伝えたい想い

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伝えたい想い

  月曜日の朝、戸葉君家 ガヤガヤ、ざわざわ、バタバタ (なんか、外騒がしいな) ピンポーン、ピンポーン、チャイムが鳴る。 (誰だよ、こんな朝早く)戸葉は、時計を見る。 「おはようございます。戸葉君起きてますか?マネージャーの木元です。」 (マネージャー?朝早く無い?って言うか、何か慌ててるな声) 「はい。起きてますよ、どうしたんですか?マネージャー。」寝ぼけ眼で玄関を開ける。 「戸葉君、寝ぼけてる場合じゃないですよ、これを見て下さい。」マネージャーが週刊誌を見せると、そこには、俺と横田真理子さんのが姿が写っていた。 「えー、何ですか?これ?」俺は、一瞬にして目が覚めた。 「それは、私が聞きたいですよ、とにかく社長が呼んで居ますので、すぐに支度して下さい。玄関の外に居ますので。」 「ああ。」俺は、何が何だか分からず急いで支度をした。(どうりで外が騒がしいはずだ、俺のせいか。) 「マネージャー支度出来ましたよ。」 「それでは、戸葉君、私は、他のメンバーを仕事に連れて行きますので、まず、裏口から出て、自分の車に乗って下さい、管理人さんには、言ってありますから、僕の車でマスコミ関係者を惹き付けますので、僕の車が出たら、私と反対方向へ行き、事務所に行って下さい。良いですね。」マネージャーが早口で伝える。 「解った。」俺は、玄関の鍵を閉め、マネージャーの言われた通り、裏口から出る。 俺は、車の中でマネージャーの車が出るのを待つ。 マネージャーの車が出ると、一斉にマスコミ関係者が集まる。  「戸葉君、今日出た週刊誌の事で一言お願いします。」 (凄い人の数だな。大変な事になってるよ。) 俺は、マネージャーの言われた通りに反対方向に車を走らせた。気がついた、マスコミ関係者が、 「あっ、戸葉君の車が出たぞ、あっちだ。」っと、追いかけて来る気配がしたが、なんとか振り切った。 (なんで、こんな事になっているんだ、訳わからないよ)   戸葉君事務所社長室  「戸葉君、何なんだこれは、一体。」社長が週刊誌を机に投げ、怒鳴りつける。  「いや、俺も何がなんだか、さっぱり。」っと俺が言うと、社長は、ため息をつき、  「よりによって、お前が真理子さんの餌食になるとはな。」  「あのー、社長、この見出しの真理子さんの餌食ってどう意味ですか?」っと俺が聞くと、  「おい、おい、戸葉君、君さ、何年芸能界居るんだ、真理子さんの黒い噂を知らないのか。」  「はい。すみません。」  「はぁー、もういい、とにかく今日中に、俺の所にfaxで良いから、謝罪文を書いて送れ、今日中にマスコミ宛に流すから、良いな、戸葉君。」  「はい。お騒がせして、申し訳ございませんでした。」深々と頭を下げ、社長室を出る。 (はぁー、なんでこんな事になったんだ。) スマホを見ると、マネージャーからメールが入っていた。  「戸葉君、社長の小言は、終わりましたか?今近くに居ますので、合流しましょう。そこから、私の車が見えると思いますので、後ろに着けて下さい。」  俺は、車に乗り、マネージャーの車の後ろに停め、マネージャーの助手席に乗った。 「お疲れ様です。戸葉君。」 「マネージャー、ごめん、迷惑かけて。」 「いや、私にも落ち度がありますから、戸葉君を打ち上げ会場に送った時、嫌な感じがしたんです。もう少し慎重になるべきでした。たぶん僕の車のタイヤのパンクも中の故障も、真理子さんが誰かに指示して、やらせた事でしょう。」 「俺、日曜日の朝、きちんと報告してたら、こんな事にならなかったのに、つい、朝マネージャーから、メールしか来なかったから、今日の朝で良いやって思ってたから。」 「戸葉君が日曜日の朝に報告しても状況は、変わらないでしょ、真理子さんは、週刊春分と繋がってると噂がありますから、もう原稿は、とっくに刷り上がってるでしょうから。」 「マネージャー、俺、本当に横田さんとは、何も無いんだけど、朝起きたら、何故か居たって言うだけで。」 「でしょうね、戸葉君の事だから、何となく状況は、分かりますから、とりあえずメンバーには、きちんと説明して下さい。今日、夕方、高井君を仕事に送るので、その前に、説明するのに、メンバー全員を高井君の家に呼びますから、又夕方メールします。それまで、僕の家で待機して下さい。戸葉君家は、マスコミでいっぱいですから。」家の鍵を渡された。  「それと、本日の仕事ですが、先方に事情を話し、金曜日にしてもらいました、こんな状況では、仕事出来ませんから、それから、社長に言われたんですが、明日の休みも外出は、禁止ですから、大人しくしていて下さい。」 「はい。分かりました。」ガックリ肩を下ろし、マネージャーの車を降り、自分の車に乗った。  マネージャーの家に到着して、部屋に入る。 (相変わらず、無機質な部屋だな、物がほとんど無い。)俺は、ソファーに座る。 (あっ、美穂ちゃんにメールしないと、明日お出掛け中止になったし。) はぁー、っと、大きくため息をつく。 (謝罪文考えないと、紙あるかな?)俺は、紙を見つけ、言葉を考えながら、書いていく。 頭の中は、まだ整理がつかず、色々な事がぐるぐると回っていた。  夕方になり、マネージャーの指示された時間に、高井君のマンションに行き、高井君の車の脇の駐車場に車を停めた。  マネージャーは、マンションの前に車を停めて居た。 「マネージャー、これ、家の鍵。」マネージャーに直接渡す。 「はい。ありがとうございます。少しは、落ちつきましたか?」 「いや、頭の中で、色々な事が回ってる状態だよ。まだ。」 「そうですか、謝罪文は、書きましたか?」 「一応。」っと、バックから紙を取りだそうとすると。 「いえ、私より高井君に見て誤字が無いとか確認してもらった方が良いでしょう。彼は報道番組のキャスターをしてますので、適切にアドバイスしてくれるでしょうから。」 「そうだな、秀ちゃんに見てもらうよ。」 「それにしても、戸葉君は、女運が悪いみたいですね、「どうぶつ学園」の時といい、今度は、横田真理子さんで、明日会う予定だった女性な方も悪い人じゃないでしょうね。」 「彼女を悪く言うなよ。」少し声を荒げて言うと、マネージャーは、驚いた顔で俺を見た。 「ごめん、マネージャー、彼女は、今まで付き合ってきた女性とは、違うだ、本当に良い娘なんだ、それなのに、俺の軽はずみな行動で彼女が傷ついてると思うと、申し訳なくて、頼むから彼女の事は、悪く言わないで欲しい。」 「いえ、申し訳ございませんでした。戸葉君のプライベートに踏み込み過ぎました。」マネージャーは、頭を下げた。 「いや、そこまでしなくてもいいですよ。」 「そうですか、それでは、戸葉君、メンバーが部屋で待ってますよ。」 「じゃあ。行ってきます。」俺もマネージャーに頭を下げた。 (やれ、やれ、まさかあの戸葉君が女性の事で声を荒げるなんて驚きました。今まで私達が女性の事で何を言っても平気だったのに、一体、戸葉君を本気にさせた女性ってどんな人なんでしょう?)戸葉君の後ろ姿を見送りながらそんな事を思うマネージャー。  ピンポーン、ピンポーン、高井君の部屋のチャイムを鳴らす。  「開いてるよ、戸葉君。」っと高井君が  「お邪魔します。遅くなってごめん。」  「戸葉君遅いよ。それにしても、戸葉君がまさか、週刊誌を賑わすとはな。俺は、てっきり秀ちゃんが先だと思ってたよ。」っと沢本君が言う。  「えっ、俺?そっか確かに俺かもな。」  「俺も何が何で、こうなったのか訳解らないんだよ。」っと俺が言うと、  「とりあえず、圭ちゃん、座って、最初から事情を説明してよ。」っと麻宮君に言われ、俺は、空いてる席に座った。  「えっと、土曜日の夜「どうぶつ学園」の生放送が終わり、その足でドラマの打ち上げに行ったんだ。それから、スタッフの1人が、俺の家で2次会をやりたいと言い出して、確かに打ち上げ場所と同じ区内で近かったけど、俺は、次の日午後から仕事だからって断ってたんだけど、そんな長居しないからって押しきられて、俺が許可して無いのに、皆飲んでたから、ハイテンションになってて、全然聞いて無くて、その中に、いきなり横田さんが入って来て、仕方なく、俺の家で2次会をする事になったんだ。」  「戸葉君、完全に流されたな。」っと沢本君が呆れて言う。  「すぐに帰るだろうっと、思ってたんで適当に飲んでたら、なんか、急に眠くなって、洗面所に行って顔洗いに行った位までは、覚えてるが、その後何があったかは、覚えて無くて、朝、起きたら、横田さんが居て、とりあえず、先に帰したんだけど、スマホを忘れて、それを渡しに下に行って、そしたら、横田さんが作った覚えも渡した覚えも無い鍵を渡されて、たぶん、その時に、写真を撮られたんだと思う。」  「戸葉君それって。」っと高井君が  「完全に。」っと麻宮君が  「はめられたな。」っと沢本君が  「うん。」っと川野君が  「だよなぁー。その鍵確かに俺の家の鍵だったけど、ちゃんと合鍵、部屋にあったんだから。」っと俺が言うと  「真理子さんが誰かに作らせたんだろう、ドラマの収録中にでも、こっそり型を取れば可能だからな。」っと沢本君が言う。  「俺さぁ、ずっと気になってたんだけど、横田真理子さんの餌食って、一体何の事?」っと俺が聞くと、  「えっ、圭ちゃん知らないの?真理子さんの噂?」っと麻宮君が  「おい、おい、戸葉君、芸能界に何年居るんだよ。けっこう知れ渡ってる話しだよ。なぁー、リーダーも知ってるよな?」っと隣に居るリーダーに聞く沢本君。  「うん。」っと答える川野君。  「えー、そんな有名な噂なの?」っと俺が言うと、  「戸葉君の無知さには、呆れるよ、秀ちゃんが一番知ってるんじゃないの、彼女の事は。」っと沢本君が秀ちゃんに言う  「そんなに詳しく無いけど、俺もドラマで一緒になったり、仕事でインタビューしたりは、あるけど、横田さんって俺と同じ親が政治家って共通点があるし。横田さんって確かに演技も上手で清楚な感じだけど、それは、表の顔で裏では、マスコミを使って、使えそうな芸能人を利用して、売名行為をしてるって一面があるみたいだよ」   「えー、じゃあ、俺って利用された事って事なの。」っと俺が言うと、  「まっ、早く言えばそういう事だな。真理子さんの噂は、それだけじゃなく、親が政治家なのを良いことに、裏の世界で怪しい事をしてるって話しもあって、黒の女優って影では言われてるらしい。」っと沢本君が言うと  「まさか、横田さんが、そんな人だったとは。」俺は、テーブルに顔を伏せた。  「圭ちゃん、大丈夫?そういえば、明日、いつもメールしてる娘とお出掛けの予定だったんだよね。」っと麻宮君が聞く。  「でも、社長命令で外出禁止だから、明日は、中止だよ。」 「ちゃんと、その娘にもメールで今の事話したの?」っと麻宮君が聞く。  「メールしたけど、まだ返信来ない。」  「まっ、戸葉君の無知さが招いた結果だ、短い春だと思って諦めるんだな。」  沢本君は、俺の肩を叩いてそう言う。  「沢本君冷たいなぁー。それは、俺が悪いけど。(そんな簡単に諦められないよ、美穂ちゃんの事は、やっと、俺を理解にしてくれる人に会えたのに)ねぇー、リーダーさっきから、うん。しか聞いてないよ、何か言ってよ。」  「うん。」  全員「......。」  「そういえば、戸葉君、謝罪文書いたの?ちょっと見せて。」っと秀ちゃんが聞く。  「うん。」秀ちゃんに書いた紙を見せる。  「それにしても、最近は、真理子さん、スキャンダル無く静かに活動してたのに、今になって動きだすとは、さすがのマネージャーもお手上げだったみたいだな。」  