「会計一緒にお願いします。」っと戸葉君が 「かしこまりました。」っと店員さんが伝票を受けとる。  会計を済ませ、私に会員カードを渡す。 「ありがとう、戸葉君。」 「うん、また来ような。」満足した顔で私に言う。 「うん。」私も笑顔で返した。  外に出ると、もう夕方なのに明るかった。 「なんか、お腹空いたなぁー、お昼軽くしか食べなかったから、美穂ちゃんは?」 「そうだね、私もお昼軽くしか食べて無いから、少し空いたかも。」 「ちょっと早いけど、夕飯軽く食べ無い?この辺に俺たまに行くラーメン屋あるけど、今の時間人少ないし、美穂ちゃんラーメン好き?」 「私、麺類好きだよ。」 「よし、じゃあ、行こうか。」  漫喫から歩いて10分から15分位に、そのラーメン屋はあった。  「へい、いらっしゃい。」っと店員さんが言う。                   たしかに今の時間は、夕飯前だからか人が少ない。   私達は、カウンター席に並んで座った。 「ここの、豚骨ラーメン美味しくて好きなんだ、大盛で頼もう。」 「えっ、戸葉君、軽く食べるんじゃないの?」 「うん、俺には、軽くだよ、ここ、大盛無料なんだよ。」 「意外に、戸葉君痩せの大食いなの?あっ、私醤油ラーメン普通で。」 「おやっさん、注文お願いします。豚骨大盛と醤油普通で。」戸葉君は、慣れた感じで言う。 「別に痩せの大食いって訳じゃないけど。体力使う仕事だから、けっこう食べるよ。」 「戸葉君食べても太らない体質なの?」 「いや、逆、食べると、その分体重増えるから、スカイハイのツアーある時は、ダンスやったりするから、動きが鈍くならないように、食べ物の制限はするけど、逆に終わった後、打ち上げでお酒や焼き肉食べるから同じなんだよね。」 「たしかに、戸葉君は、自炊しないの?」 「時間ある時は、する事もあるけど、忙しい時は、出来てる物で済ませる事が多いかな?美穂ちゃんは、実家暮らしだけど、料理するの?」 「うん、休みの日は、お母さんの手伝いするし、子供の時から、じいじと料理作ってたりしてたから、じいじ、ばあば早く亡くしてたから、料理上手だったから、一緒に色々な料理教えて貰ってたよ。」 「へぇー、そうなんだ。」 「あれ?やっぱり実家暮らしだから意外だった。」 「ううん、予想通り、美穂ちゃん家庭的そうだもん。河村さんも言ってたけど、最初育ち良さそうなお嬢様って感じかなっと思ったし。」 「それは、じいじのおかげですよ。何処にお嫁に行っても恥ずかしくないように、っと色々子供の頃から、教わりましたから。」  「はい、お待ち。」っとそれぞれの注文を置く。 「おっ、来た来た。」っと戸葉君が嬉そうに言い、 「わぁー。美味しそう。」っと私も言う。  「いただきます。」っと同時に言い。  戸葉君は、紅生姜をたくさん入れて食べ始めた、私は、持ってたゴムで髪を軽く縛り、スープから飲み始めた。  それを隣で横目で見てた、戸葉君 (やっぱり、きちんとしてるな、美穂ちゃんっていうか、やっぱりうなじが良いなぁー、)と食べながら思ってた。 「うん、これ凄く煮干しの味が良いね。美味しい。」っと言うと、  「おっ、姉ちゃん、ラーメン好きか、スープから飲むなんて、なかなか通だね、もしかして隣の兄ちゃんの彼女なのかな?」っと店員のおじさんが言うと、 「ぶふぅ。」戸葉君が吹き出した。 「ちょっと、戸葉君大丈夫?おじさん、私、彼女じゃ無いですよ。」  「なんだ、お似合いなのに。」残念そうに店員のおじさんが言う。 「ごほっ、ごほっ、」っとむせる戸葉君に、 「ちょっと、戸葉君、お水、お水。」私は、お水を戸葉君に差し出す。 「もう、おやっさん、そう言う冗談止めて下さいよ。」っとおじさんに向かって戸葉君が言う。  「ははッ、わりー、わりー。」っと謝る。 (なんだ、冗談か、心臓に悪いなぁー、) 「ご馳走さまでした。