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プロローグ
「ねぇ、おじいちゃん、白馬の王子様って本当に居るのかな?」
絵本を見ながら、私は、おじいちゃんに聞いてみる。
「そうだね、みほがもう少し大きくなっても白馬の王子様を信じてれば、居ると思うよ。どんな事も信じてれば、願いは叶うから」
おじいちゃんは、優しく微笑みながら、私に答えた。
「でも、みほは、白馬王子様よりも、おじいちゃんが居れば良いよ。だって、みほは、おじいちゃん大好きだもん。」
「はは、それは、嬉しいね。でもじいじは、みほが大きくなるまで一緒に居れるかな?」
おじいちゃんは、みほを膝に乗せ、そう悲しく呟いた。
「やだ、おじいちゃん居なくなったら、みほ悲しくて、いっぱい泣いちゃうよ。」
「はは、冗談だよ、じいじはみほが大きくなって、綺麗な花嫁さんになるまで生きるから大丈夫だよ。」
みほの頭を撫でながら言った。
「うん。約束だよ。おじいちゃん指切り」
しわしわのおじいちゃんの小指にそっとからませて。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます指きった。」
おじいちゃんの優しい笑顔を見合わせて、嬉しそうに交わした約束。
遠い昔、まだ小学生になったばかりの出来事は、果たされないまま、月日が流れた。
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