「そうだね。圭ちゃん、女運悪すぎだよ、やっぱり一度お祓いに行った方がいいんじゃないのかな。」沢本君と麻宮君が戸葉君を見て言う。  「ここ、こうした方が伝わりやすいんじゃないの?」秀ちゃんは、俺の書いた文章を見ながら適切にアドバイスしてくれる。  「うん。そうだね。」  「じゃあ、これ書き直して、そこに紙あるから、それから社長にfaxしな、あっ社長のfax番号分かる?」っと秀ちゃんが聞くと、  「えっと、番号は。」俺は、スマホを取りだそうとすると。  「俺のfaxの所に番号書いてあるよ。」  「さすが、秀ちゃん。あっ、それとちょっとお願いがあるんだけど。」  「いいよ、泊まって。」  「えっ、俺まだ何も言ってないよ。」  「そんなの分かるよ、戸葉君家は、今マスコミいっぱいで帰れないし、マネージャー家は、無機質過ぎて落ちつかないだろうから。まっ、寝るのは、ソファーになるけど。」  「確かに、マネージャーの部屋ってなんであんなに物無いんだろう?断捨離し過ぎだろ。」っと沢本君が言う。  「じゃあ、俺そろそろ支度して、仕事行かないと。」っと秀ちゃんが言う。  「じゃあ、俺もマネージャーの車で帰ろう。」っと沢本君が  「俺も明日朝仕事だから帰る。」っと麻宮君が  「俺も帰る。」っとリーダーが  「皆、本当にごめん、迷惑かけて。」っと俺がメンバーに謝ると、  「戸葉君が無知なのは、よく解ったが、今度ドラマ出演する時は、共演者の事とか、周りにそれとなく聞いとけよ、大切な物無くしたくないならな。」っと沢本君が言う。  「うん。」  「圭ちゃん、あんまり落ち込まないでね、いつもメールしてる娘もちゃんと分かってくれてると思うから、後で圭ちゃんの好きな物差し入れするね。」っと麻宮君が言う。 「ありがとう、麻宮君。」  「戸葉君、まだ未来はある頑張れ。」っとリーダーが  「う、うん。ありがとうリーダー。」  「リーダーは励まし方下手だな。」っと沢本君が言うと、  「そうかな?」っとリーダーが言う。  「じゃ、またな、戸葉君。」っと沢本君とリーダーが言い、  「また、来るね、圭ちゃん。」っと麻宮君が言い、皆は、揃って部屋を出た。  「じゃあ、俺も行くな、faxちゃんと出しとけよ。まっ、なんだ戸葉君の気になってる娘も謝罪文だせば、納得してくれるよ。」っと秀ちゃんが言う。  「うん。そうだね。」っと俺は返事をする。  「じゃあ。行って来る。」  「行ってらっしゃい、秀ちゃん。」   秀ちゃんも部屋を出て、1人きりになり、さっき修正した謝罪文を書き直し、社長にfaxを送った。 (美穂ちゃん、メール読んだかな?)   月曜日の夜、美穂の家 「ただいま。」まだ気持ちが沈んだままで家に帰る。 「お帰り、美穂お疲れ様。」  「美穂、お帰り」お父さんは、相変わらずリビングで晩酌中だった。 「ねぇ、美穂、戸葉君からメール来たの?」 「うん。朝来たけど。」 「さっき、夕方のニュースの芸能コーナーで見たけど、戸葉君、謝罪文をマスコミ各社に送ったみたいで、やっぱり里穂ちゃんの言う通り、噂の女優さんとは、仕事の仲間でそれ以上の関係は無いみたいね。」 「そうなんだ。」(そんな事分かってる。戸葉君のメール見たし)  私は、夕飯を食べ、食器を洗い2階の自分の部屋に行く。  私は、携帯を開け、今日朝来た戸葉君のメールを見る。    「おはよう。美穂ちゃん。戸葉です。週刊誌の件もう知ってるよね?一緒に写っている女優さんとは、仕事以外の関係は無いから、それだけは、美穂ちゃんに伝えたくて、メールした。それと明日のお出掛け中止になった本当にごめん。今は、謝る事しか出来ないけど、この埋め合わせは、絶対するから、信じて待って欲しい。」 (戸葉君どんな気持ちでこのメールしたんだろう、私にそんなに謝らなくても、良いのに、今は、ただの友達なのに。) 私は、ハンガーに掛けてあった、チュニックをクローゼットに閉まった。 (もう、戸葉君の前で着る事無いのかな)  私は、なんか、気持ちがすっきりしなく、ずっともやもやしていた。  (今日は、月曜日、秀ちゃんが、キャスターしてるニュース番組の日だから、先にお風呂入ろう、あのニュース番組は、芸能ニュース少ないし、秀ちゃん居るから、戸葉君の話題は、やらないだろう)っと思い、先にお風呂に入り、寝る準備をした。  夜11時、ニュース番組が始まった。 今日の出来事などが流れ、最後の辺りで芸能ニュースが流れた。 キャスター「今日の注目1位は、やはり、スカイハイの戸葉圭介さんの話題ですね。」 (えっ、まさか秀ちゃん居るのに、その話題やるんだ。) キャスター「同じスカイハイメンバーの高井キャスターは、今回の事をどう思われましたか?」 (まさかのその話題を秀ちゃんに聞くとは。) 高井「そうですね、今回の戸葉さんの行動は、軽率で大変遺憾な事だと思いますが、迅速に迷惑かけた周りの事を考え、謝罪文を本日中にマスコミ各社に送った事は、評価される事だと思います。彼の謝罪文は、嘘偽りの無い本当の気持ちを表した物だと思いますので、視聴者の皆さんも周りのデマなどに惑わされず、彼の気持ちを解った上で、これからの彼の活動を見守って頂けたらと思ってます。僕からは、以上です。(出来たら、戸葉君の気になってる娘が観ててくれますように)」 キャスター「あっ、はい。高井キャスターからの貴重なご意見ありがとうございました。では、続いですが、」  番組は、お天気コーナーに入る。 私は、番組を釘付けで観ていた。 (さすが、秀ちゃん、戸葉君の事分かってるんだね、なんか思いが伝わって泣きそうになった。)  私は、テレビを消しベッドに横になった。 (戸葉君も秀ちゃんの番組観たのかな?どう思ったかな?戸葉君、おやすみなさい)  次の日は、まさかの、晴天でお出掛け日和だった。 (なんで、こんな時に良い天気なの、私の気持ちは、雨雲状態なのに。)  部屋の窓を開け、大きくため息をつく。 「美穂、起きたなら、下降りて朝ご飯食べなさい。」下からお母さんの声が聞こえた。 「はーい。今行く。」下へ降りる、 「おはよう、お母さん、お父さんもう仕事行ったの?」 「美穂がお寝ぼうさんだから、先にご飯食べて行ったわよ、今日はどうするの?」 「休みの日位ゆっくり寝ててもいいでしょ。今日は家に居る。出掛ける気分じゃないし。」 「そう、分かったわ。」  私は、朝食を食べ、2階自分の部屋に戻り、部屋の片付けをしたりして、後は、テレビを観たり、本を読んだりと、休みの1日を部屋でずっと過ごして居た。 1人で過ごす休日は、なんか時間が長く感じた。 (戸葉君、今頃何してるのかな?) 気がつくと、戸葉君の事を気にしてしまう。 (やっぱり、メール返信した方が良いかな?でも、どんな言葉を返したら良いか分からなくて。メール送れない)  そんな気持ちと葛藤しながら、貴重な休日は、過ぎていった。  夕方、お父さんが帰宅して、3人で夕飯を食べ、2階の自分の部屋に戻ると、私の事を心配してた里穂が家に来た。  ピンポーン、ピンポーン。 「こんばんは、美穂居ますか?」 「あら、里穂ちゃん、2階に美穂居るわよ。」 「すみませんが、お邪魔します。」 里穂が2階に上がって来た。 「美穂居る?遊びに来たよ。」 またまたノックもせず入って来た。 「里穂、ノックぐらいしてよ。」 「いいじゃん、家族みたいな者なんだから。」 「親しき仲にも礼儀ありでしょ。」 「そんな言葉知らないもん。ねぇ、それより美穂今日の休みずっと家に居たの?」 「うん。だって出掛ける気にならないし。」 「それはそうだけど、戸葉君からメール来たんでしょ、返信したの?」 「月曜日の朝メールは、来たけど、返信はしてない、どんな言葉で返信して良いか分からないし。」 「美穂の気持ちは、分かるけど、返信はしないと駄目だよ。あっ、そういえば、真理子さん、ずいぶん戸葉君ファンからバッシング受けてるみたいだよ。「この性悪女」とか「戸葉君仕事出来なくなったら、責任とって引退しろ」とか過激な言葉がネット上で飛びかってるらしいよ。」 「そうだろうね、戸葉君ファン多いから、分かっててこんな事したのかな?横田さん。」 「真理子さん的には、想定内の事じゃない。誰に何言われても平気みたいだから、何せバックには、政治家のお父さんが居るからね。」 「あっ、秀ちゃんと一緒なんだ、確か、秀ちゃんのお父さん政治家だよね。」 「秀ちゃんと言えば、昨日の秀ちゃんがキャスターしてるニュース番組観た?戸葉君へのコメント、戸葉君や戸葉君のファンへの愛を感じたよ、戸葉君を信じてるから言える事だよ、真理子さんと逆に好感度アップして、ネット上では、称賛の嵐だったよ。」 「うん。私も秀ちゃんのコメント観てたら、なんか気遣いが凄くて泣けてきたよ」 「それで、美穂は、どうするの戸葉君の事。」 「分かんない、ただ、なんか、戸葉君と横田さんとの写真見た時から、なんか胸の中がモヤモヤして、それが気になって、何なんだろう、この気持ち。」 「美穂、完全にそれ戸葉君に恋してる証拠だよ。そのモヤモヤは、真理子さんに対する嫉妬だよ、何で一緒に写ってるのが私じゃなくて、この女なのって感じの。」 「そんな、それは、まずいよ、スカイハイの戸葉君に恋したって彼女になんてなれないよ、私が、戸葉君の隣に居るなんて不釣り合いだよ。」私は、自分の気持ちを思いっきり否定した。 そんな私に里穂は、声を強めて 「美穂、いい加減認めなよ。美穂の隣に居たのは、本当にスカイハイの戸葉君だったの?貴重な休みを使って美穂と同じ趣味の漫画を読みに漫画喫茶に行ったり、仕事早く終わったからって、わざわざ銚子まで美穂に会いに行ったり、電話が苦手なのに、美穂の声が聞きたいからって電話したり、全部美穂だから戸葉君はした事だよ。1人の男性として。」 私は、里穂の言葉で今まで、戸葉君と過ごした日々が頭の中を駆け巡って行き、自然と涙が溢れてきた。 「ちょっと、美穂ごめん強く言い過ぎた、泣かないでよ。」慌てる里穂に私は、 (本当は、分かってた、戸葉君の事、どう思ってるかなんて、ただ認めたくなかっただけなんだ、戸葉君への想いが胸を締め付けた) そこへお母さんが飲み物を持って部屋へ 「美穂、里穂ちゃん入るわよ。」 「あっ、おばさん、ごめん美穂泣かした。」 「お邪魔しました。」お母さんが部屋出て行く。 「ちょっと、おばさん見捨てないで、美穂泣かないで。」 「里穂、ごめん、私、私。」 「うん、うん、分かった、分かったよ、美穂の気持ち、泣くほど戸葉君に恋しちゃったんだね、よし、よし、」里穂が私を抱きしめ、私は、里穂の前で、わーん、わーんっと大泣きしてしまった。 まるで今まで溜め込んでた想いを吐き出すかのように。  しばらくして、里穂は下に降りて来た。 「美穂落ち着いた?里穂ちゃん。」キッチンに居たお母さんが声を掛ける。 「うん、ごめん、おばさん、美穂泣かして。」 「いいのよ。里穂ちゃん。はい、コーヒー入れ直したから飲んで。」里穂は、温かいコーヒーを口に運んだ。 「ありがとう。おばさん。美味しい。」 「美穂ね、たぶん初めて本気で恋したんだと思うの。学生の時は、家庭環境が悪かったから、恋愛なんかしたくても出来なかったから。」 「そうだね、美穂の前の彼氏は、美穂の体目当ての2股3股男の最低野郎だったし。」 「それが、たまたま人気アイドルグルーのスカイハイの戸葉君だったから、どうして良いか分からず無意識に戸葉君への思いを閉じ込めてしまったんだろうね、美穂だって本当は、分かってるはず、戸葉君を普通の男性と接してる事は。」 「美穂は、気持ちと行動が合って無いような気がしてた、でもこのままじゃ駄目だって思ってたから、つい強く言い過ぎて。」 