戸葉君、なんかラー メンまでおごってもらってありがとうございます。」 「良いよ、俺、美穂ちゃんと食事出来て、嬉しかったから、こちらこそ、ありがとう。」 (もう、戸葉君ったら、照れるなぁー、) 「美穂ちゃん、御徒町で電車に乗るの?」 「うーん、まだ時間もあるし、上野駅まで歩こうかな。戸葉君、この辺に車停めたんだよね?」 「いや、けっこう上野駅近くに停めたから、俺も一緒に行って良い?」 「うん、良いけど、けっこう遠くに停めたんだね。」 「うん、まあね、それより、この間友達と行った食事楽しかった?」 「うん、楽しみ過ぎて、食べ過ぎ飲み過ぎで酔っぱらって帰ったら、お父さんに怒られて、次の日の仕事は、午前中まで二日酔いでした。」 「それ、はめ外し過ぎじゃない?まっ、でも親しい友人と行くとそうなるよな、俺もスカイハイのメンバーと行くと、はめ外すから、分かるけど。」 「仲良いもんね、スカイハイのメンバー同士って。」そんな、楽しい話しをしながら、戸葉君と歩いてると、あっという間に上野駅に着いた。 (あー、あー、もう、着いたのか、もう少し話したかったなぁー。)そう思いながらも 「じゃあ、戸葉君ここで、今日は、楽しい時間をありがとう、なんかあっという間だったね。」  「こちらこそ、ありがとう。又休み合う時でも、遊びに行こう。俺、美穂ちゃんと話してると楽しいし。今度は、美穂ちゃんが行きたい所に付き合うから、考えておいてね。」 「うん、またね。」私は、手を振って改札口へと歩きだそうとすると、戸葉君が 「帰ったら、ちゃんとメールしてね。」っと言って手を振ってくれた。 「うん、わかったよ。じゃあね、」私は、又手を振った。  (あー、あー、なんで俺ここまで来て又戻るのか、本当は、御徒町駅から、歩いて近くだったんだよね、でも、美穂ちゃんともっと話したかったし、あの笑顔を見ていたかったから、まっ、運動だと思って歩くか、今日は、良い休日だった。又美穂ちゃんに、会えたら良いなぁー、)そう思いながら、駐車場まで、歩く俺でした。  美穂は、電車に乗り、今日、戸葉君と過ごした日を思いだしていた。 (楽しかったなぁー、私初めてかも、男の人膝枕したの、なんか、男の人と過ごす休日がこんなに楽しいなんて、又戸葉君と会って色々話して、笑いあえたら良いなぁー。) そんな楽しい気分を思いながら、少し寝ながら最寄り駅に着くのを待つ。  最寄り駅に着く頃には、真っ暗になっていた、そこから、車に乗り替えて自宅へと向かう。 「ただいま。」 「お帰り、美穂。どうだった?楽しかった?」 「うん、楽しかったよ。」 「お帰り、美穂」お父さんは、リビングで晩酌中だった。 「ただいま。」 「美穂、夕飯どうする?食べる?」 「うーん、戸葉君とラーメン食べて来たけど、少し食べようかな?」 「じゃあ、用意するね。」 「手洗って来る。」 「それで、美穂。今日戸葉君と何処行ったの?」私は、夕飯食べながら、 「漫喫行って来た。」 「へぇー、戸葉君漫画読むんだね。」 「うん。」それから今日の事を話すと、嬉しそうに話しを聞いていた。  私は、2階の自分の部屋に戻り、戸葉君にメールした。 「こんばんは、美穂です。さっき家に帰って来ました。今日は、楽しかったです。戸葉君は、もう家に帰ったかな?」 「こんばんは、戸葉です。俺もさっき帰って、シャワー浴びたところです。俺も今日も楽しい休日を過ごせました。明日から又仕事頑張れそうです。」 「うん、私も明日からお仕事頑張れそうです。私も今からお風呂入ってゆっくり休みます。戸葉君もゆっくり休んでね。」 「はい。又メールして下さいね、美穂ちゃんおやすみなさい。」 「はい。おやすみなさい。戸葉君。」 (今日は、絶対すぐに寝れなそうだな。本当に夢のような休日だった)
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