「ごめんね、いつも里穂ちゃんに嫌な役やらせちゃって、本当は、親である私達が気付かせてあげなくちゃいけないのに。」 「ううん、全然嫌じゃないですよ、私本当に美穂の事好きだし、姉妹みたいに思ってるし、ほっとけない妹のような、たまには頼りになる姉のような。だから気にしないで下さい。」 「ありがとう、里穂ちゃんが美穂の親友で良かったわ。」 「それにしても、戸葉君も悪いと思ってなるなら、メールだけじゃなく、会って謝るくらいして欲しいよね。」 「戸葉君もきっと、会いたいっと思ってるんだろうけど、今日の休みで仕事一杯になっちゃったんでしょうね。」 「あー、あー、どうなるんだう?美穂と戸葉君。」 「それは、もう2人の行動次第でしょうね。」 「うん。そうだね。じゃあ、私帰るね、ごちそうさま。美穂の事宜しくね、おばさん。」 「ええ、今日は、ありがとう里穂ちゃん、気をつけて帰ってね。」お母さんは、里穂を玄関で見送る。  部屋のベットの中で、里穂が帰る声を聞いていた。 (里穂帰ったんだね、大泣きしちゃって、後で里穂に謝らないと) コンコン、私の部屋のドアを叩く。 「美穂、起きてる?里穂ちゃん帰ったわよ。」お母さん部屋に入って来た。 「うん。」布団かぶったまま答えた。 「寝るなら、お風呂入ってから寝なさいよ、美穂。」 「うん、分かった。」 「じゃあ、おやすみなさい。」お母さんは、それ以上は、何も言わず部屋を出た。 (最近お母さんは、口やかましく言わなくなった。私を信用してくれてるのかな?) 布団から起き上がり、机を見ると、並べられた写真立ての中に、まだ何も中に入って無い1つの写真立てがある。 里穂がゴールデンウィーク旅行のお土産に貰った九州の伝統文化で作った写真立て。 里穂が戸葉君と写真でも入れなさいっと渡してくれた。私は、その時は、それは無理な話しだよっと笑いながら話した。 でも、今なら素直に思う、戸葉君と笑顔で写る写真を入れられたら幸せだろうなっと、 どうして、こんな時に戸葉君への想いに気づいてしまったんだろう。もっと違う時だったら良かったのに。これから先、この想いを戸葉君に伝えらるか解らないのに。  次の日の朝(水曜日) 私は、一晩中、戸葉君への想いに悩まされ、寝たのか寝てないか分からず、夜が明けた。  目覚まし時計をいつ止めたか、分からず、朝が来て、お母さんが部屋に入って来た。 「ちょっと、美穂いつまで寝てるの?仕事遅刻するわよ。」お母さんが部屋のカーテンを開ける。 「うーん、もう、朝なの?」布団から起き上がると、お母さんが驚いた声で、 「美穂、その腕どうしたの?」お母さんが見た左腕を見ると、かきむしって、血が出ていた。 「はぁ、私又かいちゃったんだね、大丈夫、薬あるから、塗っておくから心配しないで。」 「本当に、大丈夫?美穂」お母さんが心配そうに言う。 「大丈夫だから、お父さんには、言わないで、又戸葉君の悪口言うから。」っと強めに言う。 「分かったわ、美穂支度して、降りてね。」お母さんは、恐る恐る部屋を出た。  (美穂又、暴力的な言葉になってた。精神疾患が出たら、どうしよう?) お母さんが不安そうな顔で下降りて来た。 「お母さん、美穂どうしたんだ?」 「うん、ちょっと寝坊しただけみたい、すぐ降りて来る。」 「そうか。ならいい。」 しばらくして、下に降りて 「おはよう、お母さん、お父さん、寝坊して、ごめん。」 母、父「おはよう、美穂」 (さっきより、声落ち着いたみたい良かった。)  朝食を食べ終え、2階の自分の部屋に戻りかきむしった所に絆創膏貼ってると、 コンコン。お母さんが部屋のドアを開ける。 「美穂、絆創膏ある?幅の広いのがあるけど、使う?」お母さんが絆創膏を見せる。 「ううん、大丈夫まだあるから、お母さん、朝は、ごめんね、強く言い過ぎちゃって。」 そう言うと、お母さんは、急に近づき、抱きしめた。 「大丈夫よ、お母さん気にしてないから、美穂、どんな時も1人じゃないから、お母さんは、美穂の味方だからね。」 (カウンセリングの先生が言ってた、美穂が暴力的な言葉や行動をする時は、孤独で不安な時だから、そんな時は、お母さんが抱きしめてあげるのが一番効果的ですから)っと、 お母さんの行動に驚きながらも 「ありがとう。お母さん。」っと嬉しそうに頷いた。 「お母さん、仕事行くよ。」 「あら、やだ、お父さん呼んでる。」美穂から離れ、部屋を出て行く。  お母さんの温もりで、少し気持ちが穏やかになった。 「お母さん、美穂の事何か心配な事があるなら、カウンセリングの先生に聞いて見なさい。」 「お父さん、分かってたの。」 「お母さんが不安そうな顔する時は、美穂の精神疾患の事なのは、私だって分かるよ、美穂の父親だからな。」 「うん、ちょっと今日電話して聞いてみる。」 「そうか、美穂の事頼むな。じゃあ、行ってくる。」 「行ってらっしゃい。お父さん。」  お父さんが、仕事へ行った数時間後、気分が落ち込んだまま、仕事へと向かった。  「お母さん、行って来ます。」  「美穂、気をつけて行ってらっしゃい。」  お母さんは、美穂を見送った後、電話を掛けた。 「はい。高橋クリニックです。」 「あの、佐川美穂の母ですが、高橋先生いらっしゃいますか?」 「少々お待ち下さい。」 「お待たせしました。美穂さんのお母さんご無沙汰してますね、今日は、どうなさいましたか?」 「実は、美穂に好きな男性の方が出来たんですが、ちょっと困った事になりまして、先生にどうしたら良いか聞きたくて。」       月曜日の夜、秀ちゃんの家での戸葉君。 「ただいま。」 「お帰り、秀ちゃん。」 「戸葉君、ご飯食べたの?」 「麻宮君が色々差し入れ持って来て食べたけど、まだ残ってるけど、秀ちゃん食べる?」 「そうだな、シャワー先に浴びて、ビールと一緒に食べようかな、戸葉君も一緒に飲もう。」 「うん、秀ちゃん、今日のニュース観た。なんかありがとな。俺の事色々言ってくれて。」 「うん?まっ、キャスターとして、当たり前の意見を言っただけだよ、戸葉君は、何も悪い事は、してないんだし。願わくば、戸葉君の気になる娘が観ててくれれば、誤解は解けるし、まだ返信来ないんだろう?」 「うん、まだ来てないよ。」 「そうか。」  秀ちゃんは、シャワーを浴びて、一緒にビールを飲み始めた。 「お疲れ様。」ビールの缶を合わせる。 「ぷはー、やっぱり、仕事後のビールは、うまいなぁー、それで、明日、戸葉君どうするの?」 「どうもこうも、社長命令だから、部屋に居るしか無いだろう。」 「そうだよな。なぁー、なんで、その娘に告白しなかったの?」 「なんでって、最近だから、そういう感情が芽生えたのって、だから、まさか、こんな事になると思わなかったし、初主演ドラマで浮かれ過ぎてたのかな俺。」 「起きてしまった事は、仕方ないけど、戸葉君のドラマ良かったよ、俺も友情出演出来たし、今回の事を教訓にして、又ドラマやれば良いと、思うよ、今度は、俺のドラマに友情出演してよ。戸葉君。」 「うん。俺も秀ちゃんのドラマ出てみたい。」  久しぶりに秀ちゃんとお酒を飲み、眠りについたが、夜中ふと目が覚めた。  スマホを見たが、美穂ちゃんのメールは、入って無い。一度目が覚めると眠れず、美穂ちゃんとのメールのやりとりを見てた。 (出会って、もう半年で色々なお話したな、もう、美穂ちゃんとメール出来ないのかな、なんか、切なくなってきた。気がついたら、美穂ちゃんの存在って大きくて、なんか、もう会えなかったらどうしよう?っと思って来たら泣けてきた。)そんな事を思ってると、ガチャっと秀ちゃんが起きて来た。 俺のスマホの明かりを見て、 「あれ?戸葉君起きてたの?」 「うん、ソファーだから、寝つき悪くて、秀ちゃんトイレ?」見られないように涙をぬぐった。 「うん、最近飲むと近くて。(戸葉君泣いてた?さっきスマホの明かりで、顔見えたけど、まさかな?)」秀ちゃんがトイレへ行き、俺は、又ソファーに横になった。 (美穂ちゃん、おやすみなさい。)  次の日の朝(火曜日) (なんか、眠れなかったな、なんで、こんな時に天気が良いのか、朝飯でも作るか)  冷蔵庫の中を見て、オムレツを作り始めたっと、丁度、秀ちゃんが起きて来た。  「おはよう、戸葉君、いい匂いだな。」 「泊めてくれた、お礼に、朝飯作ったよ、冷蔵庫の物勝手に使ったよ。」 「おっ、やった、顔洗って来よう。」 「いただきます。」 「うまい、戸葉君、意外に料理上手なんだな。」 「意外は、余計だよ、俺、卵料理は得意なんだよ。(美穂ちゃんにも食べさせたいな)」 「戸葉君、今彼女の事考えてただろう?」 「考えてないよ。」(鋭いな秀ちゃんは。) 「なぁー、戸葉君今度いつ休みなの?」 「今週と来週は、仕事一杯だよ。」 「そっか、ごちそうさん。そろそろマネージャー来る時間か。」食器を流し台に下げる。 「あっ、秀ちゃん、俺洗っておくよ。」 ピンポーン、ピンポーン 「おはようございます。高井君。木元です。」 「マネージャーのお迎えだ、行って来る。」 「行ってらっしゃい。秀ちゃん。」  秀ちゃんを食器洗いながら、見送った。 (あー、今日何しよう、美穂ちゃん今頃何してるのかな?)  高井君マネージャーの車の中 「高井君、戸葉君の様子は、どうですか?」  「元気そうに見えるが、かなり落ち込んでるな、夜中、目覚めて、トイレに行こうとしたら、戸葉君起きてて、なんか気のせいかもしれないが泣いてたような気がする。」 「そうですか、気のせいでは、無いかもしれないですよ、昨日、高井君のマンションで会った時、つい。その娘の悪口を言ったら、声を荒げて怒られましたから。」  「戸葉君、その娘の事本気で想ってるのかな?」 「どうでしょうね、戸葉君、芸能界に若いうちから入ってますから、もしかしたら、初めて本気で恋したのかもしれませんね。」  「まさか、戸葉君もう20代後半だよ、今さら、でも、まっ、今までの彼女って性格と頭が悪そうな娘ばっかりだから、ありえるか。」そんな話をしながら、マネージャーの車で仕事場に行った高井君は、ある考えが頭をよぎった。   そして。夜、高井君帰宅。 「ただいま。」 「お帰り、秀ちゃん。」 「戸葉君、もう帰るの?」さっき、秀ちゃん帰る前、ラインで夕飯買って行くけど、どうするって聞かれたから、俺もう帰るから、いらないよ、って入れた。 「戸葉君、夕飯食ったの?」 「うん、お昼、麻宮君来て、色々又食べ物持って来たから、その残り食べたから大丈夫だよ。」 「麻宮君、今日休みだったの?」 「いや、午後からだったから、少しお話しして、帰ったよ、麻宮君来てくれて良かったよ、1人だと、色々考えてしまうから。」 「戸葉君、明日から仕事大丈夫なの?」 「心配しなくても平気だよ、俺、公私混同はしないから、ちゃんと仕事は出来るよ。じゃあ、秀ちゃん泊めてくれてありがとな。」 「いいよ、困った時は、お互い様だし、後でビール倍返ししてくれれば。」 「はい、はい、後で、買って渡すよ、じゃあ、お休み。」俺は、高井君の部屋を出た。 (戸葉君、本当に大丈夫か?よし、人肌脱ぐか)高井君は、電話を掛けた。 「もし、もし、リーダー、俺、秀だけど。」  「秀ちゃん、どうしたの?」 「夜遅くごめんな、戸葉君の事で相談あるんだけど。」 「まだ、夜遅くないから、大丈夫だよ、相談って何?」   水曜日「どうぶつ学園」収録  「おはようございます」っと俺は、挨拶して、テレビ局に入ると、いつも以上に周りに注目されてる気がする。 (仕方ないよな。週刊誌に載ればそうなるよな)そう思い、楽屋に向かった。  「おはようございます。」っと俺は、楽屋のドアを開ける。  「おっ、おはよう、色男来たか。」っと河村さんが  「何ですか。その言い方。」  「おはよう。それはそうでしょ、まさか、戸葉君が真理子さんの餌食になるとは、思わなかったわよ。」っと村瀬さんが 「もしかしたら、2人とも横田さんの噂知ってたんですか?」  「まさか、戸葉君、知らなかったの?」っと驚いた声で村瀬さんが聞く。  「はい、メンバーに聞くまで知りませんでした。」  「呆れた、ねぇ、河村さん言った通り無知だったでしょう。」  「まさか、ゆみちゃんの言った通りとは、ちゃんと俺も警告したんだけどな。」  「すみません、村瀬さん、河村さん。」  「それで、美穂ちゃんには、謝ったの?」っと村瀬さんが聞く。  「メールで説明はしたけど、返信無くて。」  「何それ。昨日謝りに行かなかったの?」っと村瀬さんが聞く。  「社長から外出禁止命令出てたから無理ですよ、河村さん、俺どうしたら良いですかね。」  「そんな事、俺に聞くなよ、確かに戸葉ちゃんと美穂ちゃんの架け橋をしたのは、俺だが、その後の事は、戸葉ちゃんや美穂ちゃんが決める事だろう、一言言えるとすれば、自然消滅は、止めとけよ、後で悔いが残るからな。」そんな話しをしてると 「ウッキッ、ウッキーキー。」ダイ君が蹴りを入れてきた。  「なんだよ、ダイ君急にびっくりしたな。」っと俺が言うと、  「ダイ君も怒りますよ、戸葉君があんな女優さんと写真に写って、可愛いガールフレンドが戸葉君にいじめられたと思ったんでしょう。」っとトレーナーが言う。  「俺、美穂ちゃん、いじめてないよ、ダイ君って言うか、トレーナーも横田さんの事知ってたの?」  「ええ。横田さんのCMに動物を貸した事がありまして、私が横田さんって綺麗で清楚ですねっと言ったら、そこのスタッフさんが清純派女優なんて名ばかりだって言って黒い噂を聞きましたから。」  「トレーナーも知ってたんだね。」  「戸葉君が無知で鈍感なのは、知ってますが、美穂さんが可哀想ですよ、やはりあの時、私が美穂さんをお嫁にもらっておけば良かったですね。」  「トレーナー、真顔で、そう言う冗談言うの止めて。」っと俺が言う。  「それで、戸葉君、いつ美穂ちゃんに会うのよ。」っと村瀬さんが聞く。  「実は、昨日の休み作るのに、仕事詰めちゃったから、今週も来週も仕事一杯で。」  「最悪だなそれ。」っと河村さんと村瀬さんが言う。  「戸葉君、ちょっと見てもらいたい物があるんだけど、今良いかな?」っと小道具のスタッフが声を掛ける。  「いいですよ。」小道具係の人と一緒にスタジオに行く。  「なんかさ、やっと戸葉君もスタッフの方達と自分の意見言えるようになって、もしかしたらこのまま元のスタイルに戻るんじゃないかな?っと思った時にこんな事あって、戸葉君大丈夫なのかな?」っと村瀬さんが心配する。  「ここ、こうした方が良くないんじゃないかな?」っと俺が小道具の箱を触りながら言う。  「そうだな、その方が使いやすいか。」っと小道具のスタッフが言うと、  「わっ、痛い。」っと俺が箱の切り口で手を切った。  「戸葉君大丈夫か?今絆創膏持って来る。」っと小道具のスタッフが楽屋に向かう。  「すみません。」っと俺が謝る。  「大変、大変、救急箱何処だ。」小道具さんが慌てて、スタジオから楽屋に戻った。   「どうしたの?そんなに慌てて?」っと村瀬さんが聞く。  「いや、戸葉君、箱の切り口で手切ったみたいで、珍しいな彼がそんな事するなんて。」っと小道具のスタッフが返す。  「おい。今日の収録、戸葉ちゃん大丈夫か?心配になってきたぞ。」っと河村さんが  「うーん、今度は、戸葉君が放送事故起こしたりして。」っと村瀬さんが 「ウッキー、ウッキー?」っとダイ君が 「ダイ君も心配か?戸葉君の事。」ダイ君を膝に抱っこして聞くと、コクコクっと頷いた。  「私が心配なのは、戸葉君よりも美穂さんですよ、今回の事で大きなストレスがかかり、精神疾患が起きてないと良いですが。」っとトレーナーが心配そうに言う。  「そうだね、美穂ちゃんも心配だよ。」っと河村さんも村瀬さんも頷きながら言う。  「「どうぶつ学園」の皆さん、そろそろ収録の準備お願いしますよ。」っとディレクターがそう言うと、戸葉君がスタジオから楽屋に戻って来た。  「ちょっと、戸葉君、手大丈夫なの?」っと心配そうに村瀬さんが聞く。  「大丈夫ですよ、ただのかすり傷ですから、幸いな事に左手ですから、問題無いんで」っと左手の絆創膏を貼った方を見せた。  「色々思う事多いと思うが、収録は、ちゃんとやろうな。戸葉ちゃん。」っと河村さんは俺を見て言う。  「大丈夫ですよ、河村さん、村瀬さん。」2人を見て言う。  「よし。では、今日の収録頑張りましょう。」っと河村さんが言うと、  「はい。」っと俺と村瀬さんが返事をする。 「ウッキー、ウッキー。」 「では、ダイ君も行ってらっしゃい。」  そして、「どうぶつ学園」の収録が始まった。   一方、仕事に行った美穂。 「おはようございます。」いつものように、タイムカードを押し、食堂を通り、更衣室へ向かう。 「おはよう、佐川さんってちょっと大丈夫?顔暗いし、目の辺り腫れて無い?」本多さんが心配そうに声を掛ける。 「うん、大丈夫、ちゃんと仕事は出来るから。」っと更衣室へ入り鏡を見る。 (目の辺り、化粧厚めにしたけど、誤魔化しきれなかったかな?)ため息まじりに思う。  仕事は、出来ますっと本多さんには、言ったものの。  「佐川さん、何してるの?お客さん待ってるわよ。」  「すみません、入ります。」っとレジで言われ、売り場に行けば、  「ちょっと、佐川さん、手止まってるし、後ろのお客さん邪魔してる」っと怒られ。  「佐川さん、お客さん呼んでるわよ、無視しないで。」  「すみません、お客さん様、ご用件は、何ですか?」っとお客さんにも迷惑かけの、1日中、チーフマネージャーの怒号飛んで、仕事の最後には、  「佐川さん、今日は、最後の閉めしなくて良いから、先に帰って。」っと呆れた声で、言われ、 「すみません、お疲れ様でした。」っと申し訳なく思いながら、更衣室へと歩く。 (私、今日すみません何回言ったんだろう?) はぁーっと又ため息をつき、着替えをして、更衣室へを出ると、食堂に益田君が。 「お疲れ様、佐川さん、今日はどうしたの?1日中チーフマネージャーの怒号が売場まで聞こえたし、お昼も食欲無いみたいで他の人に分けてたでしょ、具合でも悪いの?」 (よく私の事見てるな、確かにお昼食欲無くて残したら怒られるし、捨てたらもったいないから隣の人に分けたけど)少し呆れた声で「大丈夫ですよ、益田君、ちょっと調子悪いだけですから。」っと益田君の隣を通ろうとしたらよろけて、ぶつかり、その拍子で壁にあたった私に、益田君がまさかの行動に。 益田君は、壁に手をつき、通せんぼの状態に。 (まさか、これって壁ドン?)私は、そう思うとかなりの至近距離で益田君を見て、 「あのー、益田君?私帰りたいんだけど。」っと言うと、フッと笑い、 「俺、実は入社当初から、佐川さんの笑顔に恋しちゃって、ずっと気になって。だから今日元気が無いのが心配で。」 (まさかのこの状態の告白?)そう思い黙って、聞いてると、 「いつか、佐川さんに俺の気持ち気づいて欲しくて、、」っと益田君が告白の話しをしていたが私は、 (この壁ドンのシーンって、スカイハイの誰かのドラマであったような)っと全然、益田君の話しを聞いてなかった。それに気づいたのか、 「あのー、佐川さん、俺の話し聞いてる?」っと私の顔を見る。 「あっ、ごめんなさい。私今誰とも付き合う気が無いので。」っと益田君に頭を下げ、 「じゃあ、お疲れ様です。」っと益田君の壁ドンした、腕の下をくぐって、事務所へ行く。ふと、後ろを見ると益田君は、壁ドンしたまま固まっていた。 (俺、今振られた?) 私は、益田君に申し訳ない気持ちを持ちつつもタイムカードを押し。 「お疲れ様でした」っと言い外に出る。 (あっ、あの壁ドンのシーン今思いだした、沢本君のドラマだ、そのドラマがヒットして、スカイハイの主題歌注目されて、一気に人気が急上昇したんだよね。)っと歩きながら思い。 (はぁー、私っていつの間に、こんなにスカイハイに詳しくなったんだろう?あんなにアイドルなんて興味無かったのに、戸葉君と会ってから、本当に変わった気がする。もう、昔の自分には戻れないなぁ)っと自己嫌悪に似た気持ちを持ちながら、フラフラ歩いてると、後ろから車のクラクションがパァッパァって鳴り響き、ヘッドライトが光った。 「きゃっ」っと私は、轢かれる寸前の所で避けた。 運転手「バカヤロー、後ろを見て歩きやがれ。」運転手の怒号が飛ぶ。 (ん?後ろを見て?そんな器用な事出来ないでしょ、普通、後ろも見て歩きやがれ。でしょ)そんな事を思ってると、 「あっ、痛い。」避けた時に左手の手のひらを擦ったみたいで、血が出ていた。そんなたいした怪我でも無いのに、何故か物凄く痛く感じた、まるで私の今の胸の痛みと合わさって涙が出てきた。 「痛い、痛いよ、戸葉君に会いたい、声が聞きたい。」一目を気にせず1人事のように泣きながら言った。 「佐川さん、どうしたの?」車のクラクションを聞いて、駆けつけた益田君が、しゃがむ私に近づいて来た。 「大丈夫です。」っと差し出す手を振り払って立ち上がり、駐車場へと歩きだした。  (佐川さん、泣いていた?)  私は、車に乗り、どうにかこうにかで家着いた。  「ただいま。」  「お帰り、美穂って、どうしたのその手。」お母さんは、私の左手を見て驚く。  「うん。後ろから来た車に轢かれそうになって避けたら、怪我した。」  「何やってるのよ、今消毒するから、ちょっと待って。」お母さんは、リビングから救急箱を持って来た。  「痛い、痛い、もう少し静かにやって。」消毒が傷口に染みてきた。  「何言ってるの、美穂が悪いんでしょ、ちゃんと後ろも見て歩いて無いから、どうせ戸葉君の事でも考えて歩いてたんでしょ。」 (母よ、ご名答です。)それに対し黙ってると、お母さんは、  「ねぇ、美穂、戸葉君の事ちゃんと気持ち伝えた方が良いよ、じゃないと一生今の気持ち抱えて生きていくようになるから、ちゃんと会って話しなさい。」  「でも、もし振られたら、お母さんの義理の息子説無くなるんだよ。」  「大丈夫よ、その時は、美穂が戸葉君より良い男捕まえてくれば良い事だから。」 (母よ、そういう問題か。)そう思いながらもお母さんの言葉に。  「そうだね。メール返信出来たらするよ。あっ、お母さん今日食欲無いから、夕飯いらない、お風呂出来たら呼んで。」  「大丈夫なの?美穂。」  「うん、お昼は、食べたから、はい、お弁当箱(半分は、人にあげたけど)」っとお弁当箱を渡し、2階の自分の部屋へと階段を上がる。  救急箱を片づけにリビングへと行くと晩酌中のお父さんが  「なぁ、お母さん、美穂は、大丈夫なのかな?」  「今、私達は、見守る事しか出来ないと思う、美穂も大人なんだし、どうするかは、本人次第だから。」  「まったく、アイドルなんて、チャラチャラした奴に心奪われるなんて、どうかしてる。」  「お父さん、戸葉君の悪口言ったら、おこづかいカットとビール1本減らすわよ。」  「おい、おい、本気か、お母さん、俺とそのアイドルどっちが大事なんだ。」  「戸葉君。」  「えっ、本当に?」  「冗談よ、お父さんに決まってるでしょ。」  「いや、今の顔は、本気だったぞ。」  「とにかく、今は、美穂の行動を見守りましょ、それが今親が出来る事なんだから。」  2階の自分の部屋に戻り、着替えをして、ベットに横になる。  (お母さんの言う通りなんだけど、やっぱり何をどう入れたら言いか分からない。)携帯を見ながら、戸葉君へのメールを考える。 (本音を言えば、会って話しがしたいけど、戸葉君確か、今週は、仕事一杯っ言ってたし)  そんな事をずっと考え、お風呂に入った後も考えもまとまらず、温まった事で、かきむしった所が痒くなって、一晩中そんな感じで、結局朝になった。  次の日の朝(木曜日) (あー、今日も寝不足、一晩中かきむしりとの戦いで、寝れなかった。) 目覚まし時計を止め、そんな事を考えてると、お母さんが部屋をノックした。  「美穂、起きてるの?入るわよ。」お母さんが部屋のカーテンを開ける。  「起きてるけど、寝不足で仕事無理かも。」お布団をかぶり、そう答える。  「そう、じゃあ、仕事場に連絡しなさい、高熱でも出たって言って、それに、その手じゃ、仕事出来ないでしょ、お母さん必要なら電話出るから。」っと言い、部屋を出た。 (えっ、どうしたの?お母さん、いつもなら寝不足なんかで仕事休むなって言うのに)呆然と、母の背中を見て、 (でも、こんな状態で仕事しても又迷惑かけるし)左手の手のひらを見て思う。  私は、お店が始まる1時間前に会社に連絡をした。   「はい、ジョイフル本田那珂湊店、佐藤です。」事務の佐藤さんが出た。  「お疲れ様です。レジの佐川です。チーフマネージャー居ますか?」  「はい、お疲れ様です。今繋ぎますね。」しばらく保留の音が聞こえ、  「はい。佐川さん?おはよう。どうしたの?」  「おはようございます、マネージャー、今日すみませんが、熱が出てしまって、お休み頂きたいんですが?」  「はぁ?昨日あんなに、散々ミスしたのって、調子悪かったからなの?なんで昨日の内に休まなかったのよ。」凄く怪訝そうに言う。  「すみません、昨日は、微熱だったので大丈夫だと思ったら、昨夜、熱が高くなって」  「佐川さん、自己管理が出来て無いなんて、社会人失格よ。いいわ、佐川さん、次の休みって土曜日よね?」  「はい、そうです。」  「じゃあ、有給使っていいから、今日と明日休んで、体回復させて。そして、日曜日しっかり働いて貰うからね。店長に代わるから、少し待って。」そう言うと、又保留の音が聞こえた。  私の職場は、自己原因で休む場合は、上の者にも自分で説明しなくては、いけない上に実家又は、同居人が居る場合には、その人にも確認する少々面倒な職場。  「おはよう。佐川さん、どうした?具合が悪いのか?」店長が出た。  「はい、すみません、高熱が出て。」  「佐川さんは、実家暮らしだよな、親居るのか?」  「はい、今母親に代わります。」私は、下に降り、キッチンに居た、お母さんに、  「店長が代わってて。」っと言い携帯を渡す。  「もしもし、いつも娘がお世話になっております、佐川美穂の母です。実は今朝になって高熱が出て」っと母が店長に説明してる、お父さんは、仕事に行ったみたいで居なかった。 「はい、美穂、店長さんが代わってだって」説明し終わった母が私に携帯を渡す。  「佐川さん、さっきチーフマネージャーに聞いたが、有給使って3日休むんだな?」  「はい、すみません。この人が少ない時に。」  「佐川さんは、少し働き過ぎだから、この機会にゆっくり休め、昨日、益田君が佐川さんが元気無いって心配してたし。」 (あっ、私益田君の事すっか忘れてた。)  「店長、今日益田君来ますか?」  「今日、確か休みだった気がするが。」  「そうですか、では、明日益田君来たら、ご心配かけてすみませんって言っておいて下さい。」  「分かった。ゆっくり静養して、日曜日元気に出勤しろ、佐川さんの笑顔目当てで来るお客様も多いんだから。」  「店長ありがとうございます、本当にすみませんでした。」って言って、電話を切る。  「お母さん、ありがとう、電話出てくれて。」  「いいのよ、朝ご飯食べるでしょ?昨日の夜から食べて無いからお腹空いてるでしょう。」茶碗にご飯を盛り言う。  「うん、お腹は、空いてるんだけど、ご飯が喉を通らなくて。」  「そう、分かった。ちょっと待ってね。」っと言い、持ってたお茶碗のご飯を味噌汁に入れた。  「はい、これなら喉通るでしょ、ねこまんま、にゃんこ飯とも言うどうぞ。」味噌汁のお椀を私の前に出す。  あまりのびっりした行動に目を丸くして見て、 「クスックスッ、お母さん、それじいじが嫌いな食べ物だよ、前にそれやったら、じいじがそんな物、人の食い物じゃないって怒ってたんだから。あの世でじいじが怒ってたりして。」懐かしそうに話す。それを見たお母さんは、 (良かった、美穂久しぶりに笑ってくれた、昨日高橋先生の言った通り、「美穂さんがかきむしったりするのは、不安な時だから、今は、美穂さんの思う通りにしてあげて、心に余裕出来れば、冷静になり、自分の行動を見つめ直すでしょうから」言われた通りにして良かった)そう思い一息ついた。  「お母さん、いただきます。」  「うん、美穂の好きなお豆腐の味噌汁だからちゃんと食べなさい。」  「うん、美味しい。お母さん、ありがとう。」  朝食を食べ、食器を洗い、2階上がろうとすると、お母さんが  「昼ご飯は、喉が通る麺類にしようか?あっ、後、美穂の好きなプリン作るから食べて、甘い物食べると癒されるし。」  「うん。ありがとう。2階に居るね。」  「美穂、かきむしりは、もうしないでね。」私は、コクッと頷き2階の部屋へ行く。  (なんか、久しぶりに仕事休んだなぁー、気のせいか、気持ち軽くなった気がする、戸葉君と連絡しなくなって4日目、今何してるのかな?会いたいなぁー)そんな事思いながら、ベットに寄りかかってると、寝不足だったせいか、うとうとし始めていた。    戸葉君家、木曜日の朝  「うーん、なんか寝た気がしない。」独り事のように呟き、ベットから起き上がり、スマホを見る。 (美穂ちゃんから、まだメール無いなぁー、今日は、木曜日、俺が最後にメールして、4日目か、こんなに長く美穂ちゃんからメールが無いの初めてだよなぁ、いつも、ほぼ毎日挨拶程度のメールしてたし、それが当たり前だったから、俺ってやっぱり鈍感だよな、毎日メールする関係ってメル友以上な関係だよ、美穂ちゃんとは、それが自然過ぎて気づかなかったけど)着替えをしながら、思う。 (美穂ちゃんに会いたい、会って謝って、俺の気持ち伝えたい。日に日にその思いは、あるが、仕事が、今日は、午後からだけど、茨城だから、午前中だけで行って話しする時間が無い。) はぁーっとため息をつき、朝ごはんを食べる。 (なんか、ご飯も食べた気がしない。)   朝飯を食べソファーに座り、コーヒーを飲みながら、過ごす。 (あれ?そういえば、今日麻宮君からライン来ないなぁー、月曜日以来何かと気にかけて、毎日ライン送ってくれたのに、忙しいのかな?今日は、午後からスカイハイバトルの収録だから、会えるけど。)そんな事を思いながら、マネージャーが来る時間を待つ。  午後3時過ぎマネージャーの車で収録場所へと向かう。  スカイハイバトル収録現場 「おはようございます。」俺が挨拶しながら、収録現場に入って行くと、 (あれ?何かがおかしい?)違和感を感じた。  「あれ?戸葉君今日、スカイハイバトル延期になったのに来たの?」スタッフの1人が声をかける。 (違和感の原因は、スカイハイバトルのセットがほぼ無い事だ)  「延期ってどういう事?」スタッフに話しかける。  「あれ?戸葉君聞いて無いの?なんか戸葉君例の週刊誌の件で調子が悪いからって来週に延期するように頼んだみたいだよ、なんで本人に伝わって無いんだろう?」 (何それ、俺聞いてないよ)  「メンバー来てるよね?」  「ああ、なんかさっき控え室に居た気がする。」俺は、控え室の方に向かう。 (どういう事だ。俺に内緒でこんな大事な事決めて。)  俺は、控え室のドアを強く開け、怒鳴りこむように  「一体、どういう事だ、誰が延期なんて、勝手に決めたんだ。」メンバーが全員俺の方を向いた。  「戸葉君、落ちついて。」っとリーダーが言う。  「戸葉君さぁ、この間のテレビの収録で怪我しただろう、麻宮君から聞いたよ、そんな状態で、このスカイハイバトルの収録出来るか、戸葉君に何かあったら、俺らメンバーだけじゃない、ゲストや番組自体に迷惑かけるんだよ。」沢本君は、俺の怪我した左手を掴みそう言う。  「離せよ、こんなのかすり傷だよ、俺は、公私混同なんかしないよ」っと沢本君の手を振り払う。  「俺だよ、俺が延期をするようにリーダーに相談したんだ。」っと秀ちゃんが言う。  「秀ちゃん、何で、そんな事を。」  「俺が一番戸葉君を近くで見て、このままじゃ、駄目だと思ったからだ。今俺達が戸葉君に時間をあげて、今思ってる事を彼女に伝えて、すっきりした上で仕事に望んで欲しいと思ったからだ。」  「皆、圭ちゃんの事心配してるんだよ、俺もメールしてる娘の事聞いてたから、圭ちゃんがその娘の事どう思ってるか知ってるから、秀ちゃんの延期に賛成したんだ、黙ってて、ごめんね。」っと麻宮君が謝る。  「戸葉君さぁ、何年俺達と一緒にやってるの?戸葉君の気持ちなんて、分かるんだよ、本当は、仕事よりも彼女に会いたいんだろう、だけど、戸葉君優しいから俺達に気遣って言えないから、俺も秀ちゃんの延期に賛同したんだ。」っと沢本君が言う。  「ごめん、沢本君、熱くなって、怒鳴ったりして。」沢本君に頭を下げた。  「戸葉君って、変な所で熱くなるよな。」っと沢本君が俺の頭を軽く叩いた。   「秀ちゃんから話し聞いた時、戸葉君の気持ちが俺も分かったから、マネージャーに俺達の気持ちを伝えて、ゲストさんに謝りに行った、戸葉君に言ったら、意地張りそうだから、黙ってたんだ。」っとリーダーが言う。 (マネージャーも知ってたのか)  「皆、俺のせいでごめん。」っと俺はメンバーに謝る。  「大丈夫だよ、戸葉君、収録は、多めに撮ってあるから、延期しても問題無いし、ゲストの皆さんも、横田さんの餌食になったからねっと同情してたから、何の問題なく、承諾してくれたよ。」っと秀ちゃんが言う。 (それは俺としては、複雑だけど)  「謝る相手は、俺達じゃなく、彼女だろう、早く行って、当たって砕けて来いよ。」っと沢本君が  「いや、何で砕けるのが前提なの、沢本君。」  「圭ちゃん、今から行っても、夕方には着くだろうから、ゆっくりお話し出来るよ。彼女の最寄り駅知ってるんでしょ?」っと麻宮君が聞く。  「うん。麻宮君、皆ありがとう、この埋め合わせは、後でするから。」俺はメンバーに頭を下げる  「戸葉君、頑張れ。」リーダーが親指を立てて言う。  俺がドアノブに手をかけようとすると、麻宮君が  「あっ、圭ちゃん。手、血が滲んでるよ、これ使って張り直して、彼女さんびっくりするから。」っと麻宮君が絆創膏を渡してくれた。  「ありがとう、麻宮君。」  俺は、控え室を出てマネージャーの車へと向かった。  「戸葉君は、世話のやける奴だな。」っと沢本君が  「まあ、まあ、そういう戸葉君の不器用な所、俺は、嫌いじゃないけど」っと秀ちゃんが  「それで、俺達これから、どうする?俺この仕事が今日は最後の仕事だけど。皆は?」っと麻宮君が皆を見て聞く。  「俺らもだ。どうしようか?」っと口を揃えて言う。  「じゃあ、今から4人で夕飯食いに行くか?もちろん、戸葉君の奢りで。」っと沢本君が  「おっ、それ良いね、何食う?やっぱり肉か?」っと秀ちゃんが  「良いね、俺も肉食いたい。」っと麻宮君も賛同する。  「じゃあ、本日もセリフの少なかった。リーダー、いつもの焼き肉店空いてるか、電話して、予約して、マネージャー帰って来たら連れてってもらうから。」っとリーダーを見て言う沢本君。  「えー。俺今日けっこう話したよ。今電話してみるね。」スマホを取り出し、リーダーは、お店を検索する。  そんな状況を知らない、戸葉君は、マネージャーの車へ。  「お話しご苦労様です。戸葉君。」  「マネージャー今日の事知ってたんだね。」  「ええ、もちろん知っていましたよ、ただメンバー全員が俺達が戸葉君に説明するからって言ったので、黙っていましたが、それで、どちらに向かいますか?東京駅?上野駅どっちですか?」  「東京駅で良いよ。」面白く無い声で言う。  「茨城なら、上野駅の方が近いのでは?」  「えっ、何で、茨城って知って居るの?マネージャー。」   「麻宮君から聞きましたよ、戸葉君が気になってる娘に興味がありましたから。」  (確かに、麻宮君に話した気がする。) 「麻宮君を責めないで下さいね。マネージャーとして、気になってたから聞いただけですから。」  「分かってるよ。」窓から外を見ながら、美穂ちゃんに、会える喜びと結果がどうなるかの不安な思いが入り交じりながら、車は、上野駅に着いた。  「ありがとう、マネージャー。」 マネージャーの車を降り、帽子とマスクをした。  「帰り必要ならお電話かメールして下さい。迎えに行きますから。」  「何時になるか、分からないから必要ならタクシーで帰れるし。」  「くれぐれも明日仕事なのをお忘れ無く、では、いってらっしゃい。」   「はい、はい、分かってます。行って来ます。」俺は、手をあげて、マネージャーの車を後にし、駅へと入る。  時刻表を見て、場所を確認する。 (乗り換えるようか、乗り換え前に美穂ちゃんに電話するか、あれ?でも仕事か。確か今週は、火曜日と土曜日と言った気が、最悪、仕事終わるまで待てばいいか、俺は、今日は、美穂ちゃんに会うまでは、絶対帰らないから)強く決心し、改札口へと向かう。   一方、美穂の家  「美穂、お昼出来たわよ。」お母さんの声で目が覚める。  「はーい、今行く。」下に降りた。  「あっ、にゅうめんにしたんだね。美味しそう。」  「そうよ、これなら喉通るでしょ、ってあれ?美穂、寝てたの?跡ついてるよ。」お母さんが頬を指す。  「うん、ベットに寄りかかってたら、うとうとしてたみたい。」 (少し気持ち落ちついたみたいね、美穂)  「お母さん、いただきます。」  「はい、どうぞ。デザートにプリンあるから食べなさい。」  「うん。」  美味しいお昼をお母さんと食べ、2階に上がり、部屋へと戻り、テレビを付けて、ボーっと見ていた。 (やっぱり戸葉君にメールしよう、会って話したい事があるから時間作ってもらいませんか?みたいな事で良いよね、無理なら電話でも良いし。今は、気持ち伝えたいから。)私が意を決心、携帯に手を伸ばすと、 プルルー、プルルー、っと電話が鳴った。 着信番号を見ると、戸葉君だった。 (こんな夕方の時間に戸葉君から電話って、何で?仕事は?)疑問に思いながらも、深呼吸して、電話に出る。 「もし、もし。」 「もし、もし、戸葉だけど、美穂ちゃん?」 久しぶりの戸葉君の声に嬉しくて泣きそうになった。 「うん。」 「出てくれて良かった、今日仕事だよね?休憩中?」(って言うか、戸葉君も仕事のはずだけど)っと思いながらも、 「今日、仕事休んだの。」 「そう、あの俺、今、美穂ちゃんの最寄り駅に向かってるから、会いたいんだ、会って話しがしたい。」(えっ、嘘でしょ、戸葉君こっちに来てるの?)突然の事で言葉が出ず。 「駅に着いたらメールするから、会って欲しい、美穂ちゃん来るまで、待ってるから、じゃあ、電車来たから又後で。」っと戸葉君の電話が切れた後、何が起こったか分からず、ただ放心状態だった。  しばらくして、我に返ったが (えっと、戸葉君来てるんだよね、心の準備して、伝えたい事伝えないと、それと服何来て行こう、あっ、化粧もしないと)っとまだプチパニック状態に。 (あっ、里穂にメールしないと火曜の夜大泣きした事謝ってないし、里穂仕事終わったかな?)  「里穂、お仕事お疲れ様。火曜の夜は、大泣きして、ごめんね。そして、戸葉君の気持ち気付かせてくれて、ありがとう。今日調子悪くて仕事休んだんだけど、今戸葉君から電話来て、こっちに来てるみたいだから、会いに行って来る。まだ心の準備は、出来て無いけど、しっかり想い伝えて来るよ。」っと送信。適当に服に着替え、化粧を薄くしてると、メールの音が。里穂からだった。    「美穂、火曜の夜は、気にしてないから大丈夫だよ。戸葉君会いに来てくれたんだね、想い伝えて当たって砕けて来な。振られたらやけ食いでもやけ酒でも付き合ってあげるから、頑張って来るんだよ。報告待ってるからね。」(里穂、砕ける前提って本当に応援してるのかな?でも里穂らしいよ。)     里穂のメールの後に、戸葉君からメールが来た。  「戸葉です。今、美穂ちゃんの最寄り駅の那珂湊駅に着きました。駅構内の待ち合いのベンチに座って待ってます。帽子とマスクしてるから、すぐ分かると思います。」 (戸葉君、私の最寄り駅覚えてたんだね、凄い記憶力だよ。さて、行かないと。)  下に降り、キッチンで夕飯の準備をしてる、お母さんに声を掛けた。  「お母さん、戸葉君がこっちに来てくれたみたいだから、会って話しをして来る。」 お母さんは、少し驚いた顔をして、  「そう、戸葉君、美穂に会いに来てくれたのね、想い伝えて当たって砕けて来なさい。」っと笑顔で言う。 (ん?母よ、何故、里穂と一緒で砕けるが前提なの?あっ、そういえば、母と里穂って同じ人種だった)そんな事思いながら  「行って来るね、お母さん。」  「お父さんには、上手く言っておくから、夕飯は作っておくから、遅くなっても良いからちゃんと食べなさい。」  「うん。行って来ます。」   車に乗り、駅へと向かう、普段なら10分位で着く道のりだが、退勤の時間とも重なり少し遅く着いた。  車をコインパーキングに停め、駅へと向かう。  駅の待ち合い室のベンチには、帽子とマスクをした戸葉君の姿が見えた。私に気付き、立ち上がった。 (あれ?戸葉君痩せた?ご飯食べて無いのかな?)そんな事を思い、戸葉君の方へと歩きだす。  駅に着き、俺は、美穂ちゃんにメールをした。15分位待っただろうか、美穂ちゃんの姿が見えた。 (良かった、美穂ちゃん来てくれて、ん?美穂ちゃん痩せた?ご飯食べて無いのかな?って言うか左手、俺と同じ所に絆創膏貼って無い?どういう事だ)そんな事を思ってると、美穂ちゃんがこっちに歩いて来た。  「戸葉君、久しぶり。」先に私が声を掛ける。戸葉君は、辺りを見回し、マスクを取り、  「美穂ちゃん、久しぶりだね。」とりあえず、待ち合い室のベンチに2人は座る。辺りは、退勤ラッシュも過ぎ、人はほとんど居なく、静かな状態で、しばらくの沈黙が続く。  沈黙を破るように戸葉君が  「美穂ちゃん、何で、メール返信してくれなかったの?俺待ってたんだけど。」私は、まだ言葉が出ず黙ってると、  「まだ、週刊誌の事怒ってるの?」っと聞くと、私は首を横に振った。  「じゃあ、何で。」私は、ようやく喋り始めた。  「横田さんの事は、里穂に聞いたから、戸葉君優しいから利用されちゃったんだなって思ってたから、怒ってないよ。」 (その通りです)何も答えず俺が黙ってると、  「私も本当は、メール返したかったけど、何って返して良いか分からず返せなくてごめんね。」一息ついて、うつむきながら話しを続ける。  「私、戸葉君と会って色々お話出来て楽しくて、男の人と会う事が楽しいって思うのが初めてで、戸葉君とこれからもずっとお話していけるなら友達でも良いと思っていた。」  「美穂ちゃん。」俺は、美穂ちゃんの方を見ていると、なんか右手で左腕を掻いてるように見えた。(まさか、美穂ちゃん、かきむしりが再発した)っと思ってると、気付いたのか腕を服に隠した。 (やばい、かさぶたになってた左腕掻きそうになった)私は、そう思い話しを続けた。  「でも、私、戸葉君と横田さんとの週刊誌の写真を見た時、ずっと胸の中がモヤモヤして取れなくて、それが何なのか分かった時、戸葉君に友達以上の感情を持ってるのに気付いて、私が戸葉君の隣に居るのは、相応しく無いとは、分かってる。でも自分の気持ちには、正直になりたい。」私は、戸葉君の方を見た。  俺は、顔上げた美穂ちゃんを見て、美穂ちゃんが何を言おうとして、今どんな想いなのかが伝わった。  私は、戸葉君の目を見て  「私、戸葉君の事が、」っと言おうとしたら、戸葉君が  「美穂ちゃん、俺から先にお話させて。」っと遮られた。私は、コクッと頷く。  「まず、最初に言っておきたいのは、横田さんの事なんだけど、確かに朝起きたら、横田さんが居たので2人きりになってたが、俺何もしてないから、ちゃんと服もパンツも履いてたので、やって無いから、色々憶測が飛んでるけど、それだけは、誓って言える事だから、信じてもらえるかな?」戸葉君が私の目を見て言う。  「うん。」私は、頷く。  「ありがとう、美穂ちゃん、だけど、俺の無知さであんな写真が撮られて、美穂ちゃんを傷つけた事は、謝る。本当にごめんね。」私を見ながら申し訳なそうに言う。私は、首を横に振ると、  「美穂ちゃんは、本当に優しいね、もっと俺の事怒っていいんだけど、お出掛けも中止にさせちゃったし、たぶん俺は、そうゆう優しい性格の美穂ちゃんに惹かれたのかも、俺も美穂ちゃんとのお話するのが楽しくて毎日メールしたり、お出掛け出来るのが楽しみだったり、俺も初めてかも女性って居て楽しいと思える時間は。」私を見て話す戸葉君は、優しい顔をしていた。  「俺が美穂ちゃんを友達以上に感じたのは、トレーナーの所に行った時に、落ち込む俺に、美穂ちゃんが過去の話しをしてくれた時に、俺も辛い事を乗り切って強くなりたいと思った、そして今度は、俺が美穂ちゃんを守りたいと思った、あの時俺は、美穂ちゃんに、俺の傍に居て欲しい、俺の彼女として。っと言おうとしたんだ。」真剣な顔しながら私を見ながら言う、戸葉君に、私は驚きを隠せなかった、何って言っていいか分からず黙ってると。  「美穂ちゃん、俺と付き合ってくれませんか?これから、絶対に美穂ちゃんを悲しませたりしないようにするから、お願いします。」っと手を差しだした。私は、戸惑いながら  「私で良いの?だって私普通の女の子だよ。こんな私で良いの。」  「美穂ちゃんは、普通の女の子じゃないよ、俺にとっては、美穂ちゃんが居る事で色々な事に頑張れるし、勇気も貰える特別な存在だよ。これから先きっと美穂ちゃんみたいな女性に出逢う事なんて無い。俺が俺で居られる大切な場所なんだ。」私は、その言葉が胸に響き、ボロボロっと涙が流れた。  「美穂ちゃん、泣かないでよ。」戸葉君が慌てる。  「ごめん、嬉しくて、そんな事言ってくれる男の人初めてで、ありがとう、戸葉君。」私は、戸葉君の手をそっと握った。  「美穂ちゃん、俺、涙腺緩いから、もらい泣きしちゃうでしょう。」っと言うと握った私の手を引き寄せ抱きしめた。  「戸葉君。」あまり突然な行動にびっくりして、涙が止まる。戸葉君は、私を抱きしめたまま、  「美穂、好きだよ。」っと少し涙まじりの声で囁く。その言葉に私は、戸葉君の背中に手を回して  「私も戸葉君が好きです。」っと人生初の告白をした。戸葉君は、少し強く抱きしめ、  「ありがとう、美穂。」っと応えてくれて、感動して、又涙が溢れだした。   私達は、一目も気にせず、しばらく抱きあっていた。  しばらくして、私の涙が止まり、戸葉君が私から離れると、私の方を見て、  「ところで、美穂ずっと気になってたんだけど、その左手の絆創膏どうしたの?」っと私の左手を見る。 (なんか、名前の呼び方変わると特別な存在って感じがする)っと思いながら、  「あっ、これ、後ろから来た車に轢かれそうになって避けたら、擦りむいて。」っと言うと、  「相変わらず危なっかしいなぁ、美穂は、でも俺もだけど」っと同じく左手の手のひらの絆創膏を見せた。  「えっ、戸葉君どうしたの?その左手。」  「いや、「どうぶつ学園」の収録前、小道具さんと打ち合わせしてたら、箱で手切っちゃって。」っと照れながら言う戸葉君に  「クスックスッ、私達って似た者同士だね、同じ所に怪我するなんて。」っと笑って言うと  「やっと笑った美穂。俺、美穂の笑顔が好きなんだ、美穂の笑顔を見ると癒されるんだ。これからは、俺が一人占め出来るね。」っと、戸葉君の大きな手が私の頬を触れ、戸葉君の顔が近づき、初めてのキスをした。 (あれ?戸葉君とのキス気持ちいい) (ヤバイ、美穂とのキス気持ち良いかも)っとお互い顔を見て照れてしまった。  「それと、もう1つ気になる事が。」っと私の左腕をグィっと引っ張る。  「えっ、」驚く私に、戸葉君は、袖を捲った。  「やっぱり、話ししてた時、美穂掻いてた気がしてたから。」かさぶたが剥がれ、血が出てた腕を見て言う。  「離して、戸葉君、大丈夫だから、大したこと無いから。」っと抵抗するが、男の人に力には、かなわず、  「ごめんな、美穂、俺のせいで、かきむしり再発しちゃったんだな。」っと少し辛そうな顔で持ってたハンカチで傷口部分を覆い軽く縛る。  「戸葉君。」私は、戸葉君の行動を見て、 申し訳ない気持ちになった。   「これからは、こんな事にならないように、俺がしっかり美穂を守るから、もう。かきむしりしないでね、美穂。」私の顔を見て言う戸葉君に  「うん。ごめんね、戸葉君。」っと素直に謝った。そう言うと袖を元に戻し、腕を離した。  気がつくと、駅の周りは、人が増えて来た、ちょうど電車の出発時間が近づいていた。それを見た戸葉君は、  「ねぇ、美穂、俺、もう少し美穂とお話ししたいけど、何処か無い?」  「そうだね、ここから近い所だと、私が良く行く海岸の駐車場だったら、人少ないし、ゆっくりお話し出来るけど。」  「うん。じゃあ、そこ行こう。」っと戸葉君は、深く帽子を被り、マスクをして立ち上がり、手を差しだす。私は、その手を取り、恋人繋ぎをして、車の方へと歩きだす。  コインパーキングに着き、私は、自分のワゴンタイプの軽自動車に行き、  「私の車これだけど、戸葉君には、ちょっと窮屈かな?」っと言うと、  「いや、俺の友達にものタイプの車乗ってる人居るから平気だよ、あっ、俺、美穂の助手席乗って良いんだよね?」車の助手席を開けようとして聞く。  「うん。良いよ。」っと答えると、  「これから、美穂も俺の車は、助手席だからな」っとニッと笑う。  「うん。(まだ彼女って言う実感は無いけど)じゃあ、行くね。」っとエンジンを掛ける。  「うー、戸葉君乗せて運転緊張する。」私が言うと、  「普通にしてよ、美穂の運転技術信用してるから。」って言うから、  「変なプレッシャーかけないで、っとあれ?小銭が無い。くずさないと。」コインパーキングの出口で財布を見て言うと、  「あっ、俺持ってるよ、いくら?」  「100円で大丈夫だよ、後で返すね。」  「いいよ、はい、どうぞ。」戸葉君からもらった小銭を入れ、コインパーキングを出て、海岸へと向かう、途中、駅前の横断歩道で、年配の女性が居たので、私は、横断歩道手前で止まり、手でどうぞの仕草をすると、女性は、一礼して渡って行った、その様子を見てた、戸葉君は、  「やっぱり、運転って人柄出るよな、俺なら、無視して行きそうだもん。」  「えー、駄目だよ、横断歩道手前は、一旦停止って教習所で習ったでしょ、戸葉君ってもしかして、高速道路でスピード出すタイプなの?」  「そうだな、道路空いてたら、けっこう出すけど、そんな、引いた目で見ないでよ、美穂が乗ってる時は、ちゃんと安全運転するから大丈夫だよ。」  「本当に?戸葉君の車ってスピード出そうだもんね。」  「俺なんかより、メンバーでもっとスピード出して、高速飛ばす奴が居るって誰だと思う。」  「うーん?沢本君かな?」  「残念でした。秀ちゃんだよ。」  「えー、嘘でしょ、意外過ぎる。」  「だろう、俺1度、秀ちゃんの車の助手席に乗って、高速道路走った時、いやー、怖かったって100キロ位出てたよ、あれだけ車乗ると人変わるのは、秀ちゃんだけだよ。」  「そうなんだ。(秀ちゃんストレス溜まってるのかな)」そんな話しをしながら、海岸に到着。駐車場に停める。  「けっこう、駅から近いね、この駐車場、海岸から高台にあるんだね。」  「うん。ここ昔、大地震があった時に津波が来た事があって、最近、関東でも大きな地震が来るって噂があるからって、駐車場の上にも避難場所も設置したみたい。」っと上を見て話す。  「へぇ、そうなんだ。」話しながら、車から降りる。  「少し、寒いけど、下降りる戸葉君?」聞くと、  「せっかくだから、海近くで見ようか、美穂。」っと手を差しだす。私は、その手を取って恋人繋ぎをしながら下に降りる。  「うわぁ、やっぱり波荒いなぁ。」近くまで行って、戸葉君が言う。  「うん、夏の海と違って、これからの海は、少し荒れるからあんまり近づき過ぎないでね。」っと私が言う。  「ここって、遊泳禁止だよね。」黄色い看板を見て言う。  「うん、海水浴場は、もっと先、あっち。」っと指を差す。  「ふーん、美穂、今度、行けなかった、湘南の海と水族館行こうな。」私の顔見て言う。  「うん。私も戸葉君と湘南の海行きたい。でも、これから忙しい時期に入るから、来年になるかな?」  「そうだな。でも、なるべく早く行きたいな、美穂と一緒に。」っと私の顔見ながら笑顔で話す。  「そうだね、戸葉君と休み合う時あれば早めにね。その時は、私も休み合わせるから。」っと笑顔で戸葉君に返す。  「ところで、美穂、いつまで俺の事名字呼びなの?名前で呼んでくれないの?」っと言われ、私は、少々照れながら  「えっと、圭介君で良い?」っと聞くと  「うん、良いよ。」っと言って、又キスをした。さすがに身長差があるので、立ってのキスは、首が痛いかも。っと思いながらも、(やっぱり、圭介君とのキスって気持ち良いなぜだろう?)そんな事思ってると、ぶわぁっと海風が強く吹いた。  「やっぱり、寒い、美穂、車戻ろう。」  「うん。」私達は、手を繋ぎ、車に戻った。車に戻り、私が、  「寒いから、エンジン掛けようか?」っとエンジンを掛けようとすると、  「エンジンよりも、こうした方が暖かい」っと私を抱きしめた。圭介君の行動にドキドキしながら、私も  「うん。暖かいね。」っと言った。  「ねぇ、美穂、今日って仕事休んだんだよね?本当は、今週って火曜日と土曜日休みだもんね?」(相変わらず、記憶力良いなぁ。)っと思いながら、  「うん、とても仕事出来る状態じゃなかったから、有給使って良いって言われたから、3連休になったの、と、圭介君も今日仕事じゃなかったの?確か、今週仕事一杯だったはずじゃなかった?」  「うん、本当は、今日、スカイハイバトルの収録だったけど、メンバーが俺の為に時間空けてくれたんだ。」  「そうだったんだね。」私は、やっと納得した。抱きしめていた、圭介君は、ふいに私の髪をクンクンし初めた。  「どうしたの?圭介君。」  「うん?美穂、シャンプー変えた?俺と漫喫行った時の香りと違う気がする。」  「えー、何で分かるの?確かにシャンプー合わなくなったからって、新しいシャンプー探してたら、丁度、圭介君CMしてたシャンプー目に入って、お試しに使ったら、指通り良くて、それから、これにしたんだけど。」  「やっぱり、俺と同じ匂いするから、俺もスポンサーにシャンプー沢山もらったから使ってるけど、やっぱり、女性が使った方が良いなぁ。」っと私の髪を撫でる。 (やばい、ドキドキする。)  「ねぇ、美穂、漫喫に行った時、俺、膝枕お願いした時、髪撫でたでしょ?怒らないから、本当の事言って。」ドキッとしたが、諦めて、正直に。  「すみません、撫でました。」っと言うとクスッと笑って。  「やっぱりね、だって気持ち良かったから、あれは、夢なんかじゃないよ、美穂撫でたから、爆睡しちゃったんだから、ちょっと撫でて見てよ。」(えー、どうしよう)っと戸惑いながらも  「失礼します。」っとそっと髪を撫でると、確かに私と同じ髪の香りがした。  「やっぱり、気持ち良い。この感じあの時と一緒だ。」っと私を抱きしめながら言う。  「ちょっと、圭介君、寝ないでよ、明日仕事でしょ、帰らないと大変だよ。」  「美穂、現実戻さないでよ、あっ、でも美穂も帰らないと駄目か、美穂家、門限あるの?」  「この歳で門限は、ありません。」時計を見ると19時を過ぎていた。  「あっ、俺今思いっきり現実に戻った、今日、両親に俺と会う事言ったよね?」  「もちろん、お母さんには、言ったわよ。お父さんは、仕事から帰っていなかったけど。」  「今回の事、怒ってるよね?1人娘の美穂に迷惑かけたんだから。」  「お母さんは、元々、圭介君のファンだから、応援してくれたけど、お父さんがちょっと怒ってた気が。」  「だよなぁ。」下を向いてへこむ圭介君に、  「大丈夫だよ、お父さんには、ちゃんと言っておくから、心配しなくても良いよ。」   「駄目だよ、美穂、俺出来たら、美穂とずっと一緒に居たいから、今俺自身がちゃんと謝りに言って、美穂とお付き合いをする事を言わないと、後々になって、門前払いされたくないから。」真剣な顔で言われて、少しジーンとした。  「ありがとう。圭介君、その気持ち嬉しいよ、ただ間違っても正装で来ないでね。お父さん誤解して、娘は、やらん。ってちゃぶ台返しされるから、普通の格好で来てね。」  「うん。美穂家ってちゃぶ台あるの?」  「そっこつっこまないで、机しかありませんよ、まっ、お父さんなら机もひっくり返すかも知れないけど。」  「げっ、それはちょっと。今週、来週は、仕事詰まってるから、来月になると思うけど、絶対時間は、作るから、親に言っておいて。」  「うん、わかったよ。」  「それと、美穂、携帯新しい機種だよね?ライン出来ないの?」  「ううん、出来るよ、本当は、今度のお出掛けの時にラインのID作ったから、教えようと思ってたから。」   「本当に?ラインの方が既読が付くし、スタンプとか送れたりもするから、美穂と楽しくお話し出来るから、嬉しいよ、今俺のライン開くね。」っとスマホを出すと、  「うわぁ」っと驚いた声を出した。  「どうしたの?圭介君」っとスマホを覗くと、そこには、メンバーからのラインが、  「あいつら、俺の奢りって言って焼き肉店で焼き肉食ってる、それも、そこのお店高いのに、確かに俺、埋め合わせはするって言ったけど、これは無いでしょ、旨そうだな。」羨ましそうに、ラインを見つめながら言う、圭介君に私は、  「じゃあ、今度私家に来た時は、焼き肉にしようか?高級店並みの肉は無理だけど、なるべく美味しいお肉買うから、圭介君好きなお肉ある?あっ、ちなみにホルモンとレバーは苦手だから買わないけど。」そう言うと  「美穂、優しい、嬉しい、だから好きなんだよ。俺何でも食べるから大丈夫だよ。」っと抱きついてきた。  「うん。分かったよ。」っと頭を撫でる。  「もう少し、こうして居たいけど。」残念そうに言う。  「ごめんね、私の住む町田舎だから電車無くなるから、ラインのIDでこれで良いんだよね。」っと私の携帯を見せる。  「うん、Okだよ、あれ?美穂のラインの写真可愛い、好きなキャラクターなの?」  「そうだよ。」  「美穂って3月3日ひな祭りが誕生日なの?」ラインのIDに入ってた個人情報を見て言う。  「そうだよ、確か圭介君って12月24日のイブが誕生日だよね?」  「美穂、俺の誕生日知ってたんだ、嬉しい。」  「うん、まあね、でも、ちょうど忙しい時期だから、一緒には祝えないね、圭介君、欲しい物とかは無いの?」  「俺が欲しいのは、美穂と一緒の時間だけだよ。」  「それは、私も一緒だけど。」  「あっ、一個欲しい物あったかも、みほちゃん人形。出来たら、ダイ君に作った物より大きい物。」  「えっ、それなの?やっぱり圭介君ってそんな趣味が。」  「そんな、引かないでよ、ただ美穂と一緒に居たいだけだよ。」  「メンバー部屋に来た時に、ドン引きされるよ。」  「大丈夫、寝室に置いておくから、駄目かな?」私を見つめて言う。  「いいけど、時間かかるよ。」  「うん、良いよ、出来たら、美穂の髪も入れておいてね。」  「それは、却下。」  「えー、」っとがっかりする圭介君を横目にエンジンを掛け、車を動かそうとすると、  「美穂、今日は、お話し出来て良かった、来てくれて、ありがとう。」優しい顔で言う圭介君に、  「ううん、私こそ、ありがとう、わざわざ私の所に逢いに来てくれて、嬉しかったよ、これからも宜しくね。」っと笑顔で返すと  「俺の方こそ、こちらこそ宜しくな。俺美穂と出逢えて良かったよ。」っと圭介君と本日3度目のキスは、少し長かった。  駅に着き、前と同じコインパーキングに停め、圭介君と手を繋ぎ、駅構内と向かう。  「あっ、これ。」っと100円玉を渡す。  「別にいいのに、ありがとう。」少し笑いながら言う。  駅は、最終電車が近いせいで、人はまばらだった。  手を繋いだまま駅構内のベンチに座り電車を待つ。   「まもなく、電車が入ります。」っとアナウンスが流れると、立ち上がり、改札口へと向かう。  「じゃあ、またな、美穂、帰ったら初ライン送るから。」  「うん、初ライン待ってるね、今日は、ありがとう。」  「うん。」っとキョロキョロして、そのまま軽くキスをした。 (本日4度目、圭介君ったら、こんな所で)っと照れながら、圭介君に手を振り見送った。  ありがとうともう一度伝えたいよ そっと君のそばで  明日に戻れないけど 祈るように明日を迎える   瞳を閉じれば 君と過ごしたあの季節が思い浮かぶ  ふたりの記憶つないでいく今日も そっと小さな温もり集めて    圭介君を見送り、コインパーキングに向かい、圭介君にもらった小銭を入れ、車は、家と向かう。  「ただいま。」  「美穂、おかえり、どうだったの?戸葉君と上手くいったの?」キッチンから足早に来て聞く。  「うん、上手くいったよ。お母さん、色々ありがとう、着替えて、手洗って来る。」2階へと上がり、着替えて、手を洗い、キッチンへ行くと、ダイイニングテーブルには、私の好きな食べ物が並んでいた。  「うわぁ、美味しそう。」  「そうでしょ、今日は、美穂の好きな物ばかり作ったんだから、戸葉君と良くとも悪くともしっかり食べてもらうつもりでいたからね。」  「これ、作り過ぎだよ、こんなに食べれないよ。」  「じゃあ、食べれるだけ食べてね、明日は、赤飯かな。」  「ちょっと、やめてよ、恥ずかしい、そういえば、戸葉君(親の前で名前呼びはまだ恥ずかしい)が今回の事を謝りたいから、家に挨拶に来るみたい。」  「えっ、本当に戸葉君、家に来るの?どうしよう、家中掃除しておかないと。」慌てるお母さん、すると、リビングの方から、咳き込む声が     「ごほっ、ごほっ」晩酌中のお父さんだった。  「あっ、お父さん居たんだね。ただいま。それでね、戸葉君、お肉食べたいみたいだったから、焼き肉にしたいと思うから、私お金出すから、良いお肉買って欲しいと思うんだけど。」  「それは、良いけど、いつ来るの戸葉君?」  「今週と来週は、仕事一杯だから、来月になると思う決まったら言うよ。」  「早めに言ってね、だって戸葉君来るなら、私も綺麗にしとかないとね。」完全に浮き足だっているお母さんに、  「お母さん、お肉美味しいの買うなら、美味しいお酒も買っておけ、美穂、戸葉君とやらは、飲めるんだろう?」っといきなり会話に入って来たお父さん。  「うん、お酒は飲めるよ。」  「そうか、お母さん、お風呂出来てるんだろう?」  「出来てますよ、お父さん。」  「何?急に、お父さん、戸葉君と飲む気満々なの?」不満そうに言うと、お母さんが  「お父さん、ちょうど美穂とすれ違いに帰って来たんだけど、私が戸葉君が逢いに来てくれたから、逢いに行ったのって言ったら、一言「なかなか骨のある奴だな」って言ったのよ。」すると、洗面所から  「母さん、美穂に余計な事を言うな。」っと怒鳴り声が。  「お父さん、そんな事を。」驚く私に、  「あー、見えて、戸葉君と一緒にお酒飲むのが楽しみだったりしてね。」  「でも、一番楽しみなのは、お母さんでしょ。」  「それは、そうよ、生戸葉君に会えるんだから」かなりテンション高めになってるお母さんに  「間違っても近所に言い触らしたりしないでよ、大変な事になるから。」  「分かってるわよ。近所には、家の美穂は、戸葉君似の超イケメンと付き合ってるって位しか言わないから。」  「それもどうなの」そんなお話しをしながら夕飯を食べてると、お腹が空いてたのか、いつもの半分以上食べてしまった。  「うー、お腹一杯食べ過ぎた。」  「あら、美穂、本当に食べたわね、今お茶入れるね。」お母さんは、嬉しそうに、お茶を入れ  「でも、本当に良かった、美穂が心から好きだって想う人と出逢えて。お母さんは、これからも美穂と戸葉君の事ちゃんと見守ってるからね。」っとしみじみ言った。  「うん、ありがとうお母さん。ごちそうさま。」お母さんの気持ちが凄く嬉しかった。  お茶を飲んで、食器を洗い、2階の自分の部屋へと戻る。  (さて、里穂にも報告メールしないと)  「里穂、こんばんは、戸葉君と逢って想い伝えて、戸葉君とお付き合いする事になりました。まだ彼女って言う実感は無いけど、これから新しい関係が始まるって事で今は、嬉しい気持ちでいっぱいです。それと戸葉君が今回の事を謝りに家に挨拶に近いうち来るみたい、お母さん、生戸葉君に会えるって今から浮かれてます、里穂には、散々迷惑かけたから、今度私が何か美味しい物奢るね」っと送信。     里穂にメールして、しばらくすると早速電話が、  プルルー、プルルーっと電話を取ると、直ぐに、  「美穂、おめでとう。」っと嬉しそうに言う里穂の声が。  「ありがとう、里穂。」  「いやー、親友として、これほど嬉しい出来事は無いよ、良かったね、美穂。想い伝わって。」  「もう、大袈裟だな、里穂は。」  「だって、嬉しいんだもん、でも、これから大変だね、何せ戸葉君は、忙しい芸能人だから。」  「そうだね。あっ、里穂も周りに言い触らしたりしないでよ。」  「当たり前でしょ、私は、美穂を困らせる事はしません。そういえば、前に女性週刊誌にスカイハイメンバーから見た理想の女性って言う記事があって、メンバーに彼女が出来たら、尽くすタイプか尽かされるタイプかって言う質問で、戸葉君、確か、尽くすタイプ答えたみたいだね。ちょっと待って。」電話の向こうで、がさがさ何か探してる。  「あっ、あったこの週刊誌、いやー、メンバー若い20代前半の頃の取材みたいね。」里穂は、週刊誌を取り出し見ながら話す。  「相変わらず、里穂は、スカイハイが載ってると何でも買うのね。そっか、戸葉君って尽くすタイプなんだね、私、束縛苦手なんだけど、大丈夫かな?」  「まっ、まだ若い時の話しだけど、でも、あんなイケメンに束縛されるなら良くない?」  「確かに、戸葉君は、かっこいいけど、それとこれは別だよ。」  「まっ、そうゆう事は、本人に聞きなよ、美穂は、彼女なんだから、きちんと言いたい事は、言わないとね。そういえば、今日、戸葉君に会ってキス位したの?」  「何聞いてるのよ、里穂、したけど(4回も)。」  「そうだと思った。だって、友達付き合いの頃から、膝枕に手握りだったら、キスはすると思ったよ。」  「もう、その話しは、やめて恥ずかしいから。」  「美穂ったら、嬉しいくせに、そろそろ戸葉君からメール来るかな?東京に戻ったでしょうから。」  「あっ、私これから戸葉君とは、ラインはする事になったの。」  「何、美穂ラインのID持ってたの?だったら教えてよ、私もラインの方が良いから。」  「最近作ったの、じゃあ、里穂にも後で教えるね。」  「うん、そろそろお邪魔虫は退散して、楽しい戸葉君との時間だからね、あっ、後で戸葉君来る日教えてね、私も生戸葉君みたいから。」  「もう、里穂ったら。又後で、ラインのID教えにメールするね、じゃあ又後でね。」 「うん、又後で何話したか教えてね。」っと言い電話は切れた。  里穂からの電話が切れた1時間後位に、待ちに待った、圭介君からの初ラインが。    「美穂、初ラインだよ、今東京に帰って来たよ」  早速スタンプ付きで送られて来た。  「圭介君、おかえりなさい。スタンプ付きの初ラインありがとう。今から家に何で帰るの?」おかえりのスタンプ付きで返す。  「今、マネージャーにメールしたら、さっきメンバー全員送ったから、東京駅に来てくれるみたい。ねぇ、美穂、今日の事親に話してくれたかな?」    「うん、ちゃんと、圭介君が挨拶に来る事話したら、お母さんは、喜んじゃって、お父さんは、圭介君と飲む気満々だったし。それと親友の里穂のにも今日の事話したら、ちょっと気になる事聞いたんだけど。」  「ちゃんと話してくれたみたいで、ありがとう。気になる事って何?」    「うん、たぶん数年前の事なんだけど、スカイハイのメンバーが女性週刊誌の取材で理想の女性の質問で、彼女が出来たら、尽くすタイプか尽くされるタイプかの質問で圭介君って尽くすタイプって答えたみたいだけど、今もそうなの?」  「あー、そういえば、そんな取材受けた気がするなぁー、美穂の親友って本当にスカイハイ好きなんだね、そんな数年前の週刊誌持ってたんだね、俺、今でも尽くすタイプだよって言うか、好きになったら、一途だけど、美穂、もしかして嫌かな?」    「嫌じゃないけど、私、束縛は苦手だけど 好きな人に尽くされるのは、大丈夫だよ、なんか変な事聞いてごめん。」ごめんのスタンプも一緒に送る。  「ううん、別にいいけど、美穂って束縛苦手なんだね、極力は美穂が嫌がる事はしないけど、出来たら、彼氏としては、美穂の1ヶ月の休みは、知りたいな」  「圭介君、それは、束縛って言わないよ、もちろん、これからは、毎月の最後に、次の月の休みは教えるよ、ちなみに来月の休みは、連休後に教えるね、ただでさえ、圭介君は、多忙なお仕事だから、もし、休み欲しい日あったら、月の前半に言ってくれれば、2日だけ休み希望出せるから言ってね。」  「美穂、ありがとう、俺嬉しい」間に嬉しいスタンプを送り。  「ちなみに、俺が美穂に逢いたくて仕方ない時も逢ってくれる?」  「うん、圭介君が逢いたい時は、私も逢いたい時だから絶対逢うよ。」  「ありがとう、美穂、やっぱりそうゆう所好きだな。あっ、マネージャー来たかな?」  「じゃあ、今日は、ここまでで、圭介君今日は、茨城まで行ったから、疲れてるだろうから、家に帰ったらゆっくり休んでね。」  「うん。俺又美穂とこうしてお話しが出来て、嬉しい。明日もまたラインするから。」  「うん、私も圭介君とお話し出来て、嬉しいよ。又明日ね。」最後におやすみのスタンプを送ると。  圭介君もおやすみのスタンプを返してくれた。  (あー、今日は、夢のような出来事あったから寝れないから、明日も寝不足な気がする、でも、凄く幸せな気分、さて、お風呂入ろう。)  私は、お風呂の準備をして、下に降りた